Synopsys社がマルチフィジックス解析ソフトウェア「Ansys 2026 R1」をリリース
2026年 3月23日
Synopsys社 2026年3月12日
Synopsys社は2026年3月11日、シミュレーションソフトウェアの最新版となる「Ansys 2026 R1」を発表した。Ansys 2026 R1では、SynopsysとAnsysの両社の技術を組み合わせた初の統合機能が導入されている。また、AI支援トレーニングツールや、早期のシステムレベル解析、物理試験への依存低減、複雑なソフトウェア定義製品の設計最適化の向上を支援する機能など、AnsysのシミュレーションAIポートフォリオのアップデートも実施されている。
システムズエンジニアリングのための共同ソリューション
Ansys 2026 R1では、システムレベルのエンジニアリングワークフローと設計ドメイン間のコラボレーションを支援するために、選定されたSynopsysとAnsysのツールの統合が導入された。
Ansys 2026 R1での新たな統合機能には以下のようなものがある。
- Synopsys VC Functional Safety Manager(VC FSM)とAnsys medini analyzeソフトウェアが、システムレベルやシリコンレベルの安全分析を連携させるワークフローをサポートするようになった。この統合により、システムやチップの安全プロセス間のトレーサビリティが確保され、自動車や航空宇宙システムなどのアプリケーションにおける手動でのデータ交換が削減される。
- Synopsys QuantumATKとAnsys Granta MIプラットフォームが統合され、原子スケールのシミュレーションからエンタープライズ規模の材料データ管理までの材料ワークフローに対応できるようになった。この統合により、シミュレーションで生成された材料特性をGranta MIデータベースに直接エクスポートできるようになる。
- Synopsys OptoCompilerとAnsys Lumerical FDTDソフトウェアが統合され、デバイスレベルのフォトニック設計とシステムレベルの光学シミュレーションを連携できるようになった。このワークフローにはVerilog-Aモデルの自動生成が含まれており、設計環境とシミュレーション環境間の手動データ転送が削減できる。
- Ansys SCADEモデルベースの開発ソフトウェアが、制御ソフトウェア向けのテスト自動化プラットフォームであるSynopsys TPTと併用できるようになった。この統合ワークフローは、運転支援システム、パワートレイン制御、飛行制御、アビオニクスなどのアプリケーションにおける組み込み制御システムの自動テスト、検証、解析をサポートする。
AIを活用したエンジニアリングツール
Ansys 2026 R1では、エンジニアリングワークフローと設計探索の支援を目的として、AIを活用した機能も複数導入された。
Ansys GeomAIプラットフォームは、概念的な形状探索のための生成AI機能を提供する。エンジニアは、下流のシミュレーションワークフローとの互換性を維持しつつ、リファレンスデザインを使用してジオメトリのコンセプトを生成・評価できる。
Ansys Mechanicalソフトウェアの新しいMesh Agent機能は、修正手順を推奨することで、モデル準備におけるメッシュ作成上の問題を特定・解決するよう設計されている。
Ansys DiscoveryソフトウェアのDiscovery Validation Agentは現在、顧客による初期評価が行われており、コンテキスト情報を活用してシミュレーション作成時の潜在的なセットアップ問題を特定する。
このほか、AI関連では以下のようなアップデートが実施されている。
- Ansys SimAIプラットフォームの2種類の提供形態:SimAI Premium SaaSと、ローカルデータ保存が必要なデスクトップベースのプロジェクト向けのSimAI Pro。
- Ansys optiSLangソフトウェアのSimAIコネクタ。トレーニングデータの生成、AIモデルのトレーニング、設計最適化を含むワークフローをサポートする。
- medini analyze、ModelCenter、RockyソフトウェアでのAnsys Engineering Copilotの利用拡大。
- 感度解析および設計最適化のための、optiSLangとDiscovery間のワークフロー統合。
デジタルツインおよびデジタルエンジニアリングのアップデート
Ansys 2026 R1では、デジタルツインモデリングおよびシステムレベルエンジニアリングのアップデートも実施された。
Ansys TwinAIソフトウェアでは、シミュレーションデータとセンサー情報や試験データを組み合わせるための新しいモデリング手法が導入されるとともに、デジタルツインで使用される次数低次元モデルを構築するためのツールが改善された。
また、Ansys AVxcelerate Sensorsソフトウェアでは、GPUアクセラレーションによるマルチスペクトル光伝搬エンジンの搭載や、デジタルツイン開発に向けたNVIDIA Omniverseとの統合の拡充などの機能強化が実施された。
その他にも、次のようなアップデートが実施されている。
- Ansys CoSim:システムレベルのツールを接続し、サブシステムがネイティブ環境で実行されつつシミュレーションデータを交換できるようにする分散型協調シミュレーション製品。
- Ansys HFSS PI:IC、パッケージ、および基板の電源供給解析向けに、広帯域3Dパワーインテグリティシミュレーション機能を提供する。
- Ansys System Architecture ModelerとAnsys ModelCenter間の接続がアップデートされ、外部解析ツールによるSysML v2モデル式の実行が自動化された。
- システムレベルの評価のために、Ansys SCADE DisplayモデルをAnsys Systems Tool Kit(STK)ソフトウェアにインポートする機能がサポートされるようになった。
- Ansys HFSS-ICプラットフォームのアップデート。これには、Synopsysベースの新しいユーザーインターフェイスおよびOpenAccess設計インポートのサポートなどが含まれる。
- 自由表面流れシミュレーションにメッシュレス流体解析手法(CFD)を採用することで、Ansys FreeFlowソフトウェアの機能を拡張。
- アンテナモデリングおよび初期ミッション解析を支援するためSTKに新たな機能「Antenna Wizard」が追加。