AutoCAD ビューポートの基本的な操作方法

2024年 1月31日

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AutoCADでモデル空間とレイアウト空間を使いこなすには? Vol.3

前回の記事では、レイアウトの作成方法についてお伝えしました。レイアウトには「ビューポート」の配置が必須です。今回は、ビューポートの基本的な操作について説明します。

AutoCAD レイアウトを新規に作成する方法

ビューポートを作成する

ビューポート用の画層を準備する

レイアウトには、必ずビューポートというオブジェクトを配置します。通常の画層の設定にプラスビューポート用の画層を作成します。今回は「00_VP」という名前で作成します。テンプレートの記事の中でも注意点としてご紹介しましたが、「Defpoints」の画層は一般の作図には使用しません。ビューポート用画層として代用しないようにしましょう。

図1

画層(0とDefpoints)

ビューポートを作成する

既に配置済みのビューポートを利用することもできますが、今回は一からビューポートを作成する手順をご紹介します。

1.既に配置済みのビューポートがあれば一旦削除します。

図2

2.レイアウトタブを選択します。レイアウトタブは、モデル空間作業時には表示されません。また、レイアウトタブには、3Dの図面を作図で使用するコマンドが多く配置されています。

図3

3.レイアウトビューポートパネルから「矩形」を実行します。

図4

4.長方形を作成するのと同様に、マウスで対角の2点を選択します。画層は00_VPで作図します。

図5

矩形以外のビューポートを作成する

図6

  • * ポリラインの場合は閉じたポリラインのみ変換することができます。

ビューポートに図形を表示する

ビューポートは、レイアウトに配置したモニターのようなものです。モデル空間に配置されたどの図形をどんなズームで表示するかを設定するのがビューポートの役割です。

今回は、モデル空間に下図のような図形を配置しています。左の図形は1 / 2、右の図形は1 / 5の尺度で図を作成します。寸法は、それぞれの尺度に合わせた寸法スタイルでモデル空間に作成しています。

  • 図7

  • 図8

レイアウトでモデル空間を操作する

1.レイアウトを選択します。

2.ビューポートの枠内でダブルクリックします。ビューポートの枠線が太く表示されます。これは、レイアウト側からモデル空間を操作する状態です。レイアウトに配置されたモニターの画面を突き抜けてモデル空間を直接触っているようなイメージとなります。レイアウト側の操作に戻る場合は、ビューポートの枠外でダブルクリックします。

図9

  • * ビューポートの枠線をダブルクリックするとビューポートが最大化され、上とは違う状態になります。モデル側の図形編集にはとても便利ですが、今からの操作には使用しません。元に戻す場合は、ステータスバーの「ビューポートを最小化」ボタンを押してください。

図10

ビューポートに図形を表示する

1.ビューポートの枠内でダブルクリックし、オブジェクト範囲ズームを実行します(ホイールボタンをダブルクリック) 。

図11

Aは、ビューポートがどの範囲をどんなズームで表示しているのか不明な状態です。そこで、一旦モデル空間の全てのオブジェクトがビューポート内に表示されるようにしたのがBとなります。

2.上の図(1 / 2の図)がビューポートに表示されるようにマウスで調整し、ビューポートの枠外でダブルクリックし、ビューポートを非アクティブの状態にします。

図12

3.ビューポートの尺度を設定します。ビューポートの枠線をクリックし、プロパティパレットのその他の項目/標準尺度またはカスタム尺度で1 / 2とします。

図13

4.ビューポートの大きさを調整します。ビューポートのグリップを使って大きさを調整します。

図14

5.もう一つビューポートを作成します。複写(COPY)コマンドを実行して既存のビューポートを右に複写します。

図15

6.右のビューポートの枠内をダブルクリックし、画面移動で1 / 5の図形を表示します。その後、枠外でダブルクリックします。

図16

7.右側のビューポートに尺度を設定します。ビューポートの枠線をクリックし、ビューポートの中央に表示される下向三角ボタンの尺度リストから1:5を選択します。

図17

  • * リストから選択すると、ビューポートの大きさが表示図形にフィットする動作になります。意図しない大きさになる場合もあるので注意してください。

ビューポートのロック

ビューポートを作成・設定後ビューポートの枠内をダブルクリックした状態でマウスのズーム操作を実行すると、下図のように尺度の設定が変更されてしまいます。

図18

ビューポートをロックすると、マウス操作での尺度の変更がされません。図面の完成時にはビューポートをロックすることをお勧めします。

図19

  • * マウスでの拡大・縮小だけではなく、画面移動もロックされます。

レイアウト作成後の図形編集

レイアウトを作成後、モデル空間の図形を編集する方法は三つあります。

  1. モデル空間に移動して修正する。
  2. ビューポートをロックした状態でビューポートの枠内をダブルクリックして編集する。
  3. ビューポートの枠線をダブルクリックし、「ビューポートを最大化」を使用し編集する。
  • * ビューポートを最大化を使用した場合は、ビューポートにロックをかけていなくても尺度の変更はされません。

ビューポートをクリップする

矩形のビューポートを頻繁に使用しますが、下図のように一部表題欄に表示がかかってしまい、後からビューポートの形状を変更する場合がよくあります。そんな場合は、クリップ(VPCLIP)コマンドが便利です。

図20

1.レイアウトタブ/レイアウト ビューポートパネル/クリップ(VPCLIP)コマンドを実行します。

図21

2.クリップするビューポートを選択します。

3.ポリラインを作成する要領で順番にクリックしていき、最後はオプションの「閉じる」でコマンドを終了します。

図22

  • * クリップを解除するには、クリップ(VPCLIP)コマンドでビューポートを選択後、削除を実行します。

レイアウトの尺度を適用して寸法を作成する

寸法スタイルの設定方法で、「レイアウトの尺度を適用」という項目にチェックをいれる方法があります。
フィットタブ/寸法図形の尺度/レイアウト尺度を適用

図23

この寸法スタイルを使用する場合は、ビューポート側で寸法を作成します。ビューポートの尺度に準じて寸法が作成されます。寸法スタイルが一つで複数の尺度に対応できます。

図24

作成された寸法をプロパティで確認すると、全体の寸法尺度の値がビューポートの尺度で制御されているのが分かります。

  • 図25

  • 図26

便利な機能ではありますが、体系的に尺度の管理をする観点からすると、寸法スタイルは尺度ごとに設定することをお勧めします。

いかがですか? 皆さま、ビューポートの基本的な操作についてご理解いただけたでしょうか。次回は、ビューポートの便利機能についてご紹介します。

AutoCAD ビューポートの便利機能