Cadence Design Systems社が統合型システム設計用エンジニアリングプラットフォーム「Cadence Allegro X Design」を発表
2021年 6月21日
Cadence Design Systems社 2021年6月18日
2021年6月18日 ―― Cadence Design Systems社は2021年6月18日、回路図とレイアウト設計、解析、設計コラボレーション、およびデータ管理までを統合した業界初のシステム設計用エンジニアリングプラットフォーム「Cadence Allegro X Design」を発表した。Cadence Allegro Xプラットフォームは、定評あるAllegroとOrCADコアテクノロジーをベースとしており、全てのエンジニアリング領域にまたがった比類ないコラボレーション能力とCadenceが備えるクラス最高のサインオフレベルシミュレーションおよび解析製品群との連携機能、そして強化されたレイアウトパフォーマンスにより、技術者によるシステム設計プロセスを革命的に変革し、効率化することができるとしている。
今日の技術者は以前にもまして、電磁場と熱、シグナルインテグリティとパワーインテグリティ、論理的または物理的な実装に至るまで、複数の分野を横断して設計し、コラボレーションする必要性に迫られている。Allegro Xプラットフォームは、単純化されたユーザー応答モデルによって、熟練ユーザーのみならず初心者であっても、迅速にテクノロジーへアクセスし、成果を得ることができるとしている。同プラットフォームでは、回路図とレイアウト、および解析を通じて、コンカレントコラボレーション機能による論理的側面と物理的側面双方に対する同時的なアクセスを提供し、反復回数を最小化することで、複雑なシステムの設計を完了するために要する時間と労力を、従来の設計ツールと比較して最大で1/4にまで削減できるとしている。
Allegro Xプラットフォームはハイブリッドクラウドソリューションを活用し、デプロイメントフットプリントや複雑性を削減しつつ、テクノロジーへの完全なアクセスとスケーラブルな計算資源を提供することができる。同プラットフォームにより、解析および分析用のCadence Clarity 3D SolverやCelsius Thermal Solver、Sigrityテクノロジー、およびPSpiceや、設計管理用のAllegro Pulseが利用可能となるほか、AWE Microwave Office RF設計フローとの相互運用性も確保することで、高品質な設計が可能となるとしている。
Allegro Xプラットフォームは、設計スループットとパフォーマンスの両面で著しい改善を実現する。コアアーキテクチャの最適化とGPUテクノロジーを組み合わせて活用することにより、さまざまな作業を通じてAllegro Xは高いパフォーマンスを発揮する。加えて、同プラットフォームでは完全または部分的なPCB設計の合成においてもクラウドリソースが活用される。革新的な機械学習技術により、システムアーキテクトまたは電気設計者から指示された通りに電源供給回路やデバイス配置、およびシグナルインターコネクトを設計しつつ、製造性考慮設計とSIおよびPI要件を同時並行的に最適化することが可能となるとしている。
Cadence社Custom IC & PCB Groupのシニアバイスプレジデント兼統括マネージャーのTom Beckley氏は、「Allegro Xプラットフォームは、統合化されたエンジニアリングプラットフォームを確立するもので、設計チームの生産性を最大で4倍にまで高めることができます。本プラットフォームにより、2Dまたは3Dの、単一または複数基板の論理設計と物理設計のためのフレームワークが提供され、AWR Microwave Office RF設計フローとの相互運用性によって実現する非常に複雑な5G設計も含め、リソースを最適化することが可能となるでしょう。Cadence R&Dは、設計生産性を劇的に強化する画期的な解析駆動型PCB合成を目的として、学界や業界と熱心に協力してきました」と述べている。
NVIDA社PCBレイアウトエンジニアリング部長のGreg Bodi氏は、「Cadence社のAllegro Xプラットフォームは、NVIDA製GPUを用いた高速計算の威力を活用することで、インタラクティブオペレーションのパフォーマンスが最大20倍に向上しています。このパフォーマンス改善により、弊社の技術者が設計段階で複雑な基板の2Dレンダリングを行う際にも、優れたキャンバスの応答性と速度を実現しています」と述べている。
MIT電気工学および計算科学を専門とするTomas Palacios博士は、「多目的最適化は困難な問題であり、MITの学生や卒業生がCadence社内で困難なPCB設計の合成のための革新的な機械学習ソリューションに携わることで著しい進歩を達成できたことを喜ばしく思います。結果として得られたシステムは、MITにとって利益をもたらすだけでなく、PCBコミュニティの生産性をも劇的に改善することができるでしょう」と述べている。
Allegro Xプラットフォームは、顧客のシステムイノベーションを加速するというCadence社のIntelligent System Design戦略の柱となる。Allegro Xの詳細については、以下から確認することができる。Allegro X Design Platformは、2021年第4四半期の一般リリースを予定している。