株式会社遠藤照明

株式会社遠藤照明

株式会社遠藤照明 照明技術研究所 所長 新井克弘氏(左)
コア技術開発部 光学技術課長 下川哲平氏(右)

SolidWorks Flow Simulation導入直後に行ったLED照明の新開発では、試作による温度試験が1発で通りました。偶然にしては出来すぎです

株式会社遠藤照明では、省エネと長寿命が特徴のLED照明器具の開発における熱設計を最適化するためにSolidWorks Flow Simulation(以下、Flow Simulationと表記)を導入し熱流体解析に取り組み、製品開発のスピードアップ、性能・品質の向上に成功しました。
同社が展開するオリジナルブランドLED照明器具の企画・設計・試作・評価に至るまで開発全般を担うのは、戦略拠点の1つ照明技術研究所です。

所長 新井克弘氏と、熱流体解析に携わる光学技術課長 下川哲平氏に、SolidWorks製品の活用方法と導入効果を伺いました。

株式会社遠藤照明

株式会社遠藤照明について

株式会社遠藤照明は、照明器具専門メーカー。業務用に特化したオリジナルブランドの照明器具を販売し、国内商業施設においてトップクラスのシェアを獲得している。

2004年、グッドデザイン賞受賞。2009年からは全商品をLED照明に切り替える戦略を取り始め、2010年、業務用LED照明シリーズ『LEDZ』を発売。圧倒的な品ぞろえと性能を実現し、一気に国内LED照明器具の市場シェア15%(3位)を獲得。現在は、アジア、ヨーロッパ、北米の照明器具メーカーや代理店と提携しグローバル市場への展開を本格化している。

創業 1967年
本社 大阪
サイト http://www.endo-lighting.co.jp/

最適な放熱設計を行うためにFlow Simulationを活用

― 御社がLED照明でトップクラスのシェアを獲得できた理由を教えてください。

トップクラスのシェアを獲得した最大の要因は、LED照明の低価格化に成功したことです。弊社がLED照明の開発に本格的に取り組み始めた2008年当時の価格は、従来の照明器具と比べておよそ2倍でした。

弊社は、一般的に「性能はよいが高い」というイメージが持たれていたLED照明を、従来照明器具に対して消費電力4分の1、明るさはLEDの方が明るいという性能を維持したまま、価格を同等レベルにまで引き下げました。それによって一気にシェアが伸びました。

直管形のLEDランプ

2012年3月に発売した直管形のLEDランプ。1Wあたり121ルーメンの光束は世界トップクラス

価格を抑えて性能を維持・向上させるためのポイントは大きく分けて4つです。
第1に、LED素子そのものを変えること。第2に、電流制御の方法を変えること。第3に、LED素子の自己発生熱を制御するための放熱設計の最適化。第4 に、電源設計の最適化です。このうち、放熱設計の部分でSolidWorksとFlow Simulationが役に立っています。

― SolidWorks製品の活用状況を教えてください。

弊社では現在、照明技術研究所で、SolidWorks×4ライセンスと熱流体解析ソフトFlow Simulation×1本を導入し、光学解析ソフトは、SolidWorksに完全統合されたOPTISWORKSを使用しています。

もともと、照明技術研究所では10年前からハイエンド3次元CADと光学解析ソフトを導入し、光学解析に活用してきましたが、照明器具の光源がLEDに変わったことで、放熱設計の重要性が高まるとともにスピード開発が求められ、そこで、2010年12月、SolidWorks×2ライセンスとFlow Simulation×1本を導入し、放熱解析に取り組み始めました。
その結果、非常に高い導入効果があったため、2011年12月、SolidWorks×2ライセンスを増設し光学解析にも活用し始めました。

3次元CADに関してはこのほかに、中国工場で2003年の設立時からハイエンド3次元CADで器具の設計を行っています。また、2010年設立の佐野工場では、SolidWorksにアドインして使用する板金用CADツールSheetWorksを導入しました。将来的には、中国もSolidWorksに統一し、設計の全工程3次元化する構想を持っています。SolidWorks製品の活用で、そのスピードが加速しそうです。

LED照明の設計で熱解析が重要な理由

― LED照明の設計では、なぜ熱解析が重要なのですか。

放熱設計の良しあしが、LED照明の商品価値に直接影響するからです。LEDの特徴はエネルギー効率がよいことと、寿命が長いことです。

しかし、LEDは半導体であるため従来の照明器具に比べて熱に弱いという性質があります。LEDの光には熱が含まれませんが、LED素子そのものは発熱します。この熱をそのままにしておくとLED素子の温度が上昇し、電力あたりの効率が低くなり光量が落ちます。そして寿命が短くなります。また、それはデザイン面にも影響を及ぼします。LED素子の自己発生熱の放熱はヒートシンクで行いますが、LED電球の体積のほとんどを、ヒートシンクが占めており、ヒートシンクのデザイン=LED照明器具のデザインと言っても過言ではありません。放熱設計が最適化されないと、このヒートシンクが大きく、重くなり、器具全体のデザイン性が損なわれます。

