AutoCAD 寸法スタイルの設定方法

2023年 7月26日

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これだけは知っておきたい寸法作成のヒント Vol.2

前回の記事でお伝えしたように、寸法を作成するには事前に寸法スタイルを設定する必要があります。また寸法だけではなく、引き出し線の種類によっては寸法スタイルの設定に準じるものがあります。最初にルールを決めて寸法スタイルをしっかり設定しておくことが、煩雑なデータにならないポイントです。

AutoCADで寸法/引き出し線を効率よく作図するには?

寸法スタイル管理ダイアログを開くと、設定箇所が多くて難しく感じてしまうかもしれませんが、実は基本となる設定箇所はそんなにありません。今回ご紹介する記事を参考にぜひ設定してみてください。

ベースになる1:1の寸法スタイルを作成する

1.注釈タブ/寸法記入/寸法スタイル管理(DIMSTYLE)を実行します。

図1

2.設定ダイアログが開きます。

既定値でAnnotative、ISO-25、Standardが表示されますが、既定値で用意されているスタイル名は特別な理由がない限り使用しません。ほかのファイルにコピー/貼り付けしたときに、コピー先に同名のスタイル名があると寸法の設定内容が変わってしまうからです。

  • * 新規作成(NEW)でテンプレートをacadiso.dwtを選択すると、下と同じ内容で寸法スタイル管理のダイアログが開きます。

3.今回は「ISO-25」を選択した状態で新規作成を実行します。選択したスタイルがベース(開始元)になり、新しいスタイルが作成されます。

図2

4.スタイル名を入力し、「続ける」を実行します。尺度が分かる名前をスタイル名にします。1-1、1-10などです。\ < > / ? : ; * | , = をスタイル名には使用はできません。

図3

  • * スタイル名は全角でも命名できますが、半角英数で命名することをお勧めします。海外とのデータのやりとりがある場合、トラブルの原因になることがあります。また、社内のAutoCADを使用するメンバーの方がおのおのに命名するのもお勧めできません。これは寸法スタイルに限らずほかのスタイルやブロック名なども同様です。

5.寸法線タブ
図4内の青枠のみ値を設定します。特にこだわりがない場合は図4のように設定してみましょう。

図4

6.シンボルと矢印タブ
図5内の青枠のみ値を設定します。特にこだわりがない場合は図5のように設定してみましょう。

図5

7.寸法値タブ
図6内の青枠のみ値を設定します。緑枠は必要な場合のみ設定してください。特にこだわりがない場合は図6のように設定してみましょう。

図6

文字の色を付与する意味

緑枠で「ByBlock」ではなく特定の色を指定した場合、印刷時に文字の太さを寸法線や寸法補助線よりも太く印刷することができます。ただし、AutoCADフォントを使用し、色従属の印刷スタイルを使用した場合に限ります。

図7

8.フィットタブ

モデル、レイアウトでの作図に関わらず、全体の尺度の設定をまずは覚えましょう。この設定方法が基本中の基本となります。与える数値は尺度の逆数です。1:1が1、1:10が10となります。

図8

9.OKしてダイアログを閉じます。

必要な尺度の寸法スタイルを作成する

前記でベースになる1:1の寸法スタイルを作成しました。これを基準に尺度違いの寸法スタイルを作成します。

1.注釈タブ/寸法記入/寸法スタイル管理(DIMSTYLE)を実行します。

2.ベースとなる1-1のスタイルを選択して新規作成を実行します。

図9

3.スタイル名を入力し、「続ける」を実行します。今回は1:2の尺度用の寸法スタイルを設定します。

図10

4.開始元で選択した設定内容が複製された状態でダイアログが開きます。フィットタブの全体の尺度を2とします。

図11

ここを2とすると、ダイアログ内での全ての設定値が寸法を作成したときに2倍となります。例えば、文字高さ3.5mm(ダイアログでの設定値)が7mm(寸法作成時)になります。

図12

5.OKしてダイアログを閉じます。

このようにベースになる1:1の寸法スタイルを作成すれば、尺度違いの寸法スタイルは簡単に設定できます。

寸法サブスタイルを作成する

メインの寸法スタイルの設定値を指定した特定の種類の寸法にのみ一部の設定を変更することができます。例えば、直径寸法の寸法線のみ図13のようにしたい場合に便利です。

図13

1.注釈タブ/寸法記入/寸法スタイル管理(DIMSTYLE)を実行します。

2.メインとなる寸法スタイルを選択して新規作成を実行します。今回は「1-1」を選択してみましょう。

3.適用先を「すべての寸法」から「直径寸法」に変更し、「続ける」を実行します。

図14

4.変更したい箇所を修正します。今回は寸法値タブ/寸法の位置合わせを常に水平に変更します。

図15

5.OKしてダイアログを閉じます。1-1の寸法スタイルの下に直径寸法記入のサブスタイルが作成されます。

図16

サブスタイルはプロパティパレットで確認すると、スタイル名の後ろに$+数値が付与されます。メインのスタイルに変更することも可能です。

図17

スタイルは幾つ作成すればよいのか

尺度違いのスタイルは作成必須です。後はユーザー様の使用頻度などによります。詳細な設定修正はプロパティパレットで個別に行うことをお勧めします。修正しづらい設定はスタイルを分けた方がよいでしょう。

図18:参考例

図19:参考例

次回は、知っておきたい寸法の修正方法についてご案内します。

AutoCAD寸法の修正方法1