業務改革の手段としてAutodesk Inventorを使い設計品質と業務効率を大幅に向上

2020年 7月10日

製造業

日本電子株式会社

世界トップレベルの理科学機器メーカーとして市場から高い評価を得ている日本電子株式会社(JEOL Ltd.)は、より一層の飛躍を目指すため、業務改革の有効な手段として、3次元CAD「Autodesk Inventor」を全社規模で導入。

これにより、設計図面のデザインレビューの質が向上し、設計品質と業務効率を大幅にアップすることに成功した。さらに、3次元CADのデータを設計以外の部門で有効活用することにより、さらなる業務改善に積極的に取り組んでいる。

3次元CADの導入効果としてデザインレビューの質が向上

実際にパイロットプロジェクトで3次元CAD「Autodesk Inventor」を導入したことにより、完成した3Dモデルを関係者に見せて打ち合わせを行うデザインレビューの質がアップし、設計品質と業務効率が大幅に向上した。

「一番大きかったことは、3Dデータでデザインレビューをすることにより、仕様の完成度が高くなったことです。今までは2次元の図面で説明していましたから、その図面を理解してもらうまでにものすごく時間がかっていたのです。ところが3次元の場合は、特に説明しなくてもイメージが伝わりますから、すぐに中身の議論ができるようになり、説明する時間が大幅に短縮されました。また、以前はデザインレビューのときの意見を元に、図面を一週間くらいかけて修正することもありました。しかし今では、デザインレビューをしながら、その場である程度修正することができるので、業務効率は格段にアップしました」と第1設計技術本部 本部長(当時)の大井氏は3次元CADの導入効果を実感している。

第1設計技術本部 本部長 大井公郎氏

その意味では、当初の目的である業務改善に大きく貢献しているが、今後は3次元データの他部門への応用が課題だという。

例えば、現時点でも、サービスマニュアルの作成に3次元データが有効活用されている。

「以前はマニュアルを作成するために部品などの写真をたくさん撮っていました。従って、製品が完成してからマニュアル作成をしていたため、マニュアル完成が出荷ギリギリとなっていたのです。しかし、今では設計している段階でマニュアル作成者に3次元データを渡せば、それを写真代わりに使い、開発と同時並行でマニュアルを作ることができるため、以前よりもマニュアル作成が効率的に行えるようになりました。営業からも3次元データを使って、お客様に事前に製品の完成イメージをお見せし、アピールしたいという要望も上がっています。いずれにせよ、3次元データはそれ自体が直接利益を生むものではなく、設計以外の部門で情報をシェアし利用することによって、初めて本来の効果を発揮します。今後は他部門との連携を積極的に行っていきたいと考えています」と技術統括本部技術システムグループ次長(当時)の安東氏は語る。

技術統括本部 技術システムグループ 次長 安東努氏

また、設計図面を公開しているものであれば、「Autodesk Inventor」で作成した3次元データをビューアーを使って社員が参照できる仕組みも出来上がっている。さらに、板金業者などに直接3次元データを送り、NCマシンに必要なデータとして利用することもできるが、今後は、3次元データをさまざまな製造工程のCAMといかに連動させるかが課題であり、そのための仕組みづくりも既に検討されはじめている。

このように、同社において、3次元データの有効活用によるさらなる業務改善には、大きな期待が寄せられている。

導入事例 詳細

Inventor導入のポイント(お客様の声)

  1. 操作性がよいこと「3次元CADを全社導入するためには、設計者全員が扱えるものでなければならなかった。新入社員から年配の方まで比較的簡単に使える操作性のよさを重視しました」
  2. 大規模アセンブリに耐えられること「以前設計検証用に導入した3次元CADソフトは、部品点数が増えると動きが極端に遅くなり、使用に耐えられなくなった。従って、5,000点から1万点の部品を入力してもスムーズに動くものを選びました」
  3. 将来性・拡張性
  4. コストパフォーマンス

大塚商会のサポート支援も受けて順調に稼働

パイロットプロジェクトによる製品開発を本格的にスタートするにあたっては、事前に大塚商会のコンサルティングや教育サービスを有効活用し、万全な体制で臨んだ。また、パイロットプロジェクトの発足から実際の製品開発を行うまでの半年間に、これまで2次元CADで作成したデータをテーマごとに3次元データに移行すると共に、全社的に3次元CADを導入する際のルールづくりや標準化などの作業も併せて行った。

「3次元CADを使って、仕事のやり方を変えることが大きなテーマだったので、我々がやりたいことを3次元CADを使って実現していく仕組みづくりに一番苦労しました。しかし、大塚商会のコンサルタントの方にいろいろ協力していただいたので、事前にやるべきことは一通りできたと思います」と安東氏は振り返る。

その後もスキルテストを作成・実施し、合格者だけにCADを使える権利を与える規則なども作り、設計者の日々のスキルアップにも大塚商会が貢献した。

よりスムーズな導入に大塚商会がご提案可能なサービス

大塚商会では充実したサポート体制・豊富な支援内容で導入~定着、さらなる活用までトータルでお客様をサポート。導入効果を最大限に引き出し、安心して運用できる環境をご提供します。

個別コンサルティングサポート

基礎知識や操作教育から設計環境の構築・実践的型教育まで多岐にわたるサポートをご提供します。

大塚商会が日本電子株式会社様に提供したコンサルティングサポートのご紹介(一部)

スキルチェックアセスメント

社内トレーナーの育成や設計者のスキルチェックを目的とした、認定制度作成を支援します。操作習得スキル、設計可能レベルの2段階評価基準により、習得レベルを判定します。

アセンブリ設計手法サービス

アセンブリ設計手法を元に御社製品に合わせた設計アプローチの提示と教育を実施します。

コンサルティング

基礎知識&操作教育

3D CAD定例スクール(基礎・応用・アセンブリなど)
大塚商会の研修施設で定期開催されているオープンコースのほか、企業様向けにカスタマイズした研修も行っています。

Autodesk Inventor コース一覧

CAD利用時の「困った」を解決するサポートサービス

CADの知識が豊富なメーカー認定エンジニアが常に待機。専門的なCADのお問い合わせに対応します。

オートデスクセミナー(無償)

新バージョン紹介やCAD活用講座、また導入検討企業向けの体験セミナーなど来場型やオンライン型にて開催しています。

イベント・セミナー

  • * これらのサービスはご提案可能なサービスのほんの一部です。