AutoCAD ビューポートの便利機能

2024年 2月19日

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AutoCADでモデル空間とレイアウト空間を使いこなすには? Vol.4

前回の記事では、「ビューポート」の基本的な操作についてお伝えしました。ビューポートには、さらに便利な機能がたくさんあります。今回は、ビューポートの応用操作についてご理解いただき、皆さまの業務の効率アップになればと幸いです。

AutoCAD ビューポートの基本的な操作方法

ビューポートごとに画層の振る舞いを制御する

ビューポートごとに画層を表示・非表示する

モデル空間に配置したオブジェクトの表示をビューポートごとに制御することができます。今回は、詳細図の作成例で操作説明をします。

モデル空間での作業

図1

同じ箇所に画層と寸法スタイルを分けて寸法を作成しておきます。

図2

レイアウトでの操作

1.「レイアウト」タブで下図のようにビューポート(A・B)を作成します。

図3

円のオブジェクトをビューポートに変換するには、下図のコマンドを使用します。

図4

2.Aのビューポートの枠内をダブルクリックし、「画層プロパティ管理」を実行します。

図5

3.「VPでフリーズ」の項目で選択したビューポートでフリーズ(非表示)にしたい画層を選択します。画層「09_Dim」をフリーズします。

図6

4.「画層プロパティ管理」を閉じ、A、Bのビューポートの表示を確認します。Aのビューポートでは画層「09_Dim」で作成された赤い寸法は表示されません。Bのビューポートでは表示されているのが分かります。ビューポートの枠外でダブルクリックします。

図7

5.Bのビューポートの枠内をダブルクリックし、画層プロパティ管理を実行し、画層「08_Dim」をフリーズします。

図8

6.下図のような結果となります。

図9

工場レイアウトの管理でこの機能を使用すると、以下のような図面作成が簡単にできます。

図10

ビューポートごとに画層の色、線種を制御する

モデル空間に配置したオブジェクトの色、線種をビューポートごとに制御できます。

1.モデル空間にはBYLAYERで下図のように作図をします。

図11

2.ビューポートの枠内でダブルクリックし、画層プロパティ管理を実行します。「VPの色」、「VPの線種」の項目で下図のように設定をします。

図12

3.下図のように、二つのビューポートで、オブジェクトの色、線種の表示の違いが確認できます。

図13

ビューポートの回転方向の制御

ビューポートを回転する

ビューポートを作成後、回転する方法です。

1.二つのビューポートは複製したビューポートです。修正の回転(ROTATE)コマンドを使用し、下のビューポートに角度を付与すると下図のようになります。

図14

2.VPROTATEASSOCを「0」に設定し、回転(ROTATE)コマンドを実行すると、ビューポートだけが回転し、図形は回転しません(既定値は1)。

図15

ビューポートに表示される図形の回転角度を制御する

モデル空間に作図されたオブジェクトを、ビューポートで常に水平方向に表示を制御したい場合の作図方法です。土木図面などで連続した道路や河川の平面図に使用すると便利です。ビューポートを作成する前に、モデル側でユーザー座標を作成する必要があります。通常使用しているのはワールド座標(AutoCADの既定値座標系)ですが、原点やX座標・Y座標の方向を変更したものがユーザー座標です。

今回は、下図のように図郭に合わせて三つのビューポートを配置したレイアウトを作成したいと思います。

図16

1.メニューバー/ツール/UCS/「オブジェクト」を実行します。

図17

2.オブジェクトの線上をクリックします。選択時に左側をクリックすると原点は左端に設定され、X軸、Y軸の方向が下図のようになります。

図18

3.メニューバー/ツール/「UCS管理」を実行します。直前で作成したUCS(ユーザー座標)が「Unnamed」となっているので、クリックして名前を付けます。今回は「01」とします。

図19

4.2.と3.の作業を繰り返し、01、02、03のUCS(ユーザー座標)を作成します。

図20

5.レイアウトでビューポートを作成し、ビューポートの枠内をダブルクリックします。メニューバー/表示/3Dビュー/プランビュー/「UCS選択」を実行します。

図21

6.コマンドラインにUCS名を入力し、Enterします。「01」と入力します。

図22

7.ビューポート内のUCSが01に変更され、下図の表示になります。ビューポートの尺度などを整えます。

図23

8.7.の手順で「02」、「03」のレイアウト(ビューポート)を作成します。

図24

9.モデル空間の座標系をワールド座標に戻します。3.の手順でユーザー座標を作成すると、現在の座標系が最後の座標系になっています。UCS定義管理ダイアログで「ワールド」を選択し、「現在に設定」を選択します

図25

いかがですか? 皆さま、ビューポートの便利機能についてご理解いただけたでしょうか。次回は、レイアウトの印刷について解説します。

AutoCAD レイアウトの印刷方法