BIMを通じた建築データの活用に関するガイドライン

「BIMを通じた建築データの活用に関するガイドライン(令和7年3月)」とは、主に維持管理・運用段階におけるBIM活用の促進を目的として、不動産オーナー・AM・PM(注1)にとってのメリットや社会的意義、ユースケースなどがまとめられたガイドラインです。

さまざまな活用アイデアや実際の事例が紹介されており、実業務にBIMを取り入れた際のイメージを具体的に把握できます。維持管理・運用業務の効率化や収益性の向上を目指すオーナーにとって最適な手引きです。

  • (注1)AM(アセットマネジメント):不動産オーナーの依頼を受け、資産運用に関する業務(投資用資産のポートフォリオ管理、不動産売買や賃貸借の運用など)を実施。
    PM(プロパティマネジメント):不動産オーナーの依頼を受け、不動産経営に関する業務(入居者支援、テナント管理など)を実施。

建築データとは

建築データは大きく四つに分けられます。各種データを組み合わせることで、建築物に関わるさまざまな情報を可視化できます。

1.BIMデータ(静的データ)

主に設計者や施工者が作成するBIMデータです。

建物の形状だけでなく、面積や高さ、用途などに関するデータが含まれます。不動産IDなどの固有IDとひも付けることで、次の三つのデータと連携できます。

2.蓄積記録データ

主に建物の管理・運営担当者が作成する記録データです。定期点検・修繕に関するデータや収益・テナントに関するデータなどが含まれます。

3.リアルタイムデータ

主に建物の管理・運営担当者が作成する観測データです。リアルタイムにモニタリングされた人流や空間稼働状況などのデータが含まれます。

4.インデックスデータ

主に公的機関がルールに基づいて作成する評価データです。不動産取引価格や建物の性能に関するデータなどが含まれます。

出典:BIMを通じた建築データの活用に関するガイドライン(令和7年3月)
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001882469.pdf)

建築データ活用のユースケース

建築データを維持管理・運用業務に活用することで、地域活性化や防災性の向上といった社会的意義があるだけでなく、収益性向上やコスト削減などの経済的メリットを得られます。

一方、BIMデータの作成や更新にかかわるコストも必要となるため、メリットとコストを考慮したうえで実現したいユースケースを検討します。

BM(ビルマネジメント)・物件運用

修繕・点検管理・清掃

BIMデータ × 蓄積記録データ(点検結果、劣化/不具合情報、運転時間など)

修繕や点検管理、清掃を効率的に行えます。修繕時期や優先度が最適化されることによって、修繕費の削減が期待できます。

エネルギー・GHG

ホールライフカーボン算定

BIMデータ × インデックスデータ(EPDデータ)

部材・製品の製造時CO2データを活用することで、ホールライフカーボン算定を容易に行えます。

空調管理の効率化

BIMデータ × 蓄積記録データ(空調システム運転時間、光熱水費/管理コスト、人員配置状況など)× リアルタイムデータ(各室の稼働状況、人流データなど)

空調管理を効率的に行うことで、光熱水費を抑えながら利用者にとって快適な空間を創出することができます。

テナント管理・支援

テナント契約管理

BIMデータ × 蓄積記録データ(テナント契約情報、ビル収支、光熱水費/管理コストなど)

テナント契約管理を効率的に行えます。賃貸借契約管理の自動化やテナントレポートの自動作成が可能です。

混雑状況の可視化

BIMデータ × 蓄積記録データ(店舗売上情報、人員配置状況など)× リアルタイムデータ(人流データ)

会議室やトイレの混雑状況を可視化することができ、利便性が向上します。

FM(ファシリティマネジメント)

オフィス最適化

BIMデータ × 蓄積記録データ(人員配置状況、従業員個人情報など)× リアルタイムデータ(各室の稼働状況、人流データ)

オフィス稼働率の向上やオフィスレイアウトの最適化、人材配置の最適化を行えます。

BIM運用で困ったら大塚商会の「BIM・CIM コンサルティングサービス」

大塚商会では、豊富な経験を持つエンジニアが、お客様の課題に寄り添いながらBIMの導入から活用までを丁寧にサポートします。最適な立ち上げ支援はもちろん運用フェーズにおける活用支援まで、お客様の業務に合わせて対応させていただきます。

BIM・CIM コンサルティングサービス

BIMデータの作成・活用フロー

維持管理・運用に用いるBIMデータは、次のフローで作成・活用することが想定されています。不動産オーナー・AM・PMが主体的に実施しますが、必要に応じてライフサイクルコンサルタント(注1)への委託を行う場合もあります。

  • (注1)ライフサイクルコンサルタントは、委託を受け、業務フロー・ユースケースの検討や各種システムの構築、BIMデータの作成・支援を行う。担い手としては、PM(プロジェクトマネジメント)/ CM(コンストラクションマネジメント)会社や建築士事務所などが想定される。
  1. 1.データ区分の検討

    設計・施工段階で作成されたBIMデータを維持管理に適したものに再構成するため、データ区分ルールを定めます。資産管理・点検・修繕の考え方に則った空間区分、維持管理区分を検討します。

  2. 2.必要なデータの検討

    実現したいユースケースに基づいて、必要なデータを検討します。維持管理においては、特に区画情報と設備・部材情報が重要なデータです。

  3. 3.EIRの作成

    1・2に基づいて、維持管理・運用BIM作成に関するEIRを作成します。EIRでは、BIM活用の目的やスケジュール、BIMデータのLOD、契約上の役割分担などの要件を示します。

    LOD

  4. 4.維持管理・運用BIMの作成

    3で作成したEIRをもとに設計者や施工者に発注します。受注者は設計/施工BIMデータから必要なデータを抽出・再構成し、維持管理BIMデータを作成します。

    維持管理に活用するBIMモデルは、設計BIM相当のLODをベースに、施工段階で確定する情報(設備施工情報、設備機器の品番、耐用年数など)を追加したものです。

    既存建築物の場合は、既存の設計図書や現況調査から維持管理BIMデータを作成します。

  5. 5.BIMデータと管理ツールの連携

    4で作成したBIMデータを不動産管理ツールや業務基幹ツールとひも付け、維持管理業務の中で活用します。

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