LOD

各設計フェーズにおける詳細度は何を目安にすべきなのか

設計段階ごとに要求される図面の詳細度が異なるように、BIMモデルも設計フェーズによって、あるいは建築プロジェクトの進行状態によって求められる詳細度が異なります。必要とされるモデルの詳細度および情報を詳細度レベル(LOD<Level Of DetailもしくはLevel Of Development>)として規定することで、設計者がプロジェクトを円滑に進められるようになります。

建築プロジェクトのフェーズごとのLOD

設計時と施工時、維持管理時など各フェーズで求められるBIMモデルのLODは違います。モデルの詳細度と情報の詳細度に分けて考えると次のようになります。

モデルデータは維持管理の際には設計・施工時ほどの詳細度は必要なくなりますので、ライフサイクル全体での管理データについては必要に応じた編集が必要です。

各建築要素のスケーラビリティとLOD

CADソフトの制約と設計フェーズごとのLOD

各建築要素(Revitではファミリ)のパラメーターが、施工段階まで表現できるだけのパラメーターを持っていないことがあります。その場合には、いくら高いLODレベルまで表現したいと思っても表現できません。

各設計フェーズにおける建築要素のLODを管理できるように、米国建築家協会(AIA)では、各要素のLODを記述するための「モデルエレメントテーブル」がAIAのBIM議定書(E202-2013)で採用されています。モデルエレメントテーブルは表形式で示され、各設計フェーズでの各要素のLODとモデル作成者を記入できるようになっています。

  • LOD 200

  • LOD 300

  • LOD 400

3D設計におけるLOD

従来、設計が進められていくにつれ、2次元の図面が詳細度を増していくのと同じように、3Dモデルでも最初から詳細に記す必要も決める必要もありません。企画設計段階で決まったラフな設計案からイメージを膨らませるプロセスは同じです。ソフトの制約を受けないデザインフェーズでのBIMツールも登場していますので、使い分けていくことが必要です。

国土交通省のBIMガイドラインにおけるLOD

国土交通省がBIMで発注を行う際に、成果物のガイドライン以外に3Dモデルの設計フェーズごとの詳細度を決めています。

「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作成及び利用に関するガイドライン」では、「基本設計方針策定」「基本設計図書作成」「実施設計図書作成」「完成図等作成」におけるBIMモデルの詳細度の目安が記されています。BIMモデルのLODについては、「BIMモデルの作成及び利用の目的に応じたBIMモデルを構成するオブジェクトの詳細度合いをいう」と定義されています。

設計フェーズごとの詳細度を決めることで、プロジェクト全体の適正な品質、コスト、工期の見通しがつきやすくなりました。これにより、入札における過度なVE提案や過当競争を防ぐことが可能です。

しかし、プロジェクトを円滑に進める鍵はフロントローディングにあります。実施設計の前後にピークを迎えていた設計業務を企画設計や基本設計などの段階に前倒しすること、現場が動いていないプロジェクトの上流段階で設計変更を行うことで見通しを立てているので、フロントローディングが実現できないと、コスト面から破たんする可能性があります。

BIMガイドライン掲載の詳細度参考例(PDF)[270KB]

解析におけるLOD(詳細度)

解析モデルの作成にも解析対象によりモデル化を変えて行います。

例えば、建物全体の地震時の挙動を見たいのであれば、計算効率の高い柱梁のフレームモデルを用います。柱と梁の接合部の応力を見たいのであれば、接合部を3Dモデル化し、FEMで詳細な解析を行います。必要となる解析結果に応じてさまざまなモデル化手法、解析要素の選定を行います。

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