AutoCAD マウスとコマンドエイリアスのカスタマイズ

2025年 1月14日

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自分仕様にカスタマイズする Vol.2

AutoCADをご使用の皆さま、またこれからAutoCADを使いたいと思っている皆さま、前回の記事ではオプションダイアログの操作を通してAutoCADのコマンドの動作や環境を制御するための「システム変数」についてご紹介しました。オプションダイアログを使用することで画面の背景色、ピックボックスのサイズなど、自分仕様にカスタマイズが可能であることをご理解いただけたのではないかと思います。

AutoCAD オプションダイアログでの設定

今回の記事では「マウス(右クリック)を自分仕様にカスタマイズ」する方法・コマンドのエイリアス(省略系)をカスタマイズする方法についてご紹介します。

右クリックで表示される「編集メニュー」、「ダブルクリックアクション」などのカスタマイズ方法については次回以降の記事でご紹介予定です。

既定値でのマウスの動作

最初に既定値のマウスの動作を確認しておきましょう。既定値でのマウス動作は以下のとおりです。5.の動作は知らないユーザーも多いので、ぜひお試しください。

1.左クリックコマンドを選ぶ
オプションなどのメニューを選ぶ
オブジェクトを選択する
コンテキストタブ(編集用タブ)の表示
2.左ドラッグ投げ縄選択

AutoCAD オプションダイアログでの設定

3.左ダブルクリック指定のコマンド実行(文字編集など)
4.右クリック確定する(Enterの役割)
メニューを表示する
5.右クリック長押し選択解除→ESCキーを押さなくてもいいので便利です。
6.Shiftキー(Ctrlキー)+右クリック画面上に「一時オブジェクトスナップ」を表示。
「一時オブジェクトスナップ」を使用するタイミングは「常時オブジェクト設定していないスナップを使用したい」「指定したスナップを最優先に使用したい」「2点間中点を使用したい」などです(図1参照)。
7.ホイールボタン拡大・縮小(ホイールボタンの回転)
画面移動(ホイールボタンを押したままドラッグ)
オブジェクト範囲ズーム(ホイールボタンのダブルクリック)
8.Shiftキー+ホイールボタンのドラッグ3Dオービット(3D空間での回転表示)

図1:文字の移動先に2点間中点を使用すると、ボックスの中央に文字を配置可能

オプションダイアログで右クリックをカスタマイズする

オプションダイアログの「基本設定」タブで右クリックの動作をカスタマイズできます。

1.「右クリックをカスタマイズ」のボタンを押します。

2.下図のように変更し、適用します。

3.「作図領域のショートカットメニュー」は、自動的にチェックが外れます。

4.動作を確認してみます。右クリックはEnterキーの動作になっているのが分かります。線分コマンドを実行すると、右クリックでコマンド終了、右クリックで線分コマンドを再実行となります。

  • * ショートカットメニューの表示がされないので、オプションの選択はキーボード、またはコマンドラインから選択となります。
  • * 右クリックの長押しで選択解除ができなくなります。

5.右クリックの高度な設定
下図にチェックをすると、右クリックの時間の長さで「Enter」、ショートカットメニュー表示を制御できます。また、右クリック長押しの選択解除も可能です。

コマンドエイリアスとは

「コマンドエイリアス」とは、AutoCADのコマンドを実行するための省略キーです。多くのユーザーは、コマンドをリボンやツールバーのアイコンから実行することが多いと思いますが、キーボードに直接コマンドを入力しても実行可能です。

コマンドラインに直接「LINE」と入力すると線分コマンドが実行されます。下図のように「L」とだけ入力しても線分コマンドは実行できます。

「L」が線分コマンドのコマンドエイリアスになります。コマンドエイリアスを使用すると、AutoCADの環境が変わり、アイコンが見つからなくてもキーボードから簡単に操作できます。

コマンドエイリアスの保存先

コマンドエイリアスは「acad.pgp」というファイルに保存され、管理されています。このファイルはどこに保存されているのでしょうか?

オプションダイアログの「ファイル」タブで「このフォルダーかな?」と予測することはできますが、たくさんあるフォルダーパスから調べることはなかなか難しいところです。

コマンドラインに直接以下を入力し、Enterすると保存先のフォルダーパスを調べられます。

Windowsエクスプローラーで確認します。そのままWindowsエクスプローラーにテキストを貼り付けると、フォルダーの区切りの\マークが二つになるので一つに編集してください。

コマンドエイリアスの編集方法

1.「acad.pgp」ファイルをWindowsエクスプローラーでコピーし、別名のファイルとしておきます。「acad.pgp」ファイルを同名で上書きして使用するため、バックファイルとしてコピーしておくことをお勧めします。

2.AutoCADの管理タブ/カスタマイズパレット/エイリアスを編集を実行します。

  • * Windowsエクスプローラーで直接「acad.pgp」ファイルを開く場合は、メモ帳で開いてください。

3.下にスクロールしていくとコマンドに割り付けられているエイリアスを確認できます。

よく使用している「OP」・「LA」などを確認すると分かりやすいと思います。

4.カスタマイズをする場合、記述されている内容を編集するのではなく、一番下の行にカスタマイズの内容を追記します。ここで追記した内容が上の既定値の内容より優先されます。

5.既定値では「C」→「円を作成(CIRCLE)」、「MI」→「鏡像(MIRROR)」となっていますが、「C」→「複写(COPY)」、「MM」→「鏡像(MIRROR)」に変更してみます。

6.ファイルを上書きして閉じます。

7.動作確認の準備をします。AutoCADを再起動します。

  • * AutoCADを再起動しない場合は、コマンドラインに直接「REINIT」と入力し、Enterします。ダイアログの「PGPファイル」にチェックをし、OKでダイアログを閉じます。

8.コマンドラインに「C」と入力するとリストの表示が下図のようになります。Enterで「複写(COPY)」が実行されるのが確認できます。

コマンドラインに「MM」と入力すると、リストの表示が下図のようになります。Enterで「鏡像(MIRROR)」が実行されるのが確認できます。

いかがですか? 皆さま。マウスの右クリックをオプションダイアログでカスタマイズするとクリック回数が減ります。また、アイコンの場所を探すのが面倒なコマンドは「コマンドエイリアス」を活用すると便利になります。

次回は「ユーザーインターフェイス カスタマイズダイアログ」を使用して、さらなるマウスのカスタマイズについてご案内します。

AutoCAD「ユーザーインターフェイスをカスタマイズ」を使って自分仕様の環境に