設計検証の精度を向上し、製品不具合の減少へ ~流体-構造連成解析~
2023年 6月21日
製造業
AutodeskのCAEツールには、構造物の強度や寿命を評価するInventor Nastran、流体や熱の移動を評価するAutodesk CFDがあります。流体が影響する圧力や温度が製品に負荷されるとき、これらを組み合わせることで、より現実に近い解析を実施し、設計検証の精度を上げることができます。
ここでは、Inventor NastranとAutodesk CFDを組み合わせた流体-構造連成解析についてご紹介します。
流体-構造連成解析とは?
流体-構造連成解析では、Autodesk CFDにより求められた流体力(圧力)、または温度をInventor Nastranの荷重条件として定義し、それらの荷重が負荷された際における製品の変位、応力などを解析します。
図1は電子基板の温度変化による熱変形の解析事例になります。Autodesk CFDにより、流入空気による放熱効果を考慮し、基板の温度分布を求めることができます。一方、Inventor Nastran単体で熱伝導解析を行う場合は、熱伝達係数の分布が不明なため、全面において一様に放熱するといった定義をすることになり、正確な温度分布が求められません。Autodesk CFDにより求められた温度分布を温度荷重として、Inventor Nastranにマッピングすることにより実物に近い熱変形が得られます。
図2は、強風が吹いた際における看板の構造解析事例になります。Autodesk CFDにより、看板周囲の流体挙動を考慮した看板表面の圧力の分布を求めることができます。
Autodesk CFDにより求められた圧力分布を圧力荷重として、Inventor Nastranにマッピングすることにより実物に近い条件の強度評価が可能となります。Inventor Nastran単体で解析を実施する場合は、各面に均一の風圧を定義することになり実際と差が生じます。
流体解析の結果を荷重として定義する手順
温度、圧力分布をInventor Nastranの荷重として定義する方法は簡単です。Inventor Nastranを起動後、荷重コマンドを選択し図3に示す次の4項目を選択します。
- 荷重のタイプで「解析結果から定義」を選択。
- 結果ファイルでAutodesk CFDのプロジェクトファイル(*.cfdst)を選択。
- 設計::シナリオ::解析セットで設計名、シナリオ名、ステップ数を選択。
- 節点荷重でPRESSURE(圧力)、またはTEMPARATURE(温度)を選択。
特に図1に示したような電気製品は、機能の多様化、小型化、集積化により今まで以上に設計検証の精度が求められています。構造-流体連成解析により精度の高い熱的影響を評価することで品質トラブルを減少することができるかもしれませんので、ぜひご検討ください。
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