フロントローディング型開発で3D CADを活用するメリットとは
2019年 8月30日
製造業
フロントローディングは、製造業で多くの企業が取り入れている開発方法です。設計初期段階から他部門が始められる業務を早めに開始することで、製品の品質向上や生産コストを抑えたり、業務プロセスを改善したりできる可能性が高まります。
ただし、フロントローディングを行うためには設計者が指示を出す負担が大きく、作業に集中できなくなってしまうといった問題が発生することもあります。しかし3D CADを有効に活用することで、関連部署との意思疎通を取りやすい環境が構築できるため、フロントローディングの効率は格段によくすることができるのです。
そこで今回は、フロントローディングについて確認を行い、3D CADを上手に活用し設計者の負担を減らしながら、フロントローディングを実現するためにできることを解説します。
フロントローディングは「作業の前倒し」
フロントローディングとは、簡単にいうと作業を前倒しして行うことです。この項目ではこれはどのような意味なのか、加えて、フロントローディングのメリット・デメリットについても確認していきます。
フロントローディングとは
フロントローディングは、設計初期段階に他部門の意見を取り入れて、早めに問題点などを発見し、後工程での手戻りを少なくするための方法です。一般的な製品開発の流れの場合、設計図面が出来上がり、他部門の手に渡った段階でさまざまな指摘を受けます。図面が完成した後に指摘をされるため手戻りが発生し、非常に多くの時間がかかるのです。
フロントローディングでは、設計者が図面を完成する前から関係部門も作業を開始します。製図段階から設計者が知らなかった他部門の知識を盛り込みながら設計を行えるので、後工程での問題発覚や手戻りが少なくなります。
フロントローディングのメリット
試作品を作る回数が減り、コストの削減になる
フロントローディングを行うと、設計初期段階でさまざまな問題点を指摘し合うことができます。技術的な問題点やコストの問題を事前に発見・改善し、図面に盛り込めるため図面完成後の工数が減るだけでなく、試作品を作る回数を減らすことができ、試作品作成にかかるコストの削減にもつながります。
製品品質が高まる
設計初期段階で各部門の意見を多く取り入れることで、製品の品質向上につなげられるのもフロントローディングを行うメリットの一つです。各部門が設計初期段階から話し合いをしていく中で、設計者が知らない知識を他部門から取り入れることにより、機能性の向上や改善点が見えてくることもあります。
フロントローディングのデメリット
設計者の負担が大きい
フロントローディングは設計者への負担が大きくなります。初期段階で他部門の人を巻き込み、何度も見直しと再設計が必要になるため時間と手間がかかり、設計を行う人間の仕事量が非常に多くなるためです。改善点としては、担当設計者を増やす、フロントローディングを含めた設計工程全体を管理する責任者を置く、といった人員体制を含めた組織体制変更が必要になるでしょう。管理者側としては、あわせて仕事量のコントロールも必要になります。
フロントローディングに3D CADが生かせるのはなぜ?
フロントローディングは、基本的に3D CADを用いて開発を進めていくのが一般的な手法です。3D CADを利用することでフロントローディングにどのような影響があるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
干渉チェックなどでコスト削減
3D CADの干渉チェック機能を利用すると試作品を作る回数が激減し、コスト削減につながります。
他部門から技術的な面で問題点を指摘されても、3Dモデルで設計変更をすることによって視覚的に見やすく、干渉部位も立体的モデルで確認できるので修正がしやすくなります。
画面上で試作品を作ることで、試作品の作成に必要な材料や人件費などを削減できます。また手戻り回数も減るので、設計者の負担が軽減されるでしょう。
さらに、機構シミュレーションを活用すれば製品動作も確認できるので、後工程から動作不具合による設計変更などが起こる可能性も低減します。
他部門との共有をスムーズにできる
3Dモデルを利用することで他部門との共有をスムーズに行えます。他部門では図面を読むことができない方も多いですが、3Dモデルを使用すれば直感的な判断で設計された製品を見ることができます。より具体的に3Dモデルの試作品を見ることができるので、問題点も発見しやすくなるでしょう。設計者も細かい説明が不要になるため、業務効率も向上します。
Inventorならフロントローディングに最適
この項目では、3D CADを使用するのが一般的なフロントローディングで、Autodesk Inventorをお薦めする理由を二つご紹介します。
クラウドサービスの活用で共有がスムーズ
設計者がInventorで作成した設計データはクラウド上に保存することもできるので、どこからでもデータを閲覧できるのがお薦めポイントです。
わざわざ日時と場所を調整して会議室に集まらなくても、各PCからデータの閲覧・更新ができ、コメントを入力したり、変更を加えた別バージョンを共有したりなど、全員が問題点や改善点を見たうえでフィードバックを共有できるようになります。
ビューアーのダウンロードが無料
オンライン上で3Dモデルを見ることができるビューアーは無料でダウンロードできます。Inventorがインストールされていない端末でも、使用しているブラウザーでファイルの表示が可能なため、ライセンス数が限られている場合にも、設計者以外のさまざまな部署間で閲覧が容易なのもお薦めポイントです。
また、関係部門で3D CADを再度購入する必要がないため、開発コストの削減にもなります。
フロントローディングを導入して高品質な製品を!
フロントローディングは、多くの企業が取り入れているメリットが多い開発方法です。従来よりも短期間で高品質の製品を開発することが可能になります。3D CADをフロントローディングで上手に活用することは、設計者への負担を軽減するだけでなく他部門にも影響を及ぼします。
今回の記事を参考に3D CADの導入を進め、フロントローディングを行い、お客様がより喜ばれる製品を作り上げてみてはいかがでしょうか。