AutoCADのテンプレートの作り方

2023年10月20日

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AutoCADでテンプレートを作成するには Vol.1

AutoCADを導入し、さてこれから図面を描くぞという方、実は最初に検討すべきはテンプレートです。また、既にAutoCADをお使いのユーザー様の中には、テンプレートの理解が漠然としていて「本当にこれでいいのかな?」と思っている方! 今回はそんな皆さまに、より有用な情報をお届けします。

テンプレートはなぜ必要なのか

一番の理由は煩雑なデータにならないためです。図面の作成者によって図面の体裁、例えば文字のフォントや使用する画層名が違えば統一感のないデータになります。毎回設定に苦労することになり、流用性に欠け作業効率が低下します。

テンプレートはAutoCADで図面を作成するためのルールが詰まったファイルです。

クイック新規作成(QNEW)と新規作成(NEW)

テンプレートを選択して新規に図面を作成するコマンドは二つあります。アイコンだけ見ると同じに見えますが、実は違うコマンドです。

クイック新規作成(QNEW)

コマンドを実行すると、ダイレクトに指定したテンプレートファイルが開きます。

1.クイックアクセスツールバー/クイック新規作成(QNEW)を実行します。

図1

2.パスで指定したテンプレートファイルが開きます。

新規作成(NEW)

1.アプリケーションメニュー/新規作成/図面を実行します。

図2

2.ダイアログが開きます。テンプレートの拡張子は.dwtです。.dwgファイルもテンプレートとして選択することができます。

図3

3.指定されたパス下のフォルダーより、使用するテンプレートを選択します。図4は既定値のフォルダーです。

図4

参考

単位をメートルのみまたはインチのみを選択してテンプレートなしでファイルを開けます。作業中のファイルに不具合がある場合、貼り付け先として使用します。

図5

パスを指定する

1.アプリケーションメニュー/オプションを実行します。

図6

2.ファイルタブ/テンプレート設定を展開します。

図7

3.新規作成(NEW)のフォルダーパスは以下で設定します。既定のパスを選択し、右側の項目で既存のパスを除去後、参照ボタンでフォルダーを指定します。

図8

4.クイック新規作成(QNEW)のファイルパスは以下で設定します。なしとなっている箇所を選択し、右側の項目の参照ボタンでファイルを指定します。

図9

既定値なしの場合の動作

クイック新規作成(QNEW)のファイルパスがなしの場合は、新規作成(NEW)で指定しているフォルダーが開き、どのテンプレートファイルを選択するかを聞かれます。

ファイル名について

クイック新規作成(QNEW)・新規作成(NEW)コマンドを使用した場合のファイル名について説明します。選択したテンプレート名がacadiso.dwtでも必ずDrawing1.dwgというように名前のない図面(.dwg)としてファイルが起動します。

図10

テンプレートのイメージ

「どこまでをテンプレートとして保存するか」ここが重要なポイントになります。絶対に設定が必須となる項目、例えば画層・文字スタイル・寸法スタイルなど以外に、図枠付きでテンプレートを作成する、尺度ごとテンプレートを作成する、よく使用するコメントやサンプル記号を最初から配置しておく、モデル空間のみで作図するのか、レイアウトを使用するのか……

各ユーザー様によってテンプレートのイメージはさまざまです。幾つかテンプレートのイメージをご紹介したいと思います。

図枠の種類でテンプレートを作成する

モデル空間での作図を想定した場合です。図枠を配置した状態でテンプレートを作成します。尺度は1:1で作成し、違う尺度で作図する場合は尺度に対応した寸法スタイルの作成や図枠の尺度変更を手動で行う必要があります。作成するテンプレート数が少なくて済みますが、1:1以外の尺度を扱う場合には作図者にルールの順守と尺度の理解が必要になります。

図11

図面の尺度ごとにテンプレートを作成する

モデル空間での作図を想定した場合です。尺度ごとにテンプレートを作成します。図枠は後から配置します。図枠はツールパレットを使用して挿入、または内部ブロックとして登録しておき挿入します。使用する尺度が決まっている場合には有用です。同尺度でも取引先ごとに図枠が存在したり、組図と部品図のように社内でも複数図枠が存在していたりするときに便利です。

図12

参考

ツールパレットを使用してブロックを挿入すると、カレント(現在の)寸法スタイルの尺度を参照して挿入することができます。ツールパレットの各ブロックのプロパティで補助尺度を寸法尺度にしておくと、図13の場合3倍の大きさでブロック(図枠)が挿入されます。

図13

図面の尺度ごとにテンプレートを作成する

モデル空間での作図を想定した場合です。尺度と図枠を組み合わせてテンプレートを作成します。

使用する尺度・図枠が限られている場合にお勧めします。図枠以外にもよく使用する製図記号・表・コメント類、プロパティコピーのコピー元のオブジェクトなどもテンプレートに保存しておくのも一つの方法です。

図14

レイアウトに図枠を配置してテンプレートを作成する

レイアウトを使用して作図をする場合です。今回は一つのファイル内に複数の図面をレイアウトを使用して作成する場合を想定します。

図15

図16:図枠とビューポートをレイアウトに配置

いかがですか? テンプレートのイメージができましたでしょうか? 次回は、テンプレートに絶対必要な設定についてご案内したいと思います。

AutoCADのテンプレートに絶対必要な設定