AutoCADで寸法/引き出し線を効率よく作図するには?

2023年 7月10日

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これだけは知っておきたい寸法作成のヒント Vol.1

AutoCADをお使いのユーザーで「寸法のコマンドを効率よく使うにはどうしたらよいか」「寸法スタイルの設定方法がよく分からない」とお悩みの方はいらっしゃいませんか?

寸法より意外に悩ましいのが引き出し線です。なんとなく過去のデータを流用したり力業で何とかしたりしている皆さん、今回は寸法/引き出し線についての有用な情報をお届けします。また、新規にAutoCADを導入し、これから図面を描くぞ! というお客様にも参考にしていただければと思います。

最初に覚えてほしい寸法作成方法

注釈タブ/寸法記入パネルに一番大きく表示されているアイコンは寸法記入(DIM)コマンドです。このコマンドはマルチ寸法コマンドで、一つのコマンドで複数の寸法作成ができるようになっています。

便利な反面、使い慣れる必要があります。大きなアイコンだとこれをメインに使うのかと思いがちですが、最初に覚えてほしいのは個別の寸法コマンドです。それとグリップの持つAutoCAD特有の仕掛けをうまく組み合わせると、効率よく寸法作成ができます。

水平・垂直寸法の作成方法

1.使用する寸法スタイルを選択します。

2.注釈タブ/寸法記入パネル/長さ寸法(DIMLINEAR)を実行します。

図1

3.オブジェクトスナップを使用して、1点目・2点目で指示(左クリック)します。水平方向・垂直方向はマウスを動かす方向で決まります。

4.寸法の配置位置を指示(左クリック)します。

図2

寸法を作成する場合、水平寸法なら左から、垂直寸法なら上からと、なるべく1点目と2点目を意識するとプロパティパレットを使用して端末記号の修正を行う場合に便利です。

平行寸法の作成方法

選択した2点に対して平行な距離寸法を作成します。

1.使用する寸法スタイルを選択します。

2.注釈タブ/寸法記入パネル/平行寸法(DIMALIGNED)を実行します。

図3

3.オブジェクトスナップを使用しての1点目、2点目で指示(左クリック)します。

4.寸法の配置位置を指示(左クリック)します。

図4

平行寸法での注意点

水平な距離に対して平行寸法と長さ寸法を作成した場合、オブジェクトの形状修正で次のような相違があります。図5・6は円に寸法を作成後、円を移動した場合です。常に水平距離・垂直距離を寸法として作成したい場合は長さ寸法(DIMLINEAR)を使用してください。

  • 図5

  • 図6

段差のある平行寸法の作成方法

図7のような形状に寸法を作成する方法です。

図7

平行寸法(DIMALIGNED)を使用して寸法を作成すると、意図した寸法が作成できない、2点目の寸法補助線と外形線がラップしてしまうという問題点が発生します。

  • 図8:意図した寸法が作成できない

  • 図9:2点目の寸法補助線と外形線がラップしてしまう

1.使用する寸法スタイルを選択します。

2.注釈タブ/寸法記入パネル/長さ寸法(DIMLINEAR)を実行します。

3.オブジェクトスナップを使用しての1点目、2点目で指示(左クリック)します。

4.オプション/回転を選択し、寸法線と平行になるオブジェクトを1点目、2点目で指示(左クリック)します。

図10

5.寸法の配置位置を指示(左クリック)します。

図11:参照角度をマウスで指示

角度寸法の作成方法

1.使用する寸法スタイルを選択します。

2.注釈タブ/寸法記入パネル/角度寸法(DIMANGULAR)を実行します。

図12

3.エッジを二つ選択し、寸法の配置位置を指示(左クリック)します。配置位置により4パターン作成できます。

図13

  • * 鈍角・寸法補助線に角度寸法を作成する:図13で 315°の鈍角の寸法を作成するには、頂点を指示します。コマンド実行後、エッジを選択する前にEnterをします。AutoCADではコマンドラインの<>の内容を実行する場合Enterします。

図14

頂点を指示後、オブジェクトスナップを使用して各エッジの中点などを指示します。同様の方法で図15・16のように寸法補助線にも角度寸法を作成できます。

  • 図15

  • 図16

半径・直径寸法の作成方法

1.使用する寸法スタイルを選択します。

2.注釈タブ/寸法記入パネル/半径寸法(DIMRADIUS)または直径寸法(DIMDIAMETER)を実行します。

図17

3.円弧・円を選択し、寸法の配置位置を指示(左クリック)します。自動でR、φのマークが付記されます。寸法線の表示は寸法スタイルの設定やプロパティで変更が可能です。

図18

グリップの仕掛けを使う

AutoCADのグリップに仕掛けられた編集メニューはとても優秀です。この機能は、互換CADにはなかなか真似できない機能の一つです。寸法のグリップでのオペレーションは特に便利にできています。

今回は直列寸法と並列寸法の作成についてご紹介します。

直列寸法の作成方法

1.コマンドを実行していない状態で、既に作成された寸法オブジェクトを選択します。

2.直列寸法を作成したい側の端末記号のグリップの上にマウスを移動します。

  • * グリップをクリックせず、カーソールで触れるだけにします。

3.メニューから直列寸法記入を選択します。

図19

4.直列寸法を記入する次の点をオブジェクトスナップを使用して順々に選択します。

図20

並列寸法の作成方法

1.コマンドを実行していない状態で、既に作成された寸法オブジェクトを選択します。

2.並列寸法を作成したい側の端末記号のグリップの上にマウスを移動します。

  • * グリップをクリックせず、カーソールで触れるだけにします。

3.メニューから並列寸法記入を選択します。

  • * 並列寸法の寸法線間隔は寸法スタイルの設定に準じます。

図21

グリップでの寸法作成が優秀な理由

直列寸法と並列寸法はコマンドを使用して作成することもできますが、作成するレイヤー(画層)、使用する寸法スタイルを常に意識する必要があります。また、操作にも慣れが必要です。

グリップを使用して作成する場合は、選択した寸法のレイヤー(画層)、寸法スタイルを継承します。どちらの方向に作成したいかも直感的に操作が可能です。

次回は寸法スタイルの設定方法についてご案内したいと思います。

AutoCAD 寸法スタイルの設定方法