SolidWorksの優れた操作性のおかげで、学生に「モデリングのDNA」を植えつけることができます

中央工科デザイン専門学校

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中央工科デザイン専門学校のメカトロニクス学科では、CAD利用技術者試験1級と3次元CAD利用技術者試験1級の取得を目的としたカリキュラムを実施。これまでの資格のダブル取得率は75%という高い実績を出している。また、ものづくりを志す若者の技術力アップを目的とした3DCADモデリングコンテストを開催している。今回は五十部先生と木村先生に、教育現場でのSolidWorksの役割について聞いた。(写真左:中央工科デザイン専門学校 教務部 五十部昌克統括部長 右:キーライズテクノ代表 木村昇先生

中央工科デザイン専門学校

中央工科デザイン専門学校のご紹介をお願いします。

当校は、2012年に創立70周年を迎える中央カレッジグループに所属しています。中央カレッジグループは、9校26学科69コースからなる北関東最大級の専門学校グループです。グループ全体で平成22年までに29,368名の卒業生を送り出しています。就職内定率は97.2%となっており、この数字は就職希望者ではなく、全学生数に対しての就職率です。

また、グループ企業では、地域の優良企業との信頼関係を構築して、学生の就職活動をバックアップしています。当校は、CPM(Creation:創る Product:造る Making:作る)をスローガンに掲げ、あらゆる「つくる」にこだわった専門学校です。日本の産業を支える人材を育成したいと考えています。

3次元CADをどのようなカリキュラムで活用なさっているのですか?

3次元CADを活用しているのはメカトロニクス学科で、2年制の「3D-CAD技術者コース」と1年制の「CADオペレーターコース」を開設しています。来年度からはデジタルデザイン学科に「プロダクトデザインコース」を新設し、そこでも3次元CADの教育を開始します。モデリングとデザインの分野で3次元CAD教育を実施していく予定です。

中央工科デザイン専門学校の3次元CAD教育カリキュラム

では「3D-CAD技術者コース」について教えていただけますか?

「3D-CAD技術者コース」は1年次にはCAD利用技術者試験1級と3次元CAD利用技術者試験1級の取得を目指し、資格試験に合わせたカリキュラムを設定しています。これまで、資格のダブル取得率は75%となっております。 2年次には設計に関する基礎知識の習得もCAD実習と平行して行います。またカリキュラムの集大成としては2~3名のチームで卒業制作を行います。

卒業制作の作品の中で、印象深いのは電気自動車です。資材の調達から実際の製作まで学生だけで行いました。完成した電気自動車には私たちも試乗しました。形はさらにブラッシュアップする必要があるかもしれませんが、動かすまで作り上げたという点では評価しています。

卒業制作をグループで行うのは、技術力だけでなくコミュニケーション力を養うためです。社会に出てからは、技術だけでなくコミュニケーション力が重要です。ですから、マナーやあいさつも大切な教育だと考えています。また、卒業制作のプロセスでは学生は多くのことを学ぶことができます。先ほどお話した電気自動車は「できるだけコストを抑えること」と指示を出して材料から学生に調達させました。するとものの見方が変わります。ホームセンターに行っても、これまで気にしていなかったネジ一本でも価格と機能性を考えて購入するようになります。また、試験運転の日を決めることで納期が生まれます。技術、チームワーク、コスト意識、納期など、社会に出て有効な教育を行っています。

五十部昌克先生

「資格試験に合わせたカリキュラムを設定しています。」

第1回3DCADモデリングコンテストを開催

今年開催された第1回3DCADモデリングコンテストについてお聞かせください。

本コンテストはものづくりへの意識を高めることを目的として開催しました。モデリング技術、創造的なアイデア等を競うコンテストです。 今回のテーマは「楽しいオフィス機器」として、県内外の高校生、専門学校生等、CADを学習する若い技術者を対象にコンテストを実施しました。40作品のエントリーがあり、2011年10月1日に表彰式を本学園大講堂にて開催しました。最優秀賞はUSBハブや携帯充電機能を備えた多機能な卓上筆立てをモデリングした作品が授賞しました。

コンテストを開催した動機を教えていただけますか?

以前から、県内の高校から3次元CADによるモデリング技術を発表する場所が欲しいと言われることがありました。当校でも学生が別のコンテストに応募して賞を受賞したことがありました。やはり目標を設定すれば意識が変わるということを目の当たりにして、コンテストの開催をしたいと思いました。

また、3次元CADを知らない、もしくは3次元CADの技術を習得できていない生徒でも応募ができるように無料の体験講座を開催しました。技術を広めるだけでなく、CADを知らない生徒へのCADに対する認知度も上げられたと思います。

学生や生徒のみなさんの意識に変化がありましたか?

