AutoCAD文字スタイルの設定方法とフォントについて

2023年 6月12日

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AutoCADで文字を効率的に作図するには? Vol.2

前回の記事でお伝えしたように、ダイナミック文字でもマルチテキストでも文字を作成するには、事前に文字スタイルを設定する必要があります。また、文字だけではなくマルチテキストを構造上使用している寸法線や各種引き出し線、表、ブロックで使用する属性などにも文字スタイルが関わってきます。

ダイナミック文字とマルチテキストの違い

フォントの種類

文字スタイルの設定方法を説明する前にフォントについて理解しておいた方がよいと思います。フォントには「TrueTypeフォント」と「AutoCADフォント」の2種類があります。

TrueTypeフォント

TrueTypeフォントとは、Windowsの標準フォントです。ゴシックや明朝といったAutoCAD以外でもなじみのあるフォントです。TrueTypeフォントを割り当てた場合は、日本語(全角文字)の表示も自動的にされます。フォント名の前に「TT」という表記があります。

AutoCADフォント

AutoCADフォント(shxフォント)とは、AutoCADが独自に作成しているフォントです。文字を線として表現するため、印刷時に線幅を付与することができます。寸法線や注記などには、AutoCADフォント(shxフォント)を使用した方が見やすい図面に調整しやすいと思います。

ただし、ビッグフォント(日本語)の設定が必要です。フォント名の後に「.shx」という拡張子の表記があります。

AutoCADフォント(shxフォント)の選び方

AutoCADフォント(shxフォント)を使用する場合、どのフォントを使用するか迷われると思います。リストをみると選択肢はたくさんありますが、よく使用されるshxフォントは限られます。よく使用されるフォントと文字のサンプルは図1をご覧ください。

図1

txt.shxとmonotxt.shx、romans.shxとsimplex.shxはよく似ていますが、図1のとおり、数字の間隔が等間隔か等間隔ではないかの違いです。フォントによっては4、a、tが以下のようにデザインされているものもあります。

特にこだわりがなければ、romans.shxをお勧めします。文字に丸みがあり、数字の間隔も等間隔で使いやすいと思います。

ビッグフォントについて

AutoCADフォント(shxフォント)を使用する場合、必ずビッグフォントの指定が必要です。設定しない場合は全角文字(日本語)の表示がされません。

  • * 日本語以外の全角文字を使用する言語も同様です。

日本語として使用できるビッグフォントは図2のとおりです。

図2:ビッグフォントを使用にチェックを入れないと選択できない

bigfont.shx、extfont.shx、extfont2.shxの違いは表示できる文字の違いです。extfont2.shxが一番新しく、表示できる文字も一番多いのでこちらを選択するのがお勧めです。

図3

図3のようにextfont2.shxでは第2標準文字までと、特殊記号が表示できます。

  • * extfont.shx、extfont2.shxはオートデスクの提供物であり、互換CADにてAutoCADで作成した.dwgファイルをご使用の場合は、代替フォントへの置き換えが必要な場合もあります。

@が頭に付いているフォント

TrueTypeフォント、ビッグフォントで頭に@が付いているフォントは縦書き用フォントです。縦書き文字を作成した場合、以下のような違いがあります。

文字スタイルを設定する

スタイル名の重要性

1.注釈タブ/文字スタイル管理(STYLE)を実行します。

2.設定ダイアログが開きます。

既定値でAnnotativeとStandardが表示されますが、既定値で用意されているスタイル名は特別な理由がない限り使用しません。ほかのファイルにコピー/貼り付けしたときに、コピー先に同名のスタイル名があるとフォントの割り当てが変わってしまうからです。貼り付けしたら、全角文字が?になってしまったり、ゴシックに変更されたりといった現象の理由はここにあります。

3.新規作成を実行します。

4.スタイル名を入力し、OKします。

スタイル名は全角でも命名できますが、半角英数で命名することをお勧めします。海外とのデータのやり取りのある場合、トラブルの原因になることがあります。また社内のAutoCADを使用するメンバーの方が各々に命名するのもNGです。これは文字スタイルに限らずほかのスタイルやブロック名なども同様です。

5.フォントを割り当てます。

前項のフォントについてを参考にしてください。特にこだわりがない場合は、romasns.shx、extfont2.shxで設定してみましょう。

6.高さは0のままにします。異尺度対応はチェックしません。

高さに数値を入力すると、高さ固定になります。特別な理由がない場合は設定しません。異尺度対応は使い方によっては便利な機能ですが、ここではチェックをしないでおきます。

7.必要に応じて効果を設定します。

縦書きにチェックを入れると縦書き用のスタイルになります。幅係数は0.8に設定すると、文字幅が通常より0.8倍になります。寸法用の文字スタイルに使用すると見栄えがよくなります。

8.適用を押し、閉じるを押します。閉じる前に現在に設定を押すと、現在のスタイルに設定されます。

スタイルはいくつ作成すればいいのか

文字の高さ別に作成する必要はありません。一般注記用、寸法用、表題部用ぐらいで考えていただくとよいと思います。

例としては、一般注記用としてromans.shx+extfont2.shx幅係数1、寸法用としてromans.shx+extfont2.shx幅係数0.8、表題部用としてMSゴシック 幅係数1のイメージです。以下、参考です。

次回は、文字を早くきれいに作成する方法についてご紹介します。

AutoCAD文字を早くきれいに作成する方法について