【Autodesk Inventor】Inventor Studioで手軽にレンダリング。アニメーションも作れます

2024年12月11日

製造業

この記事では、Autodesk Inventorの機能であるInventor Studio環境で、商品画像を作る方法をご紹介します。前回の記事では、CGソフトの3ds Maxを使いましたが、実はInventorだけでも手軽にビジュアライゼーションが可能です。

【Autodesk Inventor×3ds Max】商品画像風のCGを自力で作る方法

アセンブリの拘束を利用したアニメーションも作れますので、構造や仕組みを手軽にアピールできます。

動作環境

この記事の環境は、下記のとおりです。

  • Autodesk Inventor Professional 2025
  • Windows 10

今回作る画像

今回は、下図のような静止画像と簡単なアニメーションを作ります。

まずは通常どおり3Dモデルを作る

先述のとおり、この記事では3DモデルはAutodesk Inventorで作っておきます。今回のサンプルファイルは、本体・ボルト・ナットの3部品から構成されるアセンブリファイル(.iam)として作成しています。

背景の色を変えたい場合は、押し出しで大きめの床を作っておいてください。

外観を設定する

作成した3Dモデルに質感を与えます。まずは本体から設定していきましょう。左端のブラウザーで該当する部品を選択して、画面上部のアイコンから外観ブラウザーを立ち上げます。

立ち上がったブラウザーの「Inventor Metal Library ▼」の▼マークをクリックすると材料のカテゴリー名が展開されます。その中からメタルを選びます。

そうすると画面に複数の金属が表示されます。今回は「鉄 ねずみ鋳鉄」を右クリックし、「選択項目に割り当て」を選択します。選ぶ材料は、厳密に現実と同じでなくても構いません。見た目が理想に合うものを選んでください。

外観が変わりました。

ボルトとナット

ボルトとナットは、「メタル」カテゴリーの「クロム - つや出し黒」を割り当てます。

床は、デフォルトの外観の色を変更しておきます。

  1. 使用されている外観は、外観ブラウザーの上部に表示されています。その中から「規定」という名前の外観をダブルクリックします。
  2. 表示された外観エディターの色の横にあるボックスをダブルクリックします。
  3. 色の設定画面が出ますので、好きな色を選んでOKボタンで閉じます(さらに調整したい場合は、「色の作成>>」ボタンを押してください)。
  4. 外観エディターのOKボタンを押します。

外観ブラウザーは、右上の×で閉じます。

Inventor Studio環境へ

環境タブ→Inventor Studioをクリックします。そうするとレンダリングのための環境に変わります。ここでレンダリングに関する設定をしていきます。

Inventor Studio環境に入るとブラウザーも環境に特化した内容になります。

構図を決めて、カメラを作成

ビューの中で見え方を調整して、最終的に出力したい画像の構図を決めてください。

構図を決めたら左側のブラウザーのカメラを右クリックし、「ビューからカメラを設定」を選択します。ビューの見え方を反映したカメラを作成できます。

▼「カメラ1」という名前のカメラが作成されました。

これだけで、すぐにレンダリングが可能になりました。なお、カメラの他に設定可能な項目は、主に以下の二つです。

  • Studio 照明スタイル
  • ローカルライト

前者はデフォルトで用意されており、レンダリング時に選択できます。後者のローカルライトは見た目に大きく影響することはありません(モデルの条件によります)。「とにかく早く作りたい」という場合は、構図だけ決めたら後は即レンダリングしてしまいましょう。

レンダリング開始

では早速、左上のティーポットのアイコン「レンダリングイメージ」をクリックします。

設定画面が表示されますので、設定していきます。

一般タブ

  • 画面サイズは数値で入力してもOKですが、アクティブなビューを選択すると現在のビューの数値が入力されます。
  • カメラは、先ほど作ったカメラ名「カメラ1」を選択します。作っていなければ、「現在のビュー」を選択しても構いません。
  • 照明スタイルは、任意で選んでください(サンプル画像では、Sharp Highlightsを選びました)。

