AutoCAD レイアウトの印刷方法

2024年 3月 6日

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AutoCADでモデル空間とレイアウト空間を使いこなすには? Vol.5

前回までの記事では、レイアウトを使用するとどんな図面の作成に効果的なのか、また、レイアウトの具体的な作成方法についてお伝えしました。今回は、作成済みのレイアウトの印刷方法についてご説明します。

ビューポート・レイアウトごとの印刷の制御

印刷時の線の太さを制御する

同じオブジェクトでもビューポートごとに印刷時の線の太さを変更できます。印刷スタイルの作成方法によって操作が違います。また、ビューポートごとへの各項目の設定方法は次の記事を参考にしてください。

AutoCAD ビューポートの便利機能

印刷スタイルの作成方法は二つあります。

  1. 色従属で印刷スタイルを作成する。
  2. 画層に付与された線の太さで印刷する。

1の場合

1.画層管理の「VPの色」の項目で色を付与します。

図1

2.印刷スタイルで下図のように設定します。

図2

3.印刷すると下図の結果となり、ビューポートごとに線の太さを分けることができます。

図3

2の場合

1.画層管理の「VPの線の太さ」の項目で太さを付与します。

図4

2.印刷スタイルで下図のように設定します。

図5

3.印刷すると図6の結果となり、ビューポートごとに線の太さを分けることができます。

図6

印刷時の線種尺度を制御する

レイアウトごとに印刷時の線種尺度を制御できます。同じ線種を付与されたオブジェクトでもビューポートの尺度によって、表示される線種尺度を変更できます。

モデル側の線種尺度と同じ表示をレイアウトでも保持する場合

1.メニューバー/形式/線種設定を実行します。または、コマンドラインより「LINETYPE」を直接入力し、Enter。

2.線種管理ダイアログの「尺度設定にペーパー空間の単位を使用」のチェックをなしの状態にします。

図7

3.モデル側とレイアウト側で線種の表示状態が同じであることが分かります。

図8

レイアウト側のビューポート尺度で制御する場合

1.メニューバー/形式/「線種設定」を実行します。または、コマンドラインより「LINETYPE」を直接入力し、Enter。

2.線種管理ダイアログの「尺度設定にペーパー空間の単位を使用」のチェックをありの状態にします。

図9

3.モデル側とレイアウト側で線種の表示状態が違うことが分かります。

図10

表示が更新されない場合はレイアウト側で「再作図(REGEN)」を実行してください。

レイアウトのマルチ印刷

開いているファイルの複数レイアウトを印刷

レイアウト作成時に必ずページ設定をするのでレイアウトの印刷はとても簡単です。レイアウトのページ設定については次の記事を参考にしてください。

【操作解説】AutoCAD レイアウトを新規に作成する方法(尺度設定、線種設定、図面枠を配置)

1.印刷するファイルを開き、印刷するレイアウトタブをCtrlキーを使用し、複数選択します。

2.右クリックのメニューより「選択したレイアウトをパブリッシュ」を実行します。

図11

3.「マルチシートDWFをパブリッシュ」ダイアログが開きます。エラーがないことを確認し、「パブリッシュ」を実行します。

図12

マルチシートDWFをパブリッシュについて

マルチシートDWFをパブリッシュを使用すると、次のことができます。

  • 開いているファイル/開いていないファイルのレイアウトを選択し、バッチ印刷(連続印刷)ができる。
  • レイアウトに設定されたページ設定が複数ある場合は、ダイアログ内でページ設定の変更ができる。
  • 繰り返し使用する印刷のセットを保存できる。
  • PDFのマルチシートの作成ができる。
  • モデル空間で作成している図面(レイアウトの使用をしない)でも、ページ設定があれば使用できる。

1.現在開いているファイルは「plot.dwg」でレイアウトが三つ作成されています。

図13

2.出力タブ/印刷パネル/バッチ印刷を実行します。メニューバー/ファイル/マルチシートDWFをパブリッシュでも実行可能です。

図14

3.ダイアログの「シート名」の一覧を確認します。開いているファイル「plot.dwg」のレイアウト名とモデルが表示されます。

図15

4.開いていないファイルのレイアウト(シート)を追加します。「シートを追加」のアイコンを実行し、ファイルを選択します。今回は「plot_2.dwg」を選択します。下図のように「シート名」の一覧に追加されました。

図16

5.印刷しないシートを除去します。除去するシートを選択し、「シートを除去」のアイコンを実行します。

図17

6.「パブリッシュ」を実行すると「シート名」の一覧のレイアウトが印刷されます。

図18

7.今回の印刷を繰り返し使用するために、リストを保存します。「シートを保存」のアイコンを実行し、名前を付けて保存します。今回は「test.dsd」とします。ダイアログを閉じます。

図19

8.保存したシートリストの使用方法を説明します。「マルチシートDWFをパブリッシュ」ダイアログを開き、「シートリストをロード」アイコンを実行します。メッセージに対しては下図のように指示します。

図20

9.保存したシートリストを選択します。メッセージに対しては下図のように指示します。

図21

10.保存したシートリストの内容がロードされました。

図22

11.ファイル内に保存された他のページ設定を付与することもできます。紙にプリントアウトするシートリスト、電子印刷するシートリストを別で保存しておくと便利です。

図23

12.PDFをマルチシートとして作成したい場合は下図のように設定します。パブリッシュ先を「PDF」にし、「パブリッシュのオプション」を選択します。

図24

13.ファイルの保存先の「場所」を設定し、「マルチシートファイル」にチェックをします。

図25

14.パブリッシュを実行すると、PDFのマルチシートが作成されます。

図26

AutoCADで「モデル空間」と「レイアウト空間」を使いこなすには? の記事は今回で最終です。皆さま、いかがでしたでしょうか? お仕事の作業効率アップに少しでもつながれば幸いです。