AutoCAD 画層ツールを使って便利に選択する その2

2024年11月19日

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AutoCADで選択を極める Vol.3

前回の記事では、画層ツールをより便利に使用する操作方法(1)についてお伝えしました。専用コマンドをご使用いただくことで、画層の表示・非表示、ロック・フリーズといった画層ツールをより便利に、また直感的にご活用できることをご理解いただけたと思います。今回は、画層を多く扱うユーザー様に向けて、画層ツールをより便利に使用する操作方法(2)をご紹介します。

AutoCAD 画層ツールを使って便利に選択

多数の画層を扱う

AutoCADでは作成できる画層数に制限はありません。建築・土木の業界では扱う画層数が多いのが一般的です。またレイアウトの機能を使用し、モデル空間をデータベースにするような「管理業務」でのデータの作り込みにおいても、多数の画層を扱うかと思います。100~200はなくとも、50を超える画層を扱うにはテクニックが必要です。

今回は、多数の画層を扱うユーザー様に向けて、ソート、プロパティフィルター・グループフィルター、画層状態管理の使用方法についてお伝えします。

画層をソートする

画層名だけではなく、画層に付与された色・線の太さなどで画層をソートすることができます。ソートした結果を利用して、まとめて非表示・ロック・フリーズなどができます。まとめて色の付与の変更や、線の太さの変更にも便利です。

画層管理ダイアログの各項目をクリックするとソートできます。

1.画層名でソートした場合

2.色でソートした場合

3.線の太さでソートした場合

プロパティフィルター

プロパティフィルターを使用することにより、条件検索に合致した画層のみを画層プロパティ管理、リボンの画層コントロールの画層名の表示を制限できます。名前や色などのプロパティに基づいて、プロパティフィルターを作成できます。

1.画層プロパティ管理の左上のアイコンをクリックします。

2.画層フィルタープロパティのダイアログが開きます。フィルター名として、今回は「TATEYA」とします。

3.フィルター定義で条件を入力します。今回は名前に「F*」と入力すると、下の結果になります。画層名には「ワイルドカード」の使用が可能です。また、画層状態や色などでも定義できます。条件は複数定義できます。

4.OKでダイアログを閉じます。画層プロパティ管理・リボンの画層コントロールの表示は下図のように制御されます。

画層プロパティ管理

画層コントロール

5.「フィルター反転」にチェックを入れると、画層の一覧表示が反転します。

6.右クリックのメニューから表示・非表示、フリーズ、ロックなどもまとめて実行できます。

グループフィルター

必要な画層のみをグループ化することができます。新規に作成したグループにドラッグ&ドロップで画層を追加できます。また、プロパティフィルターをグループフィルターに変更することもできます。画層プロパティ管理、リボンの画層コントロールの画層名の表示を制限できます。プロパティフィルターの状態だと任意の画層を追加できません。

プロパティフィルターをグループフィルターに変更する

右クリックのメニューより「グループフィルターに変換」で変更可能です。

新規でグループを作成する

1.画層プロパティ管理の左上のアイコンをクリックします。

2.グループ名を入力します。今回は「新規設備」とします。

3.必要な画層をドラッグ&ドロップで追加します。プロパティフィルターの「TATEYA」の全ての画層を「新規設備」にドラッグ&ドロップします。

フィルターを「全て(A)」に切り替えて下図の画層を「新規設備」にドラッグ&ドロップします。

4.グループフィルター「新規設備」は下図のような画層一覧となります。

画層プロパティ管理

画層コントロール

画層状態管理

画層の表示・非表示・ロック・フリーズの状態を保存し、復元できます。

1.まず必要な画層状態を設定します。今回は新規設備用の画層状態を設定します。工場の建屋の画層を「ロック」、旧設備の画層を「非表示」にします。手動で設定してもOKですが、直前にご案内した「プロパティフィルター」・「グループフィルター」を使用して設定してみます。

2.グループフィルター「新規設備」の「フィルターを反転」にチェックをして、リストの画層を「非表示」にします。

3.プロパティフィルター「TATEYA」のリストの画層を「ロック」の状態にします。

4.グループフィルター「全て(A)」にし、画層の状態を確認します。工場の建屋の画層は「ロック」旧設備関係の画層は「非表示」の状態となっています。

5.設定した画層状態を保存します。画層プロパティ管理の左上のアイコンをクリックします。

6.「新規作成」を実行し、名前を「新規設備用」としてOKします。

7.保存した画層状態に変更がある場合は、「編集」で可能です。ダイアログを閉じます。

8.画層状態をもう一つ作成します。全ての画層を「表示」・「ロック解除」の状態にします。

9.画層状態管理で「全表示・ロック解除」を新規作成、OKします。

10.保存した画層状態を使用してみます。作成した画層状態を選択して下部の「復元」を実行します。

いかがですか? 皆さま、多数の画層を扱う場合は、プロパティフィルター、グループフィルター、画層状態管理を使用して、選択の作業時間を短縮できます。次回の記事では「AutoCADの選択でのヒント」をお伝えします。

AutoCAD 条件抽出での選択とグループの活用