LEDZ LAMP Diskシリーズ

遠藤照明オリジナルブランド
LEDZ LAMP Diskシリーズ

以上のように、LED照明の設計では、性能、デザイン、省エネルギー、いずれの観点からも放熱設計の最適化が重要です。スピードが求められるLEDの開発で最適設計を行うためには、SolidWorksとFlow Simulationが必要でした。

― Flow Simulationを導入する以前は放熱設計はどのように行っていたのですか。

試作品を作って温度試験のトライ&エラーを繰り返していました。試作による温度試験は、約2週間かかるので、2回から3回ぐらいしか行えません。そのため、性能に安全性を求めざるを得なくなり、結果的に器具が大きく重くなってしまいます。それに対してFlow Simulationによる熱解析は、形状によっては10分ぐらいで終わるため、数多くの形状を試しながら、最適な形状を突き詰めていくことが可能です。

スピードが要求されるメーカーに重要なのは開発ツールの使いやすさ

― 熱解析ツール選定にあたって重視した条件を教えてください。

ツール選定にあたって重視したことは、製品の開発期間そのものを短縮できることと、ツールの導入・実用化に時間がかからないことです。

LED照明の開発では、従来の照明器具の約8倍のスピードが要求されます。従来の照明器具業界では、2年に1度のペースで新製品を開発していましたが、 LED照明は3ヶ月に1度のペースで新しい性能(より明るい光源)を持った照明器具が登場しています。このスピードに乗り遅れると、他社に負けてしまいます。LED照明で競争力を維持するためには、とにもかくにもスピードが重要なのです。

すぐに導入・実用化することができて、なおかつ製品開発期間の短縮を可能とする解析ツール。そのような条件を満たしているのがFlow Simulationでした。

― そのように判断したのはなぜですか。

実際に使ってみて、使いやすさを実感したことが決め手となりました。スピーディな導入・実用化を実現し、製品開発のスピードを上げるためには、ツールの使いやすさが最大のポイントとなります。
実際に本格導入する前に、大塚商会からSolidWorksとFlow Simulationを1ケ月間借りて使ってみると、チュートリアルが充実しており、その手順に従って操作するだけで使い方を覚えることができました。光学解析のために導入したハイエンド3次元CADとの差は歴然としていました。

SolidWorksの秀逸なGUIを引き継いだFlow Simulation

― 具体的に言うとどのような点がSolidWorksまたはFlow Simulationの使いやすさなのでしょうか。

SolidWorksとFlow Simulationの使いやすさは、1.秀逸なGUI、2.3次元CADと解析ツールの完全アドオンという2点によります。

1.秀逸なGUI

SolidWorks製品は、使い慣れたWindowsに近いUIを備えており、直観的な操作が可能です。作成した3次元モデルやシミュレーション結果はすぐに視覚的に確認することが可能であり、他部門とのコミュニケーションを円滑にする効果もあります。

2.3次元CADと解析ツールの完全アドオン

Flow SimulationはSolidWorksに完全アドオンされたソフトウェアのため、3次元データを中間ファイルにエクスポートして、解析ツールにインポートするなどの手間が不要です。形状を作るだけで効率的にコンフィギュレーションを作成し、さまざまな形状を短時間で一気にシミュレーションすることが可能です。開発ツールが使いやすいことはメーカーにとっては大変重要です。SolidWorksは、そのことが十分に理解された上で開発された3次元 CADだと感じました。この使いやすくて覚えやすいということが、Flow Simulationを含めたSolidWorks製品の最大の価値です。

ハイエンドの3次元CADは沢山あります。機能も豊富で、それはそれで価値がありますが、導入やスタッフの教育、あるいは操作に時間がかかることは、スピードを要求されるメーカーにとっては使い物にならないケースが多々あります。

光学技術課長 下川哲平氏

光学技術課長 下川哲平氏
「解析専任者がいなければ解析ができないという時代は終わりました。SolidWorksなら解析から設計まで一気通貫で行えます。」

それに対してSolidWorks製品は、ユーザにとっての使いやすさを優先して開発されています。バージョンアップも頻繁に行われ、その度にどんどん使いやすくなっています。そのような姿勢が、スピード開発を求める弊社の価値観とマッチし、長期にわたって付き合っていける開発ツールだと感じました。 SolidWorksは3次元CADの中で最もシェアが高いということも重要なアドバンテージです。トップシェアを持っていることで、アドオンソフトやライブラリーが充実し、さらに使いやすさが進化していきます。

