テクノロジー編 BIM on VDI徹底対談

VDI(仮想デスクトップ)での
BIM活用が加速。
建設業の”設備投資・運用”と
”働き方”を大きく変える。

建設業界でBIM(Building Information Modeling)活用が加速しています。BIMソフトウェアの活用で必要となるのはハイエンドPCですが、その機能実装で新たなテクノロジーとして期待されているのが、仮想GPUを搭載したVDI技術です。そして、VDI環境でBIMソフトウェアを活用する「BIM on VDI」は大きな注目を集めています。今回は大塚商会に加え、エヌビディア社、レノボ社を招き、BIM on VDIのエキスパート集団に「BIM on VDI」の技術背景と導入のポイントをインタビューしました。

BIM on VDI 登場の背景

BIMソフトウェアをVDI環境で本格稼働。
コスト・管理メリットはもちろん設計業務環境を変える。

VDI環境でBIMを使おうというニーズはいつごろから出てきたのでしょうか?

長井尚史BIM活用でVDIニーズが急速に高まったのはここ1、2年ですが、シンクライアント環境でCADを使いたいというニーズは10年以上前からあります。
ただ、当時の仮想デスクトップは、グラフィックボード性能や画面転送プロトコルなどに多くの課題があり、2DCADでも快適に使える状況ではありませんでした。しかし現在では、NVIDIA GRIDテクノロジーの仮想GPUの登場により、BIMソフトウェアが快適に動作する環境の構築が可能になりました。

BIM on VDIのメリットとしてはどのようなことが期待されていますか。

長井尚史メリットは大きく分けて三つあります。一つめは投資コストの最適化です。BIMソフトウェアを利用する時はVDI、オフィス系業務など高いスペックを必要としないソフトウェアを利用する時は自分のPCを利用すると、全員に高機能PCを配布する必要がなくなり、IT資産の利用効率が格段に上がります。

株式会社大塚商会 PLMソリューション営業部
課長 長井尚史

二つめに、システム管理者にとって端末管理の工数減が図れるという点です。BIMソフトウェア活用といってもさまざまな目的に応じた業務があり、それぞれ使うソフトウェアが違い、必要とするPCスペックも異なります。
管理者は各ソフトウェアが動作するPCの選定から調達・設定・配布・撤去という作業があり、配布後は利用者からのトラブル対応に追われていますが、VDIを利用すると工数の多くが削減できます。

三つめは、働き方を変えられるというメリットです。端末とVDIサーバーをセキュアな方法で外から接続すると、どこからでも社内と変わらない仕事ができます。建設業では現場や出先での打ち合わせでもBIMソフトウェアを利用できますし、在宅勤務を含むテレワークを促進して働き方を変えていこうという取り組みも進められています。これからはVDI環境さえあればもう重いモバイルワークステーションを持ち歩く必要もなく、タブレットPCで全て対応でき、セキュリティも万全です。
建設業では2020年の東京五輪に向け、深刻な人手不足に陥っていますので、生産性を上げることと、働き手の確保が大きな課題。VDIはその課題を解決する有効な手段で、”攻めの働き方改革”を実現するツールとして大きな役割を持っています。

BIM on VDIを支える技術

VDIでのBIMソフトウェア稼働を
実現したのは、「GPU仮想化技術」

株式会社大塚商会
PLMソリューション営業部 アプリケーションスペシャリスト
大福浩之

BIM on VDIはどのような技術によって実現されているのでしょうか?

大福浩之BIMは建設業界における、設計業務の3D化の核になるコンセプトでありAutodesk Revitはそれを具体化したソフトウェアです。これを利用するために欠かせないのが3D演算の計算能力であり、現在その機能はGPU(Graphics Processing Unit)が担っています。一方、VDIはサーバー側に仮想PC環境を作り、そこでソフトウェアを動かして、画面だけをクライアントPCに転送する仕組みです。

エヌビディア合同会社
エンタプライズ事業部 ビジュアライゼーション部
部長 田上英昭氏

NVIDIA GRIDの技術概要を教えてください

田上英昭氏これまではVDI環境下でGPUを使うための技術は幾つかありましたが、いずれもGPUのフル機能の利用が難しく、グラフィックス性能は不十分で、VDIで3DCADを動かすうえでの制約になっていました。
一方、NVIDIA GRIDが新しく表現したのがGPU完全仮想化方式と呼ばれる技術。一つのGPUボードで多数の仮想PC環境に対して完全なGPU機能をご提供できます。
例えばTesra M60であれば一枚で最大32ユーザーの仮想PCから同時利用可能です。これによって高機能GPUを必要とするBIMのようなソフトウェアもVDI上で快適に動作させられます。しかも仮想環境ですから柔軟性が高く、ヘビーユーザーとライトユーザーでGPUなどのリソース配分を変えるような設定も可能です。この技術によって高機能GPUを必要とするBIMのような3DCADソフトウェアもVDI上で快適に動かせる条件が整った状況です。

