AutoCAD寸法の修正方法2

2023年 8月30日

共通

これだけは知っておきたい寸法作成のヒント Vol.4

今回の記事では知っておきたい寸法修正の方法2として、寸法修正コマンドを使用しない方法をお伝えしたいと思います。

グリップを使用する

コマンドを実行していない状態でグリップの仕掛けを使用する方法です。

寸法補助線の基点を変更する

1.修正する寸法を選択し、基点を変更したい寸法補助線のグリップをクリックします。

2.変更先の基点をオブジェクトスナップを使用してクリックします。

図1

  • * グリップを共有している二つの寸法補助線の基点を同時に変更する場合は図2のように、二つの寸法線を選択してください。

図2

ほかの寸法と寸法線の位置を合わせる

1.修正する寸法を選択し、寸法線のグリップをクリックします。

2.位置合わせをしたい寸法(矢印の端点)をオブジェクトスナップを使用してクリックします。

図3

矢印を反転する

1.寸法を選択後、反転したい矢印のグリップの上にマウスを移動します。グリップをクリックせず、カーソルで触れるだけにします。

2.表示されるメニューから矢印を反転を選択します。

図4

寸法値の位置を修正する

1.寸法を選択後、位置を修正したい寸法値のグリップの上にマウスを移動します。グリップをクリックせず、カーソルで触れるだけにします。

2.表示されるメニューから文字の動きを制御する方法を選択します。

図5

3.寸法値のグリップをクリックして配置位置を変更します。

図6:寸法線とともに移動

図6:文字のみを移動

図6:引き出し線とともに移動

寸法線の位置をまとめて変更する

1.直列寸法並列寸法として既に配置されている寸法を一つ選択後、グリップの上にマウスを移動します。グリップをクリックせず、カーソルで触れるだけにします。

2.表示されるメニューから寸法グループをストレッチを選択します。

図7

3.寸法の配置位置をクリックします。

図8

プロパティパレットを使用する

グリップの仕掛けでは変更できないプロパティの修正はプロパティパレットで行います。よく使用する修正項目をご紹介します。

矢印の形状を変更する

1.修正したい寸法を選択します。(寸法値5)

図9

2.プロパティパレットの線分と矢印の項目を確認し、小黒丸に変更します。

図10

  • *矢印1、矢印2は寸法の作成手順によります。上の寸法は左から作成したので、今回は矢印2が修正対象です。

3.再度修正したい寸法を選択します。(寸法値6)

図11

4.プロパティパレットで矢印1を小黒丸に変更します。

図12

5.最後に矢印を反転をすると図13のように寸法としての体裁が整います。

図13

寸法線・寸法補助線・矢印を非表示にする

1.修正したい寸法を選択します図14の寸法は左から作成しています。

図14

2.プロパティパレットの線分と矢印の項目で、寸法補助線1をオフにします。

図15

3.プロパティパレットの線分と矢印の項目で、矢印1をなしにします。

図16

4.プロパティパレットの線分と矢印の項目で、寸法線1をオフにします。

図17

半径寸法で中心までの補助線を非表示にする

1.修正したい半径寸法を選択します。

図18

2.プロパティパレットのフィットの項目で、寸法線強制記入をオフにします。

図19

図20のように中心マークが表示される場合は、プロパティパレットで中心マークをなしとするか、寸法スタイルの設定時にシンボルと矢印タブで中心マークをなしとしてください。

図20

測定値に倍率をかけた値で寸法値を表示する

モデル空間で異尺の図を作成する(例えば基準尺度1 / 5の中に1 / 2の詳細図を作成する場合)などに使用します。

上記例の場合、1 / 5の図形は実寸で作成しますが、詳細図の部分は実寸で作成後、5 / 2倍します。

図21

寸法を作成すると、10と表示させたいところ、測定値とおり25と表示されてしまいます。

1.修正したい寸法を選択します。

図22

2.プロパティパレットの基本単位の項目で、長さの寸法尺度の値を変更します。通常は1で測定値です。今回は2 / 5(0.4)にします。

図23

許容差を寸法値に付与する

1.修正したい寸法を選択します。

図24

2.プロパティパレットの許容差の項目で、許容差表示をなしから「1つ、上下」に変更します。

図25

3.プロパティパレットで許容差の値を変更します。

図26

上下ともプラスまたはマイナスにしたい場合は以下のように入力してください。

図27

4.許容差の垂直方向文字位置と許容差の文字高さを整えます。

図28

図29のように寸法値と許容差の間に文字を挿入したい場合は次の記事をご参照ください。

AutoCADダイナミック文字とマルチテキストの違い

図29

2段の寸法値の表示を変更する

改行された2段の寸法値は通常図30のとおりになります。寸法値をグリップを使用して移動すると、寸法線が表示されません。

図30

寸法線を表示させたい時は以下の手順でできます。

1.修正したい寸法を選択します。

図31

2.プロパティパレットの文字の項目で寸法値の優先を図32のように編集します。

図32

3.図33ような結果となります。2段以上になった場合も、どこを\Xにするかで表示変更が可能です。

図33

修正コマンドを使用する

AutoCADの優れた点の一つとして、文字・寸法にも線分・円などの図形オブジェクトと同じように通常の修正コマンドが適用されることです。移動・複写・回転・ストレッチなどを使用して効率よく作業することができます。特にプロパティコピーはとても便利です。

プロパティコピーでプロパティのコピー/貼り付けをする

プロパティパレットで修正できるほとんどの値がこのコマンドによってコピー/貼り付けができます。一つお手本の寸法ができれば、二つ目からはプロパティコピーをぜひご使用ください。

1.ホームタブ/プロパティパレット/プロパティコピーを実行します。

図34

2.お手本の寸法を選択し、続けて修正する寸法を選択します。

図35

図36

図37

次回は、知っておきたい引き出し線の作成方法1についてご案内したいと思います。

AutoCAD 引き出し線の作成方法