このような観点から、Flow Simulation以外の熱解析ツールを検討する理由はありませんでした。

試作による温度試験のトライ&エラーの回数がゼロに

― Flow Simulationを導入した成果を教えてください。

ヒートシンクの設計において、試作回数を減らし、期間を大幅に短縮することができました。形状の最適化(最小・最軽量)も実現しています。
最もうまく行った例は、2010年から2011年の春にかけて開発したLEDZ LAMP Diskシリーズの開発です。試作による温度試験が1回で通り、ヒートシンクの開発期間は従来比3分の1に短縮することができました。

― LEDZ LAMP Diskシリーズの開発では、どのような方法で熱解析を行ったのでしょうか。

解析で重要なことは精度ではなくスピードです。出来るだけ多くの形状パターンで解析を行い、相対比較をして最適な形状を求めていくことがコツです。特に、 LEDZ LAMP Diskシリーズの開発時は、Flow Simulationを導入した直後のため、技術構築ができていませんでした。そこで、実機とシミュレーション結果の絶対精度を合わせることは考えず、試作とシミュレーションのハイブリッドで最適な形状を求める方法を採用しました。

Flow Simulation解析中のモニタ画面グラフと温度分布図

Flow Simulation解析中のモニタ画面グラフと温度分布図で把握できる。

まず、放熱の合理性を無視した簡単な試作品を作ります。次に実機試験とFlow Simulationによる解析結果の差分を求めます。次にその試作品を元にさまざまな形状の解析を繰り返し、それぞれの解析結果と先の差分を組み合わせて、ヒートシンク形状をどのように変化させれば温度が上がるのか、あるいは下がるのかを検証し、最適化を行いました。

この際、重要なパラメータはヒートシンクの部分のみに絞り、その他の部品は簡略化形状でまかないましたが、Flow Simulationは十二分に機能を再現してくれました。このあいまいさを許す懐の深さがSolidWorks製品の長所です。
この特性のおかげで短時間に数十パターンの形状のシミュレーションを、LEDZ LAMP Diskシリーズに適用することが可能となりました。

また、本来は、金型製作の前に最後に実機試作での確認作業が発生しますが、LEDZ LAMP Diskシリーズの場合はその必要性がなくなりました。というのも、この時の解析は企画担当者と解析結果を見ながら過去の経験をベースに、どれくらい補正すれば実機と合うかを判断していったのです。技術者の経験とFlow Simulationの特性がうまくマッチした典型的な好事例です。

SolidWorks製品を使いこなせば、開発に余裕ができて、従来では考えられなかった冒険ができるようになります。従来のもの作りのプロセスとは違う、面白い製品作りができる可能性を感じました。

Flow Simulationによる解析結果を表す画面

Flow Simulationによる解析結果を表す画面。温度分布と熱の流れが可視化できる。

― 2011年12月に導入したOPTISWORKSによる光学解析はいかがですか。

SolidWorksとOPTISWORKSによる光学解析は始めたばかりですが、シミュレーションに係るスピードが向上しました。ケースによりますが、感覚的には従来比10倍から20倍の量がこなせます。それはSolidWorksの使いやすさによる部分が大きいです。
10倍、20倍の量がシミュレーション出来れば、品質は格段に違ってきます。集光や色ムラがなくなるなど、私たちが求める光により近づけることができるようになりました。
SolidWorksとOPTISWORKSによる光学解析はまだ一部ですが、今後は比率を高めていきます。

SolidWorks製品の導入は、より競争力を高める要因の一つに

― 3次元CADや解析ツールの導入によって製品開発のスピード化や品質向上が実現したことは、照明技術研究所をマネジメントする立場からはどのように評価しておられますか。

以下、2つの点で評価しています。

1.人件費を増やさずに開発スピードを向上

弊社の得意分野である商業施設では、お客様が欲しい時に、最も性能のよい商品を提供できる態勢を整えておかなければいけません。LEDの製品開発では従来比8倍のスピードが求められるため、従来の開発体制ではそれを維持することは不可能です。
しかし、売り上げ規模が倍増するわけではないので、経営上、開発スタッフの増員は困難です。

SolidWorksとFlow Simulationの導入はそのようなジレンマを解消してくれました。開発スタッフを増員せずに、短時間で数多くのシミュレーションをこなし、開発期間全体の短縮にもつながったことは、トップクラスのシェアを維持・拡大する上でも重要な要素だと考えています。

