AutoCAD文字を早くきれいに作成する方法について

2023年 6月19日

共通

AutoCADで文字を効率よく作図するには? Vol.3

Vol.1の記事では、一から文字を作成するコマンドとしてMTEXTとTEXTをご紹介しましたが、実業務で一から文字を作成するというのは非効率的です。基本的には文字を複写して打ち換える(編集する)の繰り返しを実行します。効率のよさでも、また文字を正確な位置に配置するという点においてもこの方法が正解といえます。

AutoCADダイナミック文字とマルチテキストの違い

AutoCADでは、文字や寸法オブジェクトに一般の線や円のオブジェクトと同じく通常の修正コマンドが適用できます。ほかのCADでは文字複写、文字削除といった専用コマンドが必要になるものも多く、これはAutoCADの特徴であり、優位性だと思います。

文字を複写する前に準備すること

文字を複写する前に作成したいプロパティを有した文字を準備する必要があります。ファイルのどこかに文字があればその文字を流用します。なければほかのファイルからコピー/貼り付けしてもよいでしょう。また作成でもかまいません。

プロパティを修正する

1.何もコマンドを実行していない状態で文字を一つ選択します(ここではダイナミック文字を選択しています)。

2.プロパティパレットで必要な項目を編集します。

一般の項目では画層や色、文字の項目では文字スタイル、位置合わせ、高さ、幅係数などを作成したい文字のイメージどおりに修正します。

位置合わせについて

文字を編集するうえで、重要なのが「プロパティの位置合わせ」です。水平方向と垂直方向がセットになっています。全部で15個用意されていますが、よく使用する9個は図のようになります。

  • 図1

  • 図2

  • 図3

赤丸の中のグリップが文字の位置合わせ(挿入基点)です。オブジェクトスナップでは挿入基点として認識され、文字を編集する場合に固定の位置となります。もう一つ左下にグリップがありますが、こちらは既定で用意されているものです。上記9個の中でもさらによく使用されるものは青枠の位置合わせです。

さて、15個のうち、残りの6個の位置合わせについても補足しておきましょう。

中央(M)と中央(MC)は日本語の場合相違はありませんが、アルファベットの場合は以下のように垂直方向の位置に違いがあります。よって、日本語を使用する場合はどちらをご使用いただいてもかまいません。

図4

左寄せ(L)と左下(BL)、中心(C)と下中心(BC)、右寄せ(R)と右下(BR)も日本語の場合相違はありませんが、アルファベットを使用し、かつデザイン性の高いフォントを使用した場合は垂直方向の位置に違いがあります。

  • 図5

  • 図6

  • 図7

フィット(F)は図8のように文字数に応じて文字幅が変更されてしまうので、文字を編集する場合には向いていません。

図8

両端揃え(A)は文字数に応じて文字の高さが変更されてしまうので、文字を編集する場合には向いていません。

図9

文字を複写して編集する

文字を実際に複写して編集してみましょう。ここでは円の中央に文字を作成、表の枠に左、中央、右で文字を作成する場合をご紹介します。

お手本となる文字の作成

1.円の場合、図10のようにプロパティを修正した文字を図形に配置します。位置合わせは中央を選択し、図のように円の中心と一致させます。

図10

表の場合は位置合わせを左から左中央(ML)、中央(M)、右中央(MR)を選択し、図11~13のように枠内にバランスよく配置します。

  • 図11

  • 図12

  • 図13

作成時の参考

位置合わせ中央(M)の文字を枠内の中央に配置する場合は、オブジェクトスナップの2点間中点を使用すると簡単に配置できます。文字の位置合わせのグリップを選択後、Shift+右クリックで一時的に使用するオブジェクトスナップの一覧から2点間中点を選択します。枠の対角の交点(端点)を図14のように2箇所選択すると、枠の中央に配置することができます。

図14

位置合わせの水平方向 右は、数字の桁合わせをしたいときに使用します。図15のように単位を付記したい場合、固定となる単位(mm)の文字は別で作成した方が効率よく編集できます。

図15

お手本となる文字の複写と編集

1.文字の配置箇所へお手本となる文字を複写します。

図16

複写時のヒント

ホームタブ/修正パネル/複写(COPY)を実行し、以下四つの文字を選択します。複写(COPY)の基点/目的点は図17・18のように表の枠の端点を選択します。

  • 図17

  • 図18

  • * 文字の複写では適当な位置に配置せず、オブジェクトスナップを使用、または複写距離を決めてきちんとした位置に配置をします。

2.文字の内容を編集します。文字をダブルクリックすると文字編集(TEXTEDIT)が起動します。次の文字を選択するときはダブルクリックではなくシングルクリックで編集します。

図19

図20

編集したときに文字数が違うと、位置合わせの重要性がよく分かります。

次回は、文字に関連した便利なコマンド・システム変数についてご案内したいと思います。

AutoCAD文字を早くきれいに作成する方法