図のような続き部屋があり、これから右上の傾いた部屋の内部を作図するとします。
この場合、X軸が水平方向、Y軸が垂直方向という通常の座標系よりも、ドラフタの定規を回転させるようにX軸とY軸を部屋の傾きに合わせて回転させると、はるかに描きやすくなります。
座標系の原点を斜めの部屋の左下コーナーに移動すると、部屋の詳細の配置を絶対座標で指定できるようになり便利です。新しい座標系のX軸は、部屋の左下コーナーから右上に伸びている線分の方向に一致させます。
2019年12月12日
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AutoCAD LTには、ユーザーが自由に定義できる「ユーザ座標系(UCS)」という座標系が用意されています。2次元作図の際にUCSはとても便利です。今回は続き部屋を例に、UCSの操作方法を解説します。
図のような続き部屋があり、これから右上の傾いた部屋の内部を作図するとします。
この場合、X軸が水平方向、Y軸が垂直方向という通常の座標系よりも、ドラフタの定規を回転させるようにX軸とY軸を部屋の傾きに合わせて回転させると、はるかに描きやすくなります。
座標系の原点を斜めの部屋の左下コーナーに移動すると、部屋の詳細の配置を絶対座標で指定できるようになり便利です。新しい座標系のX軸は、部屋の左下コーナーから右上に伸びている線分の方向に一致させます。
1.UCSアイコンを右クリックします。
2.表示されたメニューから[オブジェクト]を選択します。
3.斜めの部屋の左下コーナーから右上方向に伸びている線分をクリックします。新しい座標原点の近くをクリックしてください。
クリックした線分のクリックした点に近い方の端点が新しい座標系の原点(0、0)になり、クリックした線分の方向が新しい座標系の X軸方向になります。
UCSアイコンは新しい座標系の原点に移動します。新しい座標系はユーザーが定義した座標系なので「ユーザ座標系(UCS)」と呼ばれます。これに対して元の座標系は、AutoCADが内部的にも広く使用する座標系なので「ワールド座標系」と呼ばれています。
カーソルが傾いて表示されている点に注目してください。グリッドを表示すると新しい座標系の傾きに合った角度で表示されます。
直交モードをオンにするとカーソルの動きが新しい座標系の X軸と Y軸の方向に制限されます。
例えば3、4というように相対座標を入力すると、画面上の水平方向に「3垂直方向に、4計測される」のではなく「新しいX軸方向に3新しい、Y軸方向に4」というように計測されます。
次に左下の部屋の内部を描くときには元の座標系に戻す必要がありますが、再び右上の部屋の作図に戻るときには再度同じ UCS を使用しなければなりません。同じ設定作業を繰り返さなくてよいように、一度設定した UCS に名前を付けて登録しておけば、必要なときにはいつでも呼び出せます。
UCS[UCS管理]コマンドの[登録(S)]オプションを使用します。
1.UCSアイコンを右クリックします。
2.表示されたメニューから[UCS定義管理][登録]を選択します。
またUCSアイコンのグリップを使用してUCSを直感的に修正することもできます。
この例では線分の端点を使用してUCSの原点とX軸の位置合わせを行います。まず、[端点]オブジェクトスナップをオンにしておき、次のように操作します。
1.UCSアイコンを選択します。UCSアイコンのグリップが表示されます。
2.原点のグリップ(四角いグリップ)を選択します。
3.斜めの部屋の内壁の左下コーナーをクリックします。UCS原点がクリックした点に移動します。
4.UCSアイコンのX軸グリップ(丸いグリップ)を選択します。
5.斜めの部屋の左下コーナーから右上方向に伸びている線分の他方の端点をクリックします。
6.UCSの傾きが正しく変更されます。
1.UCSアイコンを右クリックします。
2.表示されたメニューから[ワールド]を選択します。UCSアイコンの原点グリップ(四角いグリップ)のダイナミックグリップメニューから[ワールド]を選択することもできます。
UCSアイコンの右クリックメニューから選択します。
1.UCSアイコンを右クリックします。
2.表示されたメニューから[UCS 定義管理]を選択します。登録されているユーザ定義 UCS の名前が、[UCS定義管理]サブメニューに一覧表示されます。
3.[UCS 定義管理]サブメニューから呼び出す UCS を選択すると、登録されているユーザ定義 UCSの名前が表示されます。
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