AutoCAD テンプレートにあると便利な設定と確認事項・提案

2023年11月16日

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AutoCADでテンプレートを作成するには Vol.3

前回の記事では、テンプレートには絶対に必要な設定についてお伝えしました。今回はそれにプラスして、テンプレートにあると便利な設定と確認事項・拡張した使用方法についてお届けしたいと思います。

AutoCADのテンプレートに絶対必要な設定

1.図面範囲

図枠ごとにテンプレートを作成する場合、図面範囲も合わせて設定すると便利です。

図枠の配置位置

図枠の配置は用紙の左下をAutoCADの原点に一致するように配置をしておきます。

図面範囲

図面範囲を設定すると、図面範囲での印刷が可能になります。特にカスタマイズでファイルの自動印刷をする場合は、この図面範囲が必要になります。下図のように、図枠以外にオブジェクトが配置されているとオブジェクト範囲では、図枠の外のオブジェクトも印刷されてしまい、印刷範囲を窓で選択する必要があります。図面範囲を設定しておくと以下のように印刷されます。

1.コマンドラインに直接LIMITSと入力し、Enterします。

2.左下コーナーを原点(0,0)のまま、Enterします。

3.右上コーナーの絶対座標を入力し、Enterします。今回はA3に設定するので(420,297)とします。また、図枠を配置している場合は右上のコーナーの端点をマウスで指示することも可能です。

2.点スタイルを設定する

点オブジェクトとは?

点オブジェクトは以下のような場合に使用します。

  • デバイダ(DIVIDE):選択したオブジェクトを10等分する位置に点を配置した例

  • 計測(MEASURE)選択したオブジェクトを左から50mmピッチの位置に点を配置した例

複数点の作成(POINT)座標を指定して点を作成

  • * 上図はcsvファイルの座標値をコピーして点を一度に作成した例

点スタイル

点オブジェクトを使用する時は点スタイルを設定します。

1.ホームタブ/ユーティリティパネル/点スタイル管理を実行します。表示されない場合は下向き三角を押してください。

2.ダイアログが開きます。点の形状を選択します。

3.点の大きさを設定します。絶対単位のサイズにチェックをし、今回は点サイズを「5」にします。スクリーンに対する相対サイズにした場合は、点作成時の表示倍率で点が作成され、大きさが一定にはなりません。

3.ページ設定

印刷の設定は印刷ダイアログで内容を確認後、レイアウトに適用をすればファイルに印刷の設定が保存されます。ページ設定をしなくてもこの状態でテンプレートを保存しておけば、モデル空間での印刷はかなり楽になります。

ページ設定をするメリットは複数の印刷条件を保存できるところです。レイアウトを使用して作図する場合はページ設定が必須ですが、モデル空間での作図でも印刷の条件が複数ある場合はページ設定を作成しておくと便利です。例えば、物理的に紙に印刷する、PDFの電子データを作成すると複数印刷の設定をしておきたい場合です。

1.出力タブ/印刷パネル/ページ設定管理(PAGESETUP)を実行します。

2.ページ設定管理ダイアログが開きます。新規作成ボタンを押します。

3.ページ設定名を入力し、OKします。ページ設定名は印刷条件が分かる名前にします。今回は「A3_FIT_PDF」とします。A3の用紙で図面範囲をフィットでPDFとして電子印刷するといったイメージです。

4.印刷の設定をし、OKします。

5.同様の手順で紙に印刷するページ設定も作成します。下図のように二つのページ設定ができました。

6.メインで使用するスタイルを選択し、右クリックのメニューより「現在に設定」を選択します。

7.ダイアログを閉じます。

8.ホームタブ/印刷パネル/印刷(PLOT)を実行し、ページ設定のプレビュー・変更の確認をします。

9.印刷ダイアログをキャンセルで閉じます。

4.グリッド・スナップの設定

グリッド・スナップの設定はファイルに保存されます。図面範囲を分かりやすくグリッドで表示したい場合、また電気の回路図を作成する場合には設定しておくと便利です。

グリッドは画面上に表示される罫線です。スナップはピッチを指示して、マウスを吸着させる機能です。スナップを使用する場合はグリッドのピッチを基準に使用します。

1.ステータスバー/グリッドボタンの上で右クリックし、グリッドの設定を実行します。

2.作図補助設定ダイアログが開き、スナップとグリッドタブが表示されます。

3.グリッドを設定します。

  • * グリッド間隔は画面に表示される罫線のピッチです。
  • * グリッド間隔をX=10、Y=10にし、主線の間隔=10にすると、主グリッドの間隔が100ピッチになります。
  • * アダプティブグリッドのチェックを外します。チェックが入っていると、画面の表示倍率にグリッドの表示が連動し、実サイズでグリッドが表示されません。

4.スナップの設定をします。今回は(X間隔=5、Y間隔=5)とします。下図の設定の場合、グリッド線とグリッド線の中間にもスナップします。

5.OKでダイアログを閉じて、グリッド・スナップをONにし、動作を確認します。

図面範囲のみにグリッド線を表示したい場合は以下のチェックをはずします。

グリッド・スナップの設定は機能のON / OFFの状態もファイルに保存されます。常にOFFにしておきたい場合もテンプレートに保存してください。

確認事項

ファイルに保存されるシステム変数

各種スタイル以外に、ファイルに保存されるシステム変数は幾つもあります。代表的なものを二つご紹介したいと思います。

1.MIRRTEXT

鏡像(MIRROR)コマンド実行時に、文字オブジェクトを反転するかどうかを制御します。コマンドラインに直接MIRRTEXTと入力し、Enterします。

値→0(反転しない)値→1(反転する)

  • * 古いファイルやDXF由来のデータを使用する場合は注意してください。

2.DIMASSOC(自動調整寸法)

寸法オブジェクトの自動調整をするかどうかをコントロールします。オプション/基本設定/自動調整寸法の項目でチェックを入れる、または外すで制御します。直接コマンドラインに「DIMASSOCと」入力し、1、2の値でも制御可能です。0の値にすると分解された寸法が作成されますので注意してください。

チェックを入れた場合(DIMASSOC→2)下図のような動きになります。

便利な機能ですが、以下のような動きもしますので注意してください。

チェックをはずした場合(DIMASSOC→1)下図のような動きになります。

  • * DIMASSOCの値を変更しても、既に作成された寸法には適用されません。

拡張した使用方法

よく使うオブジェクトを図枠以外に配置してテンプレート化

作図する内容にもよりますが、図枠以外にも配置しておくと便利なオブジェクトがあります。例えば、よく使用する表、コメント類、引出線、プロパティコピーの元図形などです。ツールパレットを使用するという方法もありますが、簡単なのはファイルに図形を配置して保存しておく方法です。

次回は、尺度の違うテンプレートの作成方法についてご案内したいと思います。

尺度の違うテンプレートの作成方法