【動画】CAD VDI GPU あり/なしパフォーマンス検証

BIM on VDIの導入をするにあたって、レノボ社はどのような役割を担っているのでしょうか。

大月哲史氏業務の中核を担うシステムでは性能と安定性の両立が至上命題です。そのために当社は実際の使用環境に即した構成で動作確認をする技術検証に力を入れています。
検証センターをお客様にも開放しているので実際の稼働条件に近い環境で検証していただけます。例えばデータセンターが北海道や九州のような遠隔地にあっても実用に耐えられるかとご不安な方も多いようですが、一般的には有線環境があれば問題ありませんし、外国でも参照程度なら活用できます。実際に北海道のお客様オフィスの端末からWAN回線を通して東京のレノボ検証センターに接続して1カ月間BIM on VDIを試験利用して導入されたようなケースもあります。
当社で検証を行えば、導入の不安がなくなりますし、導入後もサーバー稼働監視サービスなどで、エンタープライズ用途に不可欠な安心をご提供できていると自負しております。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社
データセンター・ソリューション事業本部
ビジネスデベロップメントマネージャー 大月哲史氏

各種検証が行えるレノボ・エンタープライズ・ソリューション・センター(秋葉原)

吉岡卓也氏我々の目から見るとレノボ社はエンジニアが多く、新しい技術へのキャッチアップが早いという安心感があります。例えばBIM関連でいえば、サーバーのハードウェアとOSばかりでなくGRIDとBIMについても詳しいエンジニアがいて貴重な技術ガイダンスを提供してくれるので、とても頼りになる相談役といえます。

株式会社大塚商会
PLMソリューション営業部
専任課長 吉岡卓也

お勧めのお客様と導入時に気を付けるべきポイント

大手ゼネコンからアトリエ系事務所まで、
働き方変革・生産性向上のかぎを握るBIM on VDI。

株式会社大塚商会
CADプロモーション課
課長 野崎雅弘

BIM on VDIの導入に適した会社のイメージをお聞かせください

野崎雅弘氏BIM on VDIは最小構成ならばサーバー1台にユーザー数名といった規模でも利用できますし、今後はクラウドサービスでの提供も予定されています。そのため大手、準大手ゼネコンや組織系設計事務所はいうまでもなく、数名から数十名の会社においても活用可能です。ただし、従来通りの物理環境で構築する場合と比べると、ハードウェア、ソフトウェアなどの見た目のコストが安いわけではありません。端末の更新サイクルを長くできたり、保守管理を簡略化できたりするためライフサイクルコストは安くなると期待できますが、その額を正確に見積るのは難しいですし、コストダウンを目的として導入企画を立てることはお勧めできません。
VDIの本質はコストダウンではなく働き方の変革であり、『どこからでも仕事ができる』ことによる生産性向上や従業員の負担軽減、それにより人材確保ができる。従来できていたことをより安くこなすためのツールではなく、従来できなかった働き方を実現する、攻めの経営のための道具と考えるべきであり、そのように前向きに働き方を変えていこうという会社が、VDIから最大の利益を得られるでしょう。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社

レノボ・グループによるIBM社のx86サーバー事業買収に伴い、日本IBMのx86サーバー事業を引き継ぐ形で2014年に設立。エンタープライズ市場向けのサーバー製品を中心に扱い、技術検証サービスにも力を入れている。

エヌビディア合同会社

1999年にエヌビディアが発明したGPUは、近代コンピューターグラフィックの定義を一新し、並列コンピューティングに革新をもたらした。最近では、GPUディープラーニングが近代AIの起爆剤となり、ロボット、自動運転車などの中枢にGPUが利用されている。今日、エヌビディアは「AIコンピューティングカンパニー」としてさらにその名を高めている。

株式会社大塚商会

コンピューター・ネットワーク関連のシステムインテグレーション、保守、アウトソーシング事業大手。特定のメーカー、ベンダーに縛られず、さまざまな製品から顧客の要望に合うシステム構成を提案し、構築・保守・運用・サポートまで一貫して手がけることに強みを持つ。

BIM on VDIの円滑な導入を支援する
「検証センター」(秋葉原UDX内)を設置!

品質の高いクラウド基盤として実績のある「System x」サーバー製品や
クライアント製品を常設、最新のハードウェア環境と
お客様データでVDIソリューションの検証が可能

大塚商会は、VDIソリューション分野におけるパートナーとしてレノボ・エンタープライズ・ソリューションズとパートナーシップを結んでいます。レノボ・エンタープライズ・ソリューションズが運営する「レノボ・エンタープライズ・センター」(東京・秋葉原UDX内)では、最新機種を用いた各種の検証作業を行うことができます。

電話でのお問い合わせ

03-3514-7823

株式会社大塚商会 CADプロモーション部戦略推進課

営業時間 9:00~17:30(土日祝日/当社休業日を除く)

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