2.開発コスト、教育コストの削減

開発期間が短いということは、開発コストが少ないということです。製品一台あたりの償却費が少ないため製品を安い価格で提供することが可能となります。同じ値段なら省エネルギーで高性能な製品の方が好まれます。それが市場全体のかさ上げにもなりました。

熱解析をスタートする際、SolidWorksを選定することは会社としてはちゅうちょした部分もありました。既にハイエンド3次元CADを導入していた中国工場と環境をそろえた方がよいだろうという意見があったからです。しかし、Flow Simulationを選択したことで熱解析の取り組みがスムーズに行きました。それが、より競争力を高める大きな要因になったと考えています。

照明研究所 所長 新井克弘氏

照明研究所 所長 新井克弘氏
「設計図の書き方を覚えることに時間を費やすことは無駄です」

また、佐野工場におけるSheetWorks導入の際も、SolidWorksの覚えやすさから立ち上げがスムーズに行きました。習得スピードが速いということは教育コストの削減にもつながります。

今後はFlow Simulationを使える技術者を国内外の拠点を含めて増やして、さらに開発スピードの向上を目指したいと思っています。また、人材流動の激しい中国の3次元CADもSolidWorksに置き換えていく予定です。

大塚商会の導入トレーニングが導入・実用化を加速

― 大塚商会による導入トレーニングやサポートなどは受けていますか。

Flow Simulation、OPTISWORKS、それぞれの導入トレーニングおよび、サポートサービスの『たよれーる』も受けています。大塚商会のサポートに対しては非常によい印象を持っています。Flow Simulationを導入にあたり事前に1ケ月間試用した際にも、積極的なフォローをしてもらいました。

Flow Simulationの導入トレーニングは、マニュアルが非常に実践的で充実していました。
また、当社が実際に抱えていた案件を盛り込んだ教育プログラムにしてくれました。指導してくれたエンジニアの知識やノウハウも非常に優れていました。それが、活用を早めた要因になりました。
OPTISWORKSの場合は、導入時に開発スケジュールが過密すぎて、導入トレーニングを受けられなかったため、3月頭まで自己流で使っていました。それでもかなりの効果がありましたが、トレーニングを受けてみると、見落としている使い方も沢山ありました。遅れてでもトレーニングを受けて正解でした。

大塚商会のサポートは、自社内に優秀なCADエンジニア・解析エンジニアを多数抱えているため、行き詰まってもすぐに解決出来ます。サポートサービス『たよれーる』も、回答がその日のうちに返ってきます。3次元CADや解析ツールの実用化を急いでいる企業には頼もしい存在です。

本格的な世界展開に向け、3次元設計のメリットを最大限にいかしていきたい

― 今後の事業展開についてお話し下さい

今後は世界規模の販売を目指していきます。
LED照明の世界市場は20年後には50兆円に成長すると見込まれています。そこでシェアを数%取るだけで1兆円企業になります。現在LED照明の主戦場である国内需要だけでは企業としての成長には限界があるので、世界展開は不可欠です。 すでに海外市場における販売を強化しており、アフリカと南アメリカを除いた地域で、各地の照明器具メーカーや代理店と連携し、本格的な営業展開をスタートしています。

― 3次元CADの活用はどのように発展させるご予定ですか。

将来的にはフロントローディング体制の構築にも着手する計画です。現在2次元CADを併用して行っている器具の設計を3次元に完全移行し、解析専任エンジニアが行っている熱流体解析や光学解析まで設計者が行えるようにしていきたいと考えています。解析の専任者がいないと解析が出来ないという時代は終わりです。

SolidWorks製品であれば、設計者が現在持っているスキルの範囲内で、解析から設計まで一気通貫型で出来るようになります。それが実現すれば製品開発から量産までの全工程を短縮することが可能となります。そこを目指すためにはいくつかクリアしていかなければいけない課題もありますので、一足飛びには出来ないでしょう。そこで当面の課題は、熱解析のレベル向上です。

先ほど例に挙げたLEDZ LAMP Diskシリーズの開発では、ヒートシンクだけに絞った解析で済みましたが、もっと高難度な放熱解析が必要なケースもあるので、SolidWorksと Flow Simulationの機能を十分に使いこなせるようになりたいと考えています。

短時間で数多くのシミュレーションをこなして設計を最適化出来るということが3次元化の最大のメリットです。そのメリットを最大限にいかす上で、SolidWorks製品と大塚商会のサポートを活用するシーンはますます増えて来るでしょう。

お忙しい中、ありがとうございました。

※ 取材日時 2012年3月

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