レンダラタブ

見た目に関わる項目です。値が高ければ見た目はきれいになりますが出力時間が長くなります。

  • 時間に余裕がある場合、「十分な結果が得られるまで」をオンにしておき、目視で状態を確認し、一時停止して画像を保存するようにすればよいでしょう。
  • 設定が一通り終わったら、「レンダリング」ボタンをクリックして、レンダリングを開始します。

ファイルを保存

ある程度きれいになったら、右上の赤い×マークをクリックして、レンダリングを中断します。

中断したら、保存ボタンをクリックするとPCに画像を保存できます。

アニメーションも作れる

引き続いて、下図のようなアニメーションも作ってみます。

アニメーション環境を準備

左側のブラウザーのアニメーションフォルダーアイコンを右クリック→新規アニメーションを選択します。

アニメーション1という項目が増えます。ダブルクリックして、アクティブにしてください。画面に「アニメーションタイムライン」というウィンドウが表示されます。

アニメーションは、このタイムラインでタイミングなどを調整していきます。

拘束アニメーションを設定

レンダリングタブ→アニメーションパネル→拘束をクリックします。

表示されたウィンドウのアニメーションタブ→選択ボタン(1)で、動きを与えたい拘束条件を選択します。今回はボルトを回転させたいですので、角度の拘束を選択(2)します。選択したら、拘束条件の可変範囲(3)や時間の範囲(4)を入力し、OKで閉じます(5)。

そして、タイムラインの右上の「アクションエディターを展開」ボタンをクリックします。そうすると先ほど設定した角度の項目が表示されます。横軸は時間で、青い帯はドラッグでの移動や伸縮が可能です。

同じ要領で、ボルトとナットの距離などを拘束アニメーションとして設定します。

プレビューで確認

動きは、再生ボタン(1)を押すとプレビューできます。下側のボタン(2)を押せば、1コマずつ動作を確認できます。

簡単なクリックと入力だけで、下図のようなアニメーション設定が完了しました。

動画を出力する

アニメーションの設定が済んだら、後は動画として出力できます。タイムラインの[アニメーション記録]ボタン(赤い丸ボタン)を押します。

出力サイズや出力先の設定画面が出てきますので、適宜設定します。

一般タブ

数値で入力してもOKですが、アクティブなビューを選択すると、現在のビューの数値が入力されます。照明スタイルは、任意の設定を選んでください。

出力タブ

  • 動画ファイル(.wmv)の保存先を入力します。
  • 時間範囲も忘れずに設定してください。
  • 写実的な質感で出力する場合は、「プレビュー:レンダリングなし」のチェックを外してください。チェックを入れると普段のInventorの編集画面のような外観で出力されます(後述)。

レンダラタブ

見た目に関わる項目です。値が高ければ出力は遅くなりますが見た目がきれいになります。サンプルとして作ったアニメーションは「反復によるレンダリング」の設定が64で、レンダリング時間は約10分でした。

設定したら、最後に右下の「レンダリング」ボタンを押します。処理は設定によりますが数分かかります。終わったら、先に指定した場所に.wmvファイルが保存されています。

▼gifファイルに変換しているので少し粗いですが、以下のような外観で出力されました。

リアルさを求めなければ、速くなる

動画の出力は、外観の質感のリアルさを求めなければすぐに終わります。例えば、先ほどのレンダリング時の設定画面で出力タブの「プレビュー:レンダリングなし」にチェックを入れると、下図のような外観で出力されます。

手順は以上です。

7. 最後に

前回紹介した3ds MaxのようなCGソフトと比べると、写実的な仕上がりには限界があります。しかし、調整項目が限られている分、少ない工数で手早く一定の品質を確保した画像の作成が可能です。この機動力の高さをプレゼンテーションなどにぜひ活用してみてください。