BIMのメリットとは?

BIMの活用が広がっていますが、まだ様子を見ている段階の企業も少なくありません。BIMを導入すると一体どのようなメリットが生まれるのでしょうか? 反対にデメリットはあるのでしょうか?

データを交えてBIM導入のメリットについて解説します。
出典:BIM活用実態調査レポート 2020年版

8割以上がBIMのメリットを生かす

勤務先でBIMを導入している回答者271人に、BIMによって生産性が向上したかどうかについて聞いています。

「あなたの勤務先は、BIMツールのメリットをどのくらい生かしていると思うか」という質問に対し、「最大限に生かしている(4%)」と「かなり生かしている(18%)」を合計すると、22%がBIMツールのメリットを生かした使い方をしているようです。

また、半数以上が「一部だけ生かしている(64%)」と答えられています。また「ほとんど生かしていない(15%)」は少数派で、BIMツールのメリットを生かしている企業が大多数といえそうです。

設計の可視化が生産性向上のトップに

BIMツール導入による生産性向上効果は、どんなところに表れているのかを調べるため「生産性が向上した項目」と「今後、生産性向上を期待する項目」について聞いています。その結果を設計事務所と総合建設会社に分けて集計しました。

まずは設計事務所の結果を見てみると、「3Dでの設計可視化によるコミュニケーションや理解度の改善(75%)」がトップで全体の4分の3に及んでいます。続いて「設計図書間での整合性が取りやすくなった(56%)」、「顧客に対してよい印象を与えられた(50%)」がベストスリーとなっています(図27)。

一方、今後に期待することとしては「工程や工期の短縮(53%)」、「プロジェクト全体のコスト削減(50%)」、「RFI(情報提供依頼書)の削減(49%)」という回答が多かったようです。

総合建設会社でも、生産性向上効果は「3Dでの設計可視化によるコミュニケーションや理解度の改善(74%)」がトップで設計事務所と同じく4分の3の回答者が指摘した(図28)。続いて「顧客に対してよい印象を与えられた(56%)」、「設計図書間での整合性が取りやすくなった(53%)」と、順位はやや違うもののベストスリーは設計事務所と同じ傾向です。ただし、今後に期待することとしては、「プロジェクト全体のコスト削減(63%)」が最も多く、「工程や工期の短縮(59%)」、「設計変更に伴う手間やコストの減少(58%)」が高かったのが特徴的です。

コストと技術がBIM導入のネックに

「勤務先でBIMは未導入(201人)」と「BIM導入の有無が分からない(8人)」を合わせた209人の回答者に対して、「勤務先がこれまで、BIMツールを導入してこなかった理由」をたずねた結果です。

BIM未導入の理由は「ソフトの価格が高すぎる(60%)」、「BIMを使いこなす技術がない(45%)」、「ハードの価格が高すぎる(25%)」がベストスリーでした。4位の「社内のサポート体制がない(23%)」も含めると、BIMツールの価格という「コスト」とBIMツールを使いこなす「技術」が、BIM導入への大きなハードルになっていることがうかがえます。

ちなみに、2010年の調査結果でも1位と2位は今回と全く同じ理由だったので、コストと技術は、BIM導入の根幹的な課題といえそうです。

続いて、5位から8位まではほとんど同じ人数で「BIMの必要性を感じない(21%)」「施主や他社から強い要請がない(21%)」「BIM導入の効果が分からない(21%)」「自社の業務にBIMが合っていない(21%)」という理由が並んでいます。これらを一言で言うと「BIMを使うニーズや動機を感じない状況にいる」ということになります。

つまり、BIMモデルを扱うワークフローから隔離された環境で、建築の設計や施工の仕事をしているグループということになると思われます。

低コスト化、効果の確信、BIM人材確保が決め手に

BIM未導入企業に勤める回答者に「BIMツールを導入する場合の『決め手』は何か」について聞いた結果をまとめています。

1位は「ソフトの価格が下がる(56%)」で、やはり価格問題が過半数を占めた。2位は「設計・施工関係者とのコミュニケーションが改善できる(40%)」、3位は「製図時間が減り、設計時間が増える(35%)」となった。これらトップスリーの回答からうかがえるのは、従来のソフトよりも価格の高いBIMツールの導入によって、業務改善や生産性向上が実現するという「費用対効果」を確信できることが、BIMツール導入の前提条件になるといえそうです。

そして4位は「BIMを使いこなす人材の育成や採用(33%)」が続く。BIMツールは導入してから使える人材を育て、活用の効果が出るまで数年かかる場合もある。BIMツールの導入から投資回収までの長丁場のイメージを具体的に描き、結果を確信できないと、企業経営者が高価なBIMツールの導入にゴーサインを出せないという悩みが感じ取れます。

一方「施主や取引先から導入を強く求められる(17%)」や「競合企業がBIMを導入することの対抗上、必要となる(12%)」といった「外圧に迫られての導入」を挙げる声は比較的少なかった。

BIM活用実態調査のまとめ

日経BPコンサルティングと日経BPは、2010年に建設実務者を対象にインターネット上で「BIM活用実態調査」を行い、結果を公表していました。その後、BIMを取り巻く環境も大きく変わってきたため10年ぶりに同様の調査を行い、現在の建設業界でBIMはどのように活用されているのかを、本レポートでは探っています。

BIM活用実態調査レポート 2020年度版

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