AutoCAD オプションダイアログでの設定

2024年12月17日

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自分仕様にカスタマイズする Vol.1

AutoCADをご使用の皆さま、またこれからAutoCADを使いたいと思っていらっしゃる皆さま、今回の記事ではAutoCADの環境を「自分仕様にカスタマイズする」方法を幾つかご紹介します。ちょっとしたことでも「これができたらな……」「前使っていた環境がよかったな……」と思いながら毎日AutoCADでオペレーションしていませんか? オプションダイアログやワークスペースをご理解いただき、より使いやすい環境を実現しましょう。

オプションダイアログとは

AutoCADで環境を制御するには「システム変数」を使用します。コマンドの動作や、操作の既定値、インターフェイスの外観をコントロールします。

例えば、画面の背景色を変更します。多くのシステム変数はファイルに保存されるものと、レジストリに保存されるものがあります。レジストリ? というと分かりにくいですが、一度設定するとファイルではなく、AutoCADのユーザーごとに環境に保存されると考えるとよいでしょう。システム変数はコマンドラインに直接入力し、値を変更できますが、オプションダイアログでは、AutoCADユーザーがよく使用するシステム変数の変更をダイアログ形式で提供しています。また、各種ファイルの読み込み・保存先のパス設定もオプションダイアログで変更できます。

オプションダイアログの実行方法

AutoCADを長くご使用になっているユーザー様でも、「オプションは使用したことないよ」という方が結構います。理由の一つとしてコマンドの場所が分かりづらいということがあります。

以下の方法で実行できます。

1.アプリケーションメニューから実行

2.メニューバーから実行
ツール/オプション

  • * メニューバーは、クイックアクセスツールバーより表示できます。

3.ショートカットキーで実行
コマンドラインに直接「OP」と入力しEnter

オプションダイアログでよく使用する項目

表示タブ

インターフェイスの色調や各部の色設定、その他表示に関する設定ができます。

1.カラーテーマ
インターフェイスの全体の色調をコントロールします。

ダーク

ライト

2.マウスで触れると表示されるチップやタブの表示をコントロールします。

ロールオーバーチップ

「ツールチップ」から「拡張ツールチップ」への表示変更の秒数も指定できます。

3.各項目の色変更をします。

  • * コンテキスト+インターフェイス要素で変更する項目を選択し、色をプルダウンより選択します。
  • * 変更後、既定値に戻したい場合は「現在の要素を復元」を実行します。

4.コマンドラインコマンドウィンドウのフォントの変更をします。

5.クロスヘアカーソルのクロス長さを変更します。

5(既定値)

100(100にした場合は無限線表示)

開く/保存タブ

ファイルの保存形式やファイルの安全確保について設定します。

1.保存のファイル形式
「名前をつけて保存」、「上書き保存」の保存形式を指定できます。複数のAutoCADバージョンを使用している場合、下位のバージョンに設定しておくと社内でのデータ共有がやりやすくなります。

2.自動保存の時間
強制終了やAutoCADがハングアップした場合の救済措置として、「自動保存ファイル」が作成されます。AutoCADの操作中に以下のメッセージが表示されるのをご覧になったことがあると思います。

オプションダイアログでは、自動保存ファイルを作成する間隔を設定ができます。

自動保存ファイルは、指定フォルダーに拡張子「.sv$」で作成されます。正常にAutoCADが終了すると削除されます。自動保存のフォルダーパスは、「ファイルタブ」で変更できます。変更する場合は既存のパスを選択し、「除去」、「参照」で指定フォルダーを選択します。

参考1.強制終了した場合の手順について

1.AutoCAD強制終了時に「最後のコマンドまで保存しますか?」と聞かれた場合は「はい」とします。→作業フォルダーに「ファイル名_recover」というファイルが作成されます。これが最新のデータになります。

2.何も聞かれなかった場合は、AutoCADを再起動します。画面左に「図面修復管理パレット」が表示された場合は、このパレットに表示された「ファイル名フォルダー」の+を展開します。

  • * パレットが自動で開かない場合は、アプリケーションメニュー/修復/図面修復管理を「開く」を実行します。

ファイルを選択すると更新日時など、詳細で確認できます。

最新のファイルを選択し右クリックのメニューより「開く」を実行します。

3.手動で自動保存ファイルを開く
「図面修復管理パレット」を開いても目的のフォルダー・ファイルリストがない場合は、手動で自動保存ファイルを開けます。自動保存ファイルの作成されるフォルダーパスを確認し、エクスプローラでそのフォルダーを開きます。「ファイル名.sv$」の拡張子を手動で「.dwg」に変更すると開けます。

参考2.間違って上書き保存した場合の救済について

「上書き保存」をすると作成フォルダー内に「ファイル名.bak」というファイルが作成されます。エクスプローラーでそのフォルダーを開きます。「ファイル名.bak」の拡張子を手動で「.dwg」に変更すると一つ前の保存状態のファイルを開けます。

  • * 上書きをする度、「.bak」ファイルも更新されます。
  • * 同一フォルダー内に同じ拡張子で同じ名前のファイルは作成できませんので、ファイル名は変更してください。

印刷とパブリッシュタブ

印刷やパブリッシュの設定ができます。今回はあまり周知されていないシステム変数で便利な「印刷スタンプ設定」についてご案内します。印刷のおり、印刷日時や印刷者など、必要な情報を図面にスタンプとして印刷できます。

印刷スタンプフィールドで必要な項目にチェックをします。フィールドにない項目はユーザー定義フィールドで追加できます。設定した内容はパラメーターファイルとして保存できます。

印刷時に印刷ダイアログで下図にチェックをし、印刷します。

作図補助タブ

作図補助に関する設定ができます。基本的には既定値で使用します。強制終了などで動作がおかしくなった場合は、下図の既定値に戻してください。

選択タブ

選択に関する設定ができます。強制終了などで動作がおかしくなった場合は、下図の既定値に戻してください。

1.修正のコマンドを実行し、選択のタイミングで、作図領域のクロスヘアカーソルがピックボックスの表示に変わります。サイズが小さく選択しづらい場合はサイズアップしてみましょう。グリップの大きさも同じようなサイズ感にしておくと違和感がありません。

2.少し前のバージョンから窓選択時に「クリック」ではなく、「ドラッグ」すると投げ縄選択となりました。操作に慣れない方はここのチェックを外してください。

オプションダイアログでの設定はどこに保存されるのか

オプションダイアログはAutoCADのシステム変数を分かりやすくダイアログにまとめたものです。最初にお話ししたように、システム変数はファイルに保存されるものと、レジストリに保存されるものがあります。どちらに保存されるかは、AutoCADのヘルプでご確認いただけます。

オプションダイアログではマウスで触れると下図のようにシステム変数名が表示されます。例えば「クロスヘアカーソルのサイズ」の場合は、下図のように「CURSORSIZE」というシステム変数だと分かります。

AutoCADヘルプで検索すると、保存先がレジストリだと分かります。

いかがですか? 皆さま、AutoCADでのオプションついてご理解いただけたでしょうか? 次回は、「マウスとキーボードのカスタマイズ」についてご案内したいと思います。