AutoCADダイナミック文字とマルチテキストの違い

2023年 5月 1日

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AutoCADで文字を効率的に作図するには? Vol.1

長年AutoCADをお使いのユーザーでも、文字の作成方法について「この書き方でいいのかな?」「過去のデータをそのまま流用しているので、あまりよく理解できていない」という方もいらっしゃると思います。

今回はそんなユーザーに向けて、文字についての有用な情報をお届けします。新規にAutoCADを導入し「さて、これから図面を描くぞ!」というお客様にもぜひ参考にしていただければと思います。

ダイナミック文字とは?

ダイナミック文字は別名「1行文字」と呼ばれています。その名前の通り1行で完結する文字です。注記などの文字作成では、多くの場合ダイナミック文字を使用するのが正解です。その理由は文字を作成、また、は配置済みの文字を編集するときの効率の良さにあります。

ダイナミック文字の作成方法

1.使用する文字スタイルを選択します。文字を作成する前に文字スタイルを設定しておく必要があります。設定方法については次のページをご確認ください。

【AutoCAD LT操作】文字列を記入する

2.注釈タブ/文字記入(TEXT)を実行します。マルチテキスト右の下向き三角ボタンを押すとあります。

3.文字列の始点を画面上で指示(左クリック)します。

4.文字の高さを入力し、Enterを押します。文字の高さは図面の尺度に依存します。印刷時文字高さ3mmの場合、尺度1 / 1→3 尺度1 / 2→6 尺度1 / 5→15尺度の逆数を印刷時の文字高に掛け算します。

5.文字の角度を入力し、Enterを押します。水平なら0にします。

6.文字の内容を記入します。Enterを押すと改行されて次の文字が作成できます。コマンドを終了する場合はEnterを2回押します。

後述するマルチテキストと違いエディターが表示されません。単純に文字を作成し、Enterでコマンド終了ができます。また、1回のコマンドで複数行文字の作成ができますが、作成された文字は個別の文字オブジェクトになります。

ダイナミック文字の編集方法

1.編集したいダイナミック文字をダブルクリックします。AutoCADではダブルクリックアクションで文字編集(TEXTEDIT)が実行されるよう設定されています。

2.内容を編集後、Enterします。文字が上書きされる状態になっていますので、ストレスなく編集できます。

3.続けて二つ目の文字を編集する場合は、次の文字をダブルクリックではなくクリックすれば編集できます。コマンドを終了する場合はEnterを押します。

マルチテキストとは?

マルチテキストはエディターを使用し、ワードライクに文字を作成することができます。ダイナミック文字とは違い、書式を設定した文字列や文章を作成するのに適しています。また、寸法線・各種引き出し線に使用されているのもマルチテキストです。

  • 文字列の折り返し・段落内の個々の文字や語句を書式設定・段組・スタック文字
  • 箇条書きと番号付きリスト・タブとインデント など

マルチテキストの作成方法

1.使用する文字スタイルを選択します。エディター内でフォントを直接選択することもできますが、文字スタイルでの設定フォントと乖離(かいり)し、プロパティコピーに反応しないなど煩雑なデータになります。

2.注釈タブ/マルチテキスト(MTEXT)を実行します。

3.マルチテキストを作成する範囲を指示します(1点目:クリック、2点目:クリック)。

4.テキストエディターというコンテキストタブ(一時的に表示されるタブ)が表示されます。

5.文字を作成します。Webサイトの文字やExcel / Wordなどで作成された文字テキストもコピー/貼り付け可能です。

6.必要に応じて選択した文字の書式を変更、位置合わせ、記号の挿入などを行います。

  • 一部文字高さ変更
  • 中央揃え/選択した文字を上付き文字
  • 右揃え/選択した文字に下線と上線
  • 選択した文字に取り消し線(注1)
  • (注1)取り消し線は二重線にはできません。

7.テキストエディターを閉じるでコマンドを終了します。Enterでは終了できません。

マルチテキストの編集方法

1.編集したいマルチテキストをダブルクリックします。AutoCADではダブルクリックアクションでマルチテキスト編集(MTEDIT)が実行されるよう設定されています。

2.内容を編集後、テキストエディターを閉じるでコマンドを終了します。Enterでは終了できません。編集する文字列を毎回選択する必要があります。

マルチテキストでの便利な機能

マスク

文字の後ろに塗りつぶしの背景を作成してくれます。図形の上に文字を配置するのに便利です。文字を選択し、マスクのボタンをONします。ダイアログで図形の背景の色を使用にチェックをします。チェックを外すと指定した色の背景マスクとなります。

次の図のように文字の下の図形が非表示になります。一つ作成すれば複写して使用できます。

スタック

スラッシュ(/)で挟んだ前後の文字を上下に分割して配置できます。下図のように文字を作成後、スタックのボタンをONします。

既定値では分数(水平線)になります。右クリックのメニュー/スタックのプロパティで外観の変更ができます。

OKをし、テキストエディターを閉じます。

寸法線のプロパティで許容差を設定すると、寸法値と許容差の間に文字を挿入できませんが、スタック文字を使用すると、次のように表現できます。

解除

マルチテキスト内で選択した範囲の文字列に設定した書式の設定を一括解除できます。

マルチテキストをダイナミック文字に

ホームタブ/分解(EXPLODE)を実行すると、ダイナミック文字になります。

ダイナミック文字をマルチテキストに

挿入タブ/文字を結合(TXT2MTX)を実行すると、マルチテキストになります。

ダイナミック文字とマルチテキストどう使い分ける?

コマンドとして既定値でマルチテキストが優先されていたり、寸法線・引き出し線に使用されていたりするので文字の作成はマルチテキストでと思いがちですが、一般的な注記(コメント類)はダイナミック文字、文章また、は特別な書式設定が必要な場合は、マルチテキストと用途を分けて使用していただくことが文字を効率良く作成する一つのポイントとなります。

次回は、文字スタイルの設定方法とフォントについてご案内します。

AutoCAD文字スタイルの設定方法とフォントについて