CGTech社がCNCシミュレーションソフトウェア「VERICUT v9.3」を発表

2022年 8月 8日

CGTech社 2022年8月2日

CGTech社は2022年8月2日、同社製CNCシミュレーションソフトウェアの最新版となる「VERICUT v9.3」を発表した。VERICUTは、あらゆる種類のCNC加工、積層造形、ハイブリッド製造工程における機械シミュレーション、検証、最適化において業界をリードするソリューションである。当ソフトウェアは単独でも動作するが、全ての主要なCAMシステムと統合することも可能となっている。

最新版のVERICUT 9.3では、機械、工具、在庫に関するデータを取り込み、シミュレーションと製造ワークフロー全体を改善する機能により、よりスマート、かつより効率的な製造プロセスの実現に重点を置いている。衝突チェックの改善、サブシステムごとの軸数制限の引き上げなど、VERICUTのコアを強化するための改良が行われている。ツールパフォーマンスデータベースの切削工具データ、マシンモニタリングは、今回のバージョンの注目すべき改良点のごく一部であり、またユーザーからのフィードバックをもとに、数多くの機能変更と改善にも対応した。

プロダクトマネジメントのディレクター、Gene Granata氏は次のように述べている。
「VERICUT 9.3は、よりスマートな製造のためのスマートなデータを提供し、ユーザーに『最先端』を提供しています。充実した加工指標、強制送り速度、工具たわみの最適化により、あらゆるCNC機械に対して最も効率的に動作し、かつ安全に実行できるNCプログラムを作成することができます。今回のバージョン9.3では、ツールマネージャーがオンラインツールソースやツールデータベースと接続し、参照結果をもとに最適なツールをインポートします。新しいツールパフォーマンスデータベースを使うことにより、機械加工者でなくても、さまざまな材料を加工するための適切な送り速度が選択できるようになります。これらの情報は、プログラマーが切削工具を意図したとおりに使用・最適化し、カッターの破損、部品および加工機本体の損傷を回避するのに役立ちます。」

VERICUTの統合最適化モジュールである「VERICUT Force」でも、9.3では機能強化および追加が行われた。メイン機能改善のほかに、たわみ計算が以前のバージョンではホルダー付きの丸いソリッド工具のみを対象としていたのに対し、回転工具アセンブリ全体を考慮するように変更された。このたわみ計算と切削工具データ、ストック材に関する情報によって部品の表面仕上げが改善し、適切な寸法を満たすようになり、カッター寿命を延ばすことにもつながった。

Advanced Manufacturing社のエンジニアリングマネージャーであるJason Mills氏は次のように述べている。
「VERICUT Forceを使用することで、工具寿命が最大40%向上し、加工サイクルタイムが30%から40%短縮されました。このモジュールは、私たちの生産業務に競争力を与えてくれるので、業務で欠かすことはできません。データベースから材料を選び、工具メーカーから入手した刃物の形状を入力するだけです。あとはモジュールがバックグラウンドで計算をしてくれます。」

VERICUT 9.3のハイライト

アセンブリの構築、管理、再利用
VERICUTのアセンブリマネージャーを使用して、回転テーブルの構成、加工用アングルヘッド、ロボットのエンドエフェクター、または加工される治具とワークピースを含むさまざまなセットアップなど、NC機械の一連動作を管理することが可能。アセンブリのライブラリーは、他ユーザーも簡単にアクセスでき、新しいVERICUTプロジェクトで繰り返し使用できるため、プログラマーの時間節約にもつながっている。

ステータスとHUDの改善
加工とステータスウィンドウおよびヘッドアップディスプレイ(HUD)に表示される情報が効率化された。HUDは、表示されているステータス情報に合わせて自動的に更新される。また「フィールド可視性編集モード」を使用して、ステータスとHUDの設定を同時に編集することも可能となっている。ユーザーはステータスグループの可視性をロックおよび解除して、今後開く全てのVERICUTプロジェクトで同じレイアウトを維持することができる。

Forceの改善
Forceの改善により、加工部品の品質向上、また工具とスピンドルの寿命延長を実現した。たわみ計算が更新され、刃先交換式ツールやモデルファイルカッターを含む回転工具アセンブリ全体が考慮されるようになった。また、全てのカッターに体積除去率(VRR)制限を追加することが可能となり、ソリッド円形工具と複雑なカッターの解析と最適化も追加された。

ツールパフォーマンスデータベース(TPD)とマシン最適化データ(MOD)機能
VERICUTツールマネージャーには、ツールパフォーマンスデータベース(TPD)が含まれており、さまざまな工具に対して、主軸回転数と送り速度値を提案する。このデータは、VERICUTツールマネージャーの加工最適化データ(MOD)と連動している。MODは、主軸回転数と送り速度を表示し、プログラマーが使用する切削工具と加工する材料に基づいて、適切な送り速度と切りくず厚さの値を選択するのに役立っている。

CNCマシンモニタリング
VERICUTで使用するために、現場のCNCマシンから直接データを取得することができる。VERICUT 9.3で追加されたPre-Check(プリチェック)機能を使い、機械からデータを取得し、VERICUTの仮想マシンが最適であることを確認し、機械情報がVERICUTで検証されたものと一致するかを検証できる。ユーザーは、実際の機械加工を行う前に、何が起こるかを正確に知ることができ、違いを特定することが可能となった。

More Information