【Autodesk Fusion】気軽にハンズオン。ジェネレーティブデザインでバナナスタンドを作ろう
公開 2026年10月 7日
製造業

「ジェネレーティブデザイン」という言葉は耳にするものの、実際に使う機会がないという方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Autodesk Fusionの「ジェネレーティブデザイン」機能に使用条件を設定し、形状を生成しました。
今回作成するもの
今回作成するのは、バナナをつるすスタンドです。一見すると複雑でモデリングが難しそうな形状ですが、手作業ではモデリングしていません。
Fusionの「ジェネレーティブデザイン」機能で、使用時の条件を与えて形状を生成しました。


ジェネレーティブデザインとは?
ジェネレーティブデザインとは、設計者が指定した形状、荷重、拘束、材料、製造方法などの条件をもとに、計算処理によって複数の設計案を自動的に探索・生成する設計手法です。
Fusionでは、残したい形状、材料を配置しない領域、荷重、拘束条件などを指定すると、条件を満たす形状を生成できます。
動作環境
本記事では、Autodesk FusionとFusion Simulation Extensionを使用します。
- * Fusion Simulation Extensionを使用しない場合、ジェネレーティブデザイン機能の利用にはflexトークンが必要です。
では、早速バナナスタンドの作成を進めていきましょう。
大まかな形状をモデリング
はじめに「どんな形状が理想か」「何が必要なのか」を考え、Fusionのデザイン環境で検討を開始します。
今回はバナナスタンドを作成するため、まず対象物であるバナナを配置します。

次に必要な機能と大まかな形状を検討し、モデルを作成します。この形状は、ジェネレーティブデザイン機能を実行する際の指針である「開始形状」として、後ほど使います。
なお、開始形状は結合し、一つのボディにしておいてください。

ジェネレーティブデザイン環境へ
ここからは、ジェネレーティブデザイン環境で作業を進めていきます。
ツールバー左上の「デザイン ▼」をクリックし、「ジェネレーティブデザイン」を選択します。

すると、以下の画面が表示されるので「スタディを作成」をクリックします。

ジェネレーティブデザイン環境に切り替わります。
生成のために、形状を整える
ここからは、ジェネレーティブデザインで生成するための具体的な準備を進めていきます。
ツールバーの「モデルを編集」をクリックしてください。元の設計モデルを変更することなく、ジェネレーティブデザインに適した形状に編集するための環境が起動します。

押し出しなどのモデリングツールが使用できる状態になります。

保持部分をモデリング
まずは保持部分のモデリングを始めます。保持部分とは、ジェネレーティブデザイン機能によって形状を変化させたくない箇所のことです。
今回は、以下の箇所を保持部分とします。
バナナをつるす部分
バナナをつるす部分を、押し出し機能を使用して作成します。市販品のフックをナットで固定する想定なので、台座を設けます。

足の部分
足の部分を、押し出し機能を使用して作成します。

障害物をモデリング
次に障害物をモデリングします。障害物とは「ジェネレーティブデザイン機能で形状を発生させたくない部分」のことです。今回は、バナナと床に相当する領域です。
バナナの形状を参照しながら、バナナが隠れるように障害物をモデリングします。


接地面には、障害物として板状の形状を作っておきます。

コネクタ障害物をモデリング
今回、バナナをつるす部分には、フックを別パーツとして取り付けます。 そこで、フックのねじが通る箇所やフックの周囲に形状が生成されないよう、障害物を作成しておきましょう。
ツールバーの「コネクタ障害物」をクリックし、設定画面の「シャフトの始点」を選択します。

フック用の台座の穴のエッジを選択し、軸径、長さ、ボルト頭部の径を適宜入力し、OKをクリックします。

これで、ジェネレーティブデザインのためのモデリングは完了です。ツールバー右端の「モデルの編集を終了」をクリックして、編集環境を閉じます。

ここからは、先ほど作成した形状をジェネレーティブデザイン上でどのように扱うかを指定します。あわせて、形状生成に必要な条件も設定します。
保持ジオメトリを指定
ツールバーの「保持ジオメトリ」をクリックし、先ほど作成した形状を選択して、OKをクリックします。

障害物ジオメトリを指定
「障害物ジオメトリ」をクリックし、先ほど障害物として作成した形状を選択して、OKをクリックします。


役割が指定されたジオメトリには色が付きます。障害物ジオメトリは赤色、保持ジオメトリは緑色で表示されます
開始形状を指定
次は、開始形状を指定します。開始形状とは、生成の際に形状探索の指針となる初期形状です。
開始形状を設定すると、その形状をもとにジェネレーティブデザインの探索が進みます。ツールバーの「デザインスペース ▼」をクリックしてツールを展開し、表示された項目から「開始形状」を選択してください。

先ほど開始形状として作った形状を選択し、OKをクリックします。

荷重・拘束条件の設定
実際の使用状態を想定して条件を与えます。
構造拘束
ツールバーから「構造拘束」を選択し、足の底面(保持ジオメトリとして作成した床との接地面)を指定します。
拘束する方向として、設定画面のUx、Uy、Uzを選択します。

構造荷重
ツールバーから「構造荷重」を選択し、吊り下げ穴(保持ジオメトリとして作成した吊り下げ穴の内面)を指定します。
各項目を以下のように設定し、OKをクリックします。
- タイプ:力
- 方向のタイプ:ベクトル
- Fy:-15

デザイン基準(目標)の設定
ツールバーのデザイン基準パネルから「目標」をクリックします。
形状を生成する際の目標を設定できます。今回は、デフォルトのままでOKをクリックします。

デザイン基準(製造)の設定
ツールバーのデザイン基準パネルから「製造」をクリックします。設定しておくと、製造方法を考慮して生成が実行されます。今回は「制限なし」でOKをクリックします。

材質の設定
材質を設定します。ツールバーの「マテリアル」をクリックします。適宜材料を選び、上部のエリアにドラッグ&ドロップし、「閉じる」をクリックします。

これで一通りの設定が完了します。
プリチェック
形状の生成を開始する前に、ツールバーの生成パネルから「プリチェック」を実行します。
設定の不備がある場合は、その旨が画面内に通知されます。

実行
プリチェックで問題がなければ、いよいよ実行です。ツールバーの「生成」をクリックしてください。
以下の画面が表示されたら「1個のスタディを生成」ボタンをクリックして処理を開始します。

生成状況は、ツールバーの生成パネルにある「ジョブステータス」で確認できます。

完了まで少し時間がかかります。しばらくお待ちください。
結果を確認
完了すると、ジョブステータス画面の「アクション」列が「結果を表示」に変わります。

クリックすると、生成結果が表示されます。

生成されたデザインをクリックすると、詳細を閲覧できます。


生成した形状を別ファイルとして保存
ツールバーの「結果からデザイン」をクリックすると、生成した形状を独立した部品として利用できます。

状況は、ツールバーの「ジョブステータス」をクリックすると確認できます。
「アクション」列が「デザインを開く」に変わったら、完了です。クリックすると、ファイルが開きます。

この状態では、まだ保存されていません。キーボードの[Ctrl+S]を押し、保存先を指定して保存してください。保存したファイルは、通常部品と同じように編集できます。

アセンブリやレンダリングももちろん行えます。

最後に
本記事を通じて、ジェネレーティブデザインの使用方法を少しでも具体的にイメージしていただければ幸いです。
すぐに使う予定がなくても一度試しておくと、いざというときにジェネレーティブデザインを有力な選択肢として活用できます。設計の幅を広げるきっかけとして、まずは気軽に試してみてください。