Altair社が解析ソリューション「Altair 2021.1」をリリース

2021年 5月31日

Altair社 2021年5月27日

2021年5月27日 ―― 解析とHPC、および人工知能に関するソリューション提供における世界的大手のAltair社は2021年5月27日、包括的なCFD(数値流体力学)や進化されたESD(電子システム設計)を含む、同社製解析ソリューションの最新版を発表した。同アップデートでは、全ての主要なCFDソリューションの単一ライセンスでの利用や、エンドトゥエンドでの電子システム設計機能の強化、およびクラウドへのシームレスなアクセスなどが盛り込まれている。

Altair社創設者にしてCEOのJames R. Scapa氏は、「35年の歴史を通じ、CFDに関する極めて困難な問題を解決するために、Altairはあまたの専門的な技術を開発し、あるいは買収して参りました。そして、比類なき幅広さと奥深さを備え、多様な連成解析問題を効率的に計算し、効果的な結果を得ることができる、業界で最も頑健なCFD製品を提供できることを誇りに思います」と述べている。

単一ライセンスでの極めて広範なCFDソリューションの利用

Altair CFDでは、単一ライセンスで利用可能な主要なCFDソリューションが提供されるため、複数のソフトウェア開発会社から個別にツールを購入するよりもコスト効率的な選択肢となっている。利用可能なソリューションの例は以下の通り。

  • ナビエストークス法を活用した汎用熱流体解析
  • SPH(Smoothed-Particle Hydrodynamics)法による注油やスロッシング、および攪拌解析
  • LBM(格子ボルツマン)法による外部空力解析
  • DEM(離散要素)法による粉体流動システムの解析
  • Altair社独自のシステムモデリング技術の活用による複雑かつ統合化された熱流体システムのモデリング

単一ライセンス制の導入により、技術開発チームが常に各目的に対して最適な技術を利用できるようになり、モデリングと製品開発に要する時間を削減することが可能となる。Altair CFDは、複数の異なるCFDアプリケーション同士での組み合わせや、構造解析などほかのアプリケーションと組み合わせることができるなど、高度な機能を提供する。

加えて、Altair CFD内のLBMやSPHコードは、GPUネイティブなコードを用いて0から記述されているため、より迅速な解析とより広範な設計空間の探索を可能とし、製品パフォーマンスを改善することができるとしている。

エンドトゥエンドでの電子システム設計機能の強化

Altair社の電子システム設計用ツールセットでは、熱管理ワークフローが新たに導入されており、電子機器の設計を改善することができるようになっている。構造応力と振動、および落下試験用の既存のAltair SimLabワークフローに加えて、プリント基板およびシステム全体での冷却性を検証することが可能となり、製品の信頼性に関する問題や過熱の発生を抑制し、コスト高な後工程での設計変更を防止することができるとしている。

Altair PollExでは、非常に高速なメモリーが必要となるスマート・コネクテッド・デバイス向けに、DDR(ダブルデータレート)メモリーインターフェイス用の信号品質自動化機能が追加されており、DDRxタイミングや伝送ライン、トポロジー、および終端処理の最適化能力が強化されている。加えて、追加の電力品質解析機能や、熱管理解析のためのプリント基板レイヤーのエクスポート機能も導入されている。

Altair Oneによるゼロダウンロードクラウド解析

Altair Oneは、Altair社製品のための単一ポータルであり、標準的なワークステーションのみならず、PCやラップトップ、あるいは携帯端末から、場所を選ぶことなくアクセスすることができる。同ポータルにより、オンプレミス環境に存在するリソースのみならず、クラウドまたはハイブリッド環境に存在するリソースへ容易にアクセス可能な単一のインターフェイスから、クラウド内の解析アプリケーションを立ち上げることができる。また、製品開発チームがAltair Oneドライブを活用することにより、データをセキュアにアップロードし、アクセスや保存、および管理が行えるようになることで、解析駆動設計コラボレーションを強化することができる。

Altair Oneの利用にあたり、複雑なITに対する追加投資は不要で、ワークロードの増大に対しても迅速にスケーリングすることができる。加えて、Amazon AWSやMicrosoft Azure、Oracle Cloud Infrastructure、およびGoogle Cloud Platformなどの主要なクラウドプロバイダー全体で、スケーラブルなターンキー式アプライアンスクラスターを構築することができる。

Altair社が特許を取得しているサブスクリプションベースのライセンスモデルであるAltair Unitにより柔軟性をさらに向上させることも可能で、使用者の必要に応じた分にのみ支払うことができるようになっている。これには、連成解析用の複雑な解析タスクを自動化し、単純化することができるProduct Engineerバンドルも含まれている。

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