目標があれば取り組む姿勢が変わります。姿勢が変われば技術力も上がります。募集期間が夏休みを挟んでいたので(6月30日から9月2日)、応募数を心配していましたが、予想を上回る数とアイデアやデザイン性に優れた作品が集まりました。ものづくりの現場では必須になっている3次元CAD技術を今後も多く広め、県内外のものづくりを志す若者の技術力アップのためにも、第2回の開催を計画したいと考えています。次回は、デザインや形状、技術力など、分野別の表彰も検討しています。波及効果としては、ヒーターメーカーから、設計のアイデアが欲しいという依頼がありました。

木村昇先生

木村昇先生

「目標があれば意識が変わります。」

SolidWorksを導入した理由

では、3次元CADを導入した経緯を教えていただけますか?

専門学校の意義は、学生を希望の職業に就職させることで夢を応援することです。ですから、実際に企業に伺ってどのような人材を必要としているのかを聞きました。そこで必要な人材とされていたのが、3次元CADの技術者でした。

SolidWorksを導入した理由を教えていただけますか?

以下の4点の理由によって、SolidWorksの導入を決定しました。

1.コスト

全学生が利用することができる環境を作るためには、高額なCADシステムは導入できません。そこで、コストパフォーマンスに優れた3次元CADを探していたところ、SolidWorksにたどり着きました。

2.操作性

利用者の立場から見ても、SolidWorksの操作性は優れていると思いました。また、ミドルレンジの3次元CADとしては性能も高いと感じました。学生が使用する際も、操作方法の習得時間が短く、実習に時間を使うことができると判断しました。

3.成長性

導入当初は、現在ほどSolidWorksのシェアは高くありませんでした。しかし、コストパフォーマンスと操作性のよさを兼ね備えていたので、これから伸びるだろうと思いました。実際、学生が就職した企業でも導入しているところが増えています。

4.テキストの充実

3次元CADの導入を考えたときには、学生が使用するテキストで分かりやすいものがありませんでした。唯一SolidWorksだけが分かりやすいテキストを発行していたこともポイントになりました。

以上の点からも、SolidWorksを導入した選択は正解だったと思います。
現在の導入状況ですがSolidWorksのライセンスは36ライセンスあり、専用のCAD室を完備して学生に授業を行っています。

全ての学生がSolidWorksを使用できる専用のCAD室

全ての学生がSolidWorksを使用できる専用のCAD室

教育ツールとしてのSolidWorksの長所

3次元CADの教育は就職率に影響しているでしょうか?

3次元CADを学び、資格を取得することで、就職によい影響があると考えています。しかし、CADを操作することができる資格だけでは企業からの評価は得られません。私はCADの操作方法を教えるのではなく、モデリングについての考え方、つまり「モデリングのDNA」を学生に植え付けたいと考えています。

教育ツールとしての長所を教えていただけますか?

SolidWorksは操作性のよさによって、学生がモデリング技術の習得にかける時間を短くすることができています。そのため、実習時間を増やし、「モデリングのDNA」を植えつける時間を確保できています。また、SolidWorksの操作性のよさは、他の3次元CADにも対応がしやすいようです。卒業した学生から就職先が別の3次元CADを使っているという話を聞くこともありますが、SolidWorks をマスターしていることで、1週間程度で基本機能は使いこなせるようになったということでした。入社してから活躍するまでの時間を短くすることができていると思います。

また企業からの3次元CADの技術者のニーズが途切れないのも長所だと考えます。企業からの求人は、時代のよって求められる人材が変わることもあります。しかし、3次元CADの技術者の求人は途切れません。それだけ現場でのニーズがあるということだと思います。

木村昇先生

「学生にはモデリングのDNAを植えつけたい。」

大塚商会への評価

ベンダーとして大塚商会を選んだ理由を教えていただけますか?

まずは情報提供力です。当初は、SolidWorksのベンダーを探していて、大塚商会さんに連絡をしました。他の3次元CADについては、別のルートで情報を集めていました。ところが、大塚商会さんがマルチベンダーだったということで、他の3次元CADについてもお話を伺うようになりました。 またスクールなどの教育システムが充実している点もあげられます。導入の際に一緒に行われたスクールは大変助かりました。私たち講師側のスキルアップに大いに役立ちました。

今後の展望

今後の展望をお聞かせください。

今後は学生が在学中にSolidWorks社で実施しているSolidWorks認定技術者試験に合格できるようになればと考えています。これからも即戦力となる人材を育成していけるようなカリキュラムを開設し、学生の夢や希望をかなえていければと考えます。SolidWorks社および大塚商会には、これからもますますの手厚いサポートを望みます。今後ともどうぞよろしくお願いします。

五十部昌克先生

「SolidWorksを導入した選択は正解でした。」