AutoCAD 計測結果をオブジェクトにリンクさせる
2024年10月 7日
共通
AutoCADで計測するには? Vol.4
これまでの記事では、AutoCADでの基本的な計測方法と実務で役立つ計測方法についてお伝えしました。今回の記事では、計測結果をオブジェクトにリンクさせる方法をご紹介したいと思います。
フィールド(Field)とは
AutoCADには「フィールド(Field)」という機能があります。何年も前からある機能ですが、活用していらっしゃるユーザー様は少ない印象です。AutoCADの持つあらゆる情報を文字に挿入することができます。また、一番のメリットは「情報が更新されるとフィールドも更新される」というところです。
どんな情報を挿入できるか
フィールドで挿入できる情報にはさまざまな項目があります。分類だと以下になります。
- オブジェクト
- シートセット
- ドキュメント
- リンク
- 印刷
- 日付と時刻
- その他(システム変数など)
どんなオブジェクトに情報を挿入できるか
フィールドを挿入できるオブジェクトは、「文字スタイルを有するオブジェクト」です。フィールドの文字スタイルは挿入先の文字スタイルに準じます。挿入できるオブジェクトは以下です。
- 文字(ダイナミック文字)
- マルチテキスト
- 寸法値
- 表
- 属性値
フィールドの外観
フィールドは他のオブジェクトと区別するために背景がグレー表示となります。この背景表示は印刷されません。下図は印刷日をフィールドとして挿入した例です。
また日付の形式や単位など、フィールドのオプションで変更できます。
フィールドの情報が空の場合は以下のように表示されます。下図は値が未入力のためにこのような表示になっています。
また、理論的に成立しないフィールドの設定を行った場合は以下のように表示されます。下図はリンク元のデータを削除したためにこのような表示になっています。
フィールドを更新する
フィールドを更新する操作は幾つかあります。
1.再作図(REGEN)コマンドを実行する。
直接コマンドラインに「REGEN」と入力し、Enterを押します。
2.フィールド更新(UPDATEFIELD)コマンドを実行する。
挿入タブ/データ/「フィールド更新(UPDATEFIELD)」を実行し、更新するフィールドを選択します。または、文字を編集する状態で右クリックのメニューからも実行できます。
フィールド(Field)を使用して計測する
フィールドで長さ(総延長)を計測する
過去の記事で、長さ(総延長)を計測する場合のポイントは「ポリライン」だとご理解いただいたと思います。
今回はそのポリラインとフィールドを組み合わせて、長さ(総延長)をリンク付きの計測値として表示したいと思います。
1.下図のように長さ(総延長)を計測するためのポリラインを作成します。
2.「文字」オブジェクトにフィールドを挿入します。必要なプロパティ(スタイルなど)を所有する文字を今回は複写して配置します。
3.配置した文字をダブルクリックし、文字編集の状態にします。内容を削除し、右クリックのメニューより「フィールドを挿入」を実行します。
4.ダイアログが開きます。フィールドの分類を「オブジェクト」にして、「オブジェクトを選択」ボタンを押し、計測するポリラインを選択します。
5.プロパティのリストより、「長さ」を選択します。
6.「精度」が「現在の精度」になっている状態だと、このファイルの場合、小数第4位まで表示されているのが分かります。下向き三角ボタンのリストよりフィールドに適用する精度を変更できます。
7.「OK」でダイアログを閉じます。下図のようにフィールドが挿入された文字が作成されます。
8.ポリラインの形状を変更します。ポリラインを分解して編集するとリンクが外れます。ストレッチ・グリップ編集などで形状変更をします。
9.ダブルクリックし、右クリックのメニューより「フィールドを更新」を実行します。下図のようにフィールドの値が更新されます。
フィールドで面積を計測する
過去の記事で、面積を計測する場合のポイントは「ハッチング・閉じたポリライン」」だとご理解いただいたと思います。
今回は、ハッチングとフィールドを組み合わせて面積をリンク付きの計測値として表示したいと思います。現況の土地(黒いライン)を計画の土地(赤いライン)に盛土・切土をして変更する場合の土量を算出してみたいと思います。
1.下図のように面積を計測するためのハッチングを作成します。緑は「切土」、ピンクは「盛土」のイメージです。
2.今回は表にフィールドを挿入してみたいと思います。下図のように表を作成しておきます。
3.C-2のセルをダブルクリックし、右クリックのメニューから「フィールドを挿入」を実行します。
4.フィールドの分類を「オブジェクト」にし、オブジェクトタイプで「ハッチングA」を選択します。プロパティのタイプを「面積」にします。
5.mm基準で作図している場合、mm2(平方ミリメートル)で計測されます。
6.mm2(平方ミリメートル)をm2(平方メートル)に換算して計測値を表示してみたいと思います。「その他の形式」をクリックし、変換係数に「1 / 1,000,000」と入力します。接頭表記・接尾表記をプラスすることもできます。接尾表記を「m2」にします。
7.OKでダイアログを閉じ、フィールドのダイアログも閉じます。下図のような表示になります。
8.残りのセルにもそれぞれフィールドを挿入します。
9.「切土合計」と「盛土合計」を算出します。C-4のセルをダブルクリックし、右クリックのメニューより「フィールドを挿入」を実行します。
10.フィールド名で「計算式・合計」を選択し、A・Bのフィールドを挿入したセルを窓で選択します。計算式の領域に下図のように表示されます。その他の形式を設定し、OKでダイアログを閉じます。
11.盛土の合計も設定します。下図のようになります。
- * 計算式にはROUNDなどの関数の使用ができないのでご注意ください。
12.盛土の形状を変更し、再作図(REGEN)を実行します。下図のようにフィールドの値が更新されます。
いかがですか? 皆さま、AutoCADで計測にフィールドを使用すると大変便利なことをご確認いただけたでしょうか? 今回の「AutoCADで計測する」の記事が皆様の作業効率アップにつながればと思います。