省エネルギー計算

省エネルギー計算とは? なぜ、今必要とされているの?

省エネルギー計算とは、建築物のエネルギー性能を表す計算のことです。建築物省エネ法で定められた方法により、新築・増改築・空調設備などの改修・修繕・模様替えを行う際、その建築計画が「省エネ計画」であることを表すための計算です。なお、2,000m2以上の建築物では、基準値を下回ることを義務づける「適合義務」があります。

なぜ省エネルギー計算は必要なのか?

地球環境問題は長期的視点での対応が急務とされています。種々ある地球環境問題の中で、地球温暖化は一番対応が困難とされています。過半の原因である大気中への二酸化炭素排出量を見ると、日本全体の排出量に対する建設活動の占める比率は35%以上と推定されています。

しかし、対策もされずに建築されてきた背景があります。二酸化炭素は化石燃料などの一次エネルギーの消費により発生します。エネルギーの消費量を定量的に知り、抑制するために省エネルギー計算は必要です。

  • 建物の建築および利用により消費されるエネルギー量については、上記家庭部門と業務他部門に該当する(民生部門)。
  • 民生部門は、各部門の中で最大のエネルギー消費の伸び。
  • ただし、2000年代以降はほぼ横ばい。業務部門では床面積の増大、家庭部門では世帯数や機器使用が増加する一方、建築物省エネルギー法の推進やトップランナー制度などの効果により家電の効率が高まったことなどが要因となる。

どの段階で計算が必要か? 届け出はいつまでに行うのか?

建築物の設計が終了し、工事に着手する前に必要となります。設計内容が省エネルギーになっているかを判断するために計算し、省エネルギー計算書を作成します。

建設プロセス(企画・計画・設計・施工・利用)において、設計フェーズと施工フェーズの間では、図のようなフローで実施されます。

省エネルギー計算の実施時期と建築確認申請と省エネルギー適合性判定の流れ

省エネルギー計算書は、工事着手21日前までに所管行政庁への届け出が必要です。一般的には、確認申請図書と並行して準備し、申請図書より前の登録省エネ判定期間に提出することが望ましいとされています。

計算書のサンプルデータはPDFにてご確認ください。

省エネルギー計算書サンプルデータ(PDF)[1,765KB]

省エネルギー計算を求める二つの計算要素

省エネルギー計算はどのような式を用いて計算しているのでしょうか?

それは、一次エネルギー消費量と外皮熱性能の二つの計算要素から求めます。いずれも基準値以下であれば、省エネルギー性能の高い建物との評価となります。2000m2以上の建物については、基準以下を満足する適合義務が存在し、義務違反には罰則があります。

1.一次エネルギー消費量

建物全体の省エネルギー性能をより分かりやすくするため、「一次エネルギー消費量」を用いて建物全体の省エネルギー性能を評価します。一次エネルギー消費量は、空調、換気、照明、給湯、昇降機、事務機器・家電調理などの一次エネルギー消費量*を個別に求め、その合計値を建物の総消費エネルギー量として求めます。

ポイント

次のエネルギー量が基準値を上回らないようにすることが重要です。

  • 空調・暖冷房エネルギー消費量
  • 換気エネルギー消費量
  • 照明エネルギー消費量
  • 給湯エネルギー消費量
  • 昇降機エネルギー消費量
  • 事務機器・家電調理などのエネルギー消費量
  • * 一次エネルギー消費量とは、化石燃料、原子力燃料、水力・太陽光など自然から得られるエネルギーを指す。これらを変換・加工して得られるエネルギー(電気、灯油、都市ガスなど)を二次エネルギーという。建築物では二次エネルギーが多く利用されており、それを一次エネルギー消費量へ換算することで建築物の総エネルギー消費量を同じ単位(MJ、GJ)で求める。

2.外皮の熱性能

外皮の熱性能は、住宅と非住宅では計算方法が異なります。

非住宅建築物の外皮外皮(外壁や窓など)の熱性能については、PAL*で評価。PAL*とは、各階の屋内周囲空間(ペリメータゾーン)の年間熱負荷をペリメータゾーンの床面積の合計で除して得た数値(単位はMJ / m2年)
住宅の外皮外皮の熱性能については、外皮平均熱貫流率・冷房期の平均日射熱取得率の二つで評価

ペリメータゾーンのイメージ

  • 住宅の外皮計算

省エネルギーの基準は何で決まっているのですか?

一次エネルギー消費量地域区分・室用途・床面積などから決められている
外皮性能非住宅:地域区分・建材の物性値・室使用条件(空調時間、内部発熱、換気量など)ほか
住宅:地域区分ごとの外皮平均熱貫流率・平均日射熱取得率という基準値

各計算は大変ですか?

一次エネルギー消費量は国立研究開発法人 建築研究所のWebプログラムで実施するために、自分で計算することはありません。

しかし、非住宅の基準一次エネルギー消費量は室用途ごとに用意されているため、入力データを室用途ごとに準備する必要があります。

Webプログラムを用いた一次エネルギー消費量の計算フロー

  1. 設備スペック資料準備(カタログ・スペック表など)
  2. 図面に設備スペック記入(部屋単位で入力するため)
  3. CSV作成
  4. CSVをWeb上にアップロード
  5. 建築研究所省エネルギー計算Webプログラム
  6. 計算結果ダウンロード
  7. 計算書つづり作成
  • 壁や照明・空調設備などの発電量や熱貫流率などの情報を集めておく

  • CSV入力前作業として、前段階で集めたスペック情報を部屋ごとに関連付けておく

計算書は自分で作成した方がよい? 計算代行を頼んだ方がよい?

もちろん自分でも作成可能です。

しかし、入力データの準備、計算後の添付書類の作成などには時間がかかります。確認申請と並行して行う作業となるため、計算書の提出は短時間で行うことも多くあります。そんなときに専門家に計算代行を依頼できると安心です。

大塚商会では、イズミシステム設計と提携して省エネルギー計算の代行業務を請け負うサービスを行っています。皆様の大事な図面情報のやり取りについては、自社製品の「どこでもキャビネット」というデータストレージサービスを用いて、セキュアな環境内でのデータ授受をさせていただきます。業務完了後にはデータは削除します。

大塚商会の省エネルギー計算書作成支援サービス

計算代行を依頼する際のチェックポイント

費用・納期の確認

費用は外部委託の場合、委託業者の工数がそのまま費用となります。委託内容も成果物のフォームが決まっているため、交渉による値下げはあまり期待できません。

納期を急ぐ場合、特急料金にて対応する業者もあるようです。通常は物件の規模で作業時間が変わります。委託先の業務が集中していると想定していた期間内に完成しない場合があります。委託先に無理なく作業依頼できるようスケジュールに余裕を持って依頼とよいでしょう。

必要なデータ

計算は建物単位で行います。物件ごとの個別見積りとなりますので、見積り段階でも図面などのデータは必要です。

必要な書類

  1. 各階平面図(CADデータ)
  2. 立面図
  3. 各部仕上表、内部仕上表
  4. 建具表、建具キープラン
  5. 設備図、設備機器表
  6. 矩計図(断熱仕様が分かるもの)

省エネルギー計算用入力支援ソフト

そのほか、自社で作業される場合、煩雑になりがちな入力を支援するプログラムがあります。これらのソフト利用すると作業の効率化が図れます。

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