AutoCADツールパレットの活用方法とコマンドの追加

2024年 6月17日

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AutoCADでツールパレットを使いこなすには? Vol.3

前回の記事では、ツールパレットの基本操作とブロックの登録方法についてお伝えしました。今回はツールパレットに登録したブロックの活用方法とコマンドの登録方法についてお伝えします。

AutoCADパレットの使用方法とブロックの登録

登録したブロックの活用方法

ブロックを配置する場合、次の二つに分類されます。

  • 常に実寸で配置するもの
  • 尺度に追従して大きさを変更して配置するもの

前者は部品や構造物といった図面のメインとなるもの、後者は寸法・注記、図枠など、製図の要素となるものです。ユーザーの皆さまが苦手とするのが後者の配置ではないかと思います。ツールパレットを使用すると簡単に配置できます。

ツールプロパティ

パレットに登録したツールを使用するためのオプション機能です。

補助尺度

1.登録したブロックのアイコンの上で右クリックし、プロパティを実行します。

図1

2.補助尺度の項目を寸法尺度に設定します。

3.ダイアログを「OK」で閉じます。

図2

4.カレントの寸法スタイルを確認し、ツールパレットから登録したブロックをクリックし、配置位置でクリックします。

図3

5.下図のようにカレントの寸法スタイルを変更して配置すると、挿入時の尺度の違いが確認できます。

図4

分解

1.分解の項目を「はい」に設定します。

図5

2.ダイアログを「OK」で閉じます。

3.ツールパレットからブロックを配置すると分解されていることが確認できます。

図6

注記や表

前項で注記や表は、いったんブロックとしてパレットに登録すると流用しやすいとお伝えしました。登録後、プロパティで補助尺度と分解をダブル設定し運用します。

図7

下図のように図面尺度に合致するよう、大きさが変更され分解した状態(文字)で配置されます。

図8

補助尺度と寸法スタイル

補助尺度を使用する場合、寸法スタイルの下図の値で制御されます。

図9

AutoCAD 寸法スタイルの設定方法

コマンドをツールパレットに登録する

ツールパレットに登録したコマンドは、プロパティ付きのコマンドとして使用できます。また、尺度ごとの寸法を登録することもできます。レイヤー、尺度の概念やスタイルの苦手な方でもツールパレットにあらかじめ登録したコマンドを使用することによって、データの共通化を簡単に実現できます。

図面のオブジェクトから作成コマンドを登録する

既存のオブジェクトを図面からドラッグ&ドロップまたはコピー/貼り付けでパレットに登録できます。

1.下図のようにドラッグ&ドロップでパレットに登録します。

図10

2.アイコンの名前を変更します。

図11

3.ツールプロパティ/一般を確認します。下図のように画層(レイヤー)/色/線種が設定済みになっていることが分かります。もし変更がある場合は、必要に応じて設定を変更します。

図12

4.登録されたツールは、線分コマンド以外の作成コマンドも登録されます。

図13

5.コマンドを一つに限定することもできます。ツールプロパティを開き、フライアウトを使用を「いいえ」に変更します。

図14

フライアウトのコマンドを制御する場合は、フライアウトオプションの右のボタンを押し、コマンドを選択できます。

図15

6.レイヤーの設定が何もされていない新規のファイルで登録したツールを使用してみます。レイヤーが自動で作成され、指定したレイヤー、線種・色はBYLAYERでオブジェクトが作成されます。

図16

コマンドを使用すると、レイヤーは自動で作成されます。

図17

図面のオブジェクトから寸法コマンドを登録する

既存のオブジェクトを図面からドラッグ&ドロップまたはコピー/貼り付けでパレットに登録できます。

1.下図のようにドラッグ&ドロップでパレットに登録します。

図18

2.アイコンの名前を変更します。

図19

3.レイヤー・寸法スタイルの設定が何もされていない新規のファイルで登録したツールを使用してみます。レイヤー、寸法スタイルは自動で作成されます。下図のように寸法を作成できます。

図20

図面のオブジェクトからハッチングコマンドを登録する

既存のオブジェクトを図面からドラッグ&ドロップ、またはコピー/貼り付けでパレットに登録できます。ハッチングを意図どおりに作成するのに毎回苦労するユーザー様は多いのではないでしょうか? ツールパレットに登録するだけでストレスがなくなります。

1.下図のようにドラッグ&ドロップでパレットに登録します。

図21

2.アイコンの名前を「45度」に変更します。

図22

3.プロパティで補助尺度を寸法尺度に設定します。

図23

4.45度のアイコンをコピー/貼り付けします。

図24

5.名前を135度に変更し、プロパティで角度を「90」に変更します。

図25

6.下図のようにカレントの寸法スタイルを変更してツールを使用してみます。レイヤーもハッチングのレイヤーで作成され、寸法スタイルの尺度に追従してハッチングが作成されます。

図26

カスタマイズダイアログを使用しコマンドを追加する

カスタマイズダイアログを使用してコマンドを追加できます。

1.コマンドを追加するパレットの上で右クリックし、コマンドをカスタマイズを実行します。

図27

2.追加したいコマンドを検索します。今回はフィレットと検索します。

図28

3.ドラッグ&ドロップでパレットに追加します。

図29

4.登録したコマンドは、ツールプロパティのコマンド文字列で編集することも可能です。

図30

皆さんいかがでしたでしょうか? プロパティ付きのコマンドは既存のオブジェクトから簡単に登録できます。また、補助尺度を利用することで尺度に準じた作図をできます。ツールパレットを充実してAutoCADでの作図をより簡単にしてみてはいかがでしょうか?

次回は、ツールパレットをメンバーと共有する方法についてご案内したいと思います。

AutoCAD ツールパレットをメンバーと共有する