Bentley Systems社がインフラエンジニアリングソフトウェアの「Bentley Infrastructure Cloud」を発表

2022年11月21日

Bentley Systems社 2022年11月15日

Bentley Systems社は2022年11月15日、2022 Year in Infrastructure Conferenceにおいて、新しいインフラエンジニアリングソフトウェアの「Bentley Infrastructure Cloud」を発表した。Bentley Infrastructure Cloudは、世界インフラのエンドツーエンドのライフサイクルと、バリューチェーンを網羅するエンタープライズシステムの組み合わせとなる。iTwinプラットフォームとBentley社のインフラストラクチャースキーマを搭載し、エンジニアリングアプリケーションとシームレスに統合され、デジタルツインを通じて、より優れたインフラの作成、および継続的な運用を可能にしている。

Bentley Infrastructure Cloudには、プロジェクトデリバリーのための「ProjectWise」、建設のための「SYNCHRO」、および資産運用のための「AssetWise」が含まれている。これらシステムは現在、iTwinによって提供されるデジタルツイン技術を活用し、Bentleyのインフラストラクチャースキーマに自動的にマッピングすることで、エンジニアリングファイルに含まれるデータをオープンにしている。ファイルベースのワークフローを中断することなく、データ中心にすることで、ユーザー組織にコラボレーション、生産性、および品質を改善する大きな機会を提供する。

Bentleyのインフラストラクチャースキーマは、オープンかつ拡張可能であり、現実のモデリングおよびIoTデバイスとリンクして、炭素計算と地下データを取り込んでいる。また豊富なデータ表現は、「Industry Foundation Classes」のエクスポートにも柔軟に対応している。データをシームレスに共有し、ライフサイクルを通じてデータを充実させることができるため、エンジニアリング会社と関係者は、エンジニアリングデータからより多くの価値を創造することができる。

情報の流れが断片的で制限され、フィードバック、分析などの情報伝達が妨げられていた経緯があることからインフラエンジニアリングのライフサイクル全体にわたって統一された、クラウドベースソリューションの可能性には期待が寄せられている。Bentley Infrastructure Cloudは、データ中心、常時最新、常時アクセスの連携環境で構成され、設計、建設、運用の全スパンにおいてエンジニアリングデータを永続化して関連付ける。Bentley Infrastructure Cloudを通じて、従来の境界を越えた情報モビリティは、特にモジュール設計と性能ベースの設計を加速させるのに役立つとしている。

Bentley社のエンタープライズシステム担当シニアバイスプレジデントであるKen Adamson氏は次のように述べている。「Bentley Infrastructure Cloudは、インフラストラクチャーエンジニアリングのバリューチェーンと拡張プロジェクトエコシステムにおいて全ての人をつなぐという当社の取り組みを象徴しています。常時稼働するデジタルツイン環境によって、インフラの専門家からも信頼されるデータを提供することができます。弊社は、ProjectWise、SYNCHRO、およびAssetWiseエンタープライズシステムの総合性、エンジニアリングの忠実性、およびオープン性への取り組み (関連する全てのエンジニアリングファイル形式の統合など)により、この要件を満たす独自の立場にあると私は確信しています。」

iTwinを搭載したProjectWise

Bentley社は、ProjectWiseの大幅な機能強化を発表し、その範囲を仕掛エンジニアリングから完全なデジタルデリバリーへと拡張した。各プロジェクトの逐次ファイルベースのワークフローを、全てのプロジェクトにまたがるデータ中心の情報モビリティと分析で補完している。

  • 新しいプロジェクトポートフォリオおよびプログラム管理機能により、ProjectWiseユーザーは、全てのプロジェクトにおいてエンジニアリング忠実度レベルの分析を適用、豊富なプロジェクトデータから学習して再利用し、将来のプロジェクト品質と効率を高めるために知識を保持することが可能となった。
  • 新しいデジタルツイン機能によりユーザーは、設計レビューと高度な検証を実施して設計の有効性と品質を向上させ、建設や運用のデジタル成果物を充実させて、ビジネスを変革するデジタルサービスに対応できるようになった。

iTwinを搭載

  • ProjectWiseは、「iTwin Capture」を活用して、ますます一般的になっているリアリティモデリングデータを統合し、エンジニアリングデータと地理的に連携した設計のデジタルコンテキストをキャプチャーおよびモニターすることができる。
  • ProjectWiseは、Bentleyのインフラストラクチャースキーマを活用して、複数の分野にわたる設計ファイルデータを整合させ、全体的な設計レビュー、全プロジェクトにわたる依存関係の把握、および機械学習による独自の分析開発など、データセットの再利用を実現している。
  • ProjectWiseは、「iTwin Experience」を活用して、プロジェクトのデジタルツインに没入できる可視性を提供し、品質を保証してパフォーマンスを向上させるとしている。
  • 「ProjectWise 4D Design Review」は、iTwinを搭載しており、ユーザーはオーサリングアプリケーションに関係なく、大規模で複雑なモデルをプロジェクトエコシステム全体で安全に共有することができる。閲覧者は、シンプルなウェブブラウザーを使用して、仮想ウォークスルーの実行、モデル情報の照会、および組み込まれたプロパティデータの分析を行うことができる。合理化されたインターフェイスにより、2Dおよび3Dモデルの学際的なレビューがより簡単かつ容易になり、レビュアーは4Dの視覚化により、誰がいつ何を変更したかを確認することが可能になった。
  • 「Advanced Design Validation」には、3Dデジタルワークフロー、Bentleyの「OpenRoads」およびサードパーティアプリケーションとの統合、AI / MLで強化されたビジュアライゼーションが含まれている。体感シミュレーションによって設計を検証し、要件が満たされていることを確認することが可能となっている。
  • 「ProjectWise Components Center」は、エンジニアリングアプリケーションに直接統合されたクラウドベースのデジタルコンポーネント管理およびライブラリーサービスで、設計オブジェクトの標準化、自動化、再利用を推進し、プロジェクトをより速く、より確実に提供する。エンジニアリング会社は、一つの設計から別の設計へのデータ活用、再利用可能なコンポーネント作成、プロジェクトデリバリーの専門知識を発展させることができる。
  • デジタルデリバリー機能は、デジタルワークフローを活用して、PDFやIndustry Foundation Class、デジタルツインを含む成果物の作成、交換、およびレビューを自動化し、管理することができる。ProjectWiseユーザーは、手作業でパッケージを組み立てて送信する無駄な時間を省き、ワークフローの可視性とトレーサビリティを獲得し、包括的な監査を自動的に維持することでリスクを低減することができる。

Bentley Systems社のエンジニアリングコラボレーション担当バイスプレジデントであるLori Hufford氏は次のように述べている。「今日のエンジニアリング会社は、人材不足、労働力減少、組織的技術が失われているにもかかわらず、より多くの、高品質なプロジェクトを提供するという前例のない課題に直面しています。iTwinプラットフォームを活用することで、ProjectWiseを1プロジェクトごとのエンジニアリング仕掛品を超えて、全てのプロジェクトで活用し、見通し、再利用、および機械学習を最大化することができるようになりました。ProjectWiseのユーザーは、既にProjectWiseのアーカイブに豊富なプロジェクト経験を組み込んでいます。今、Bentley Infrastructure Cloudの一部として、ProjectWiseは、エンジニアリング会社の効率、効果、および変革に必要なステップアップを推進することができます。」

iTwinを搭載した「AssetWise」、「Asset Health Monitoring Solutions」

そして最後にBentley社はiTwinを搭載し、「iTwin Experience」、「iTwin Capture」、および「iTwin IoT」を活用してリアルタイムの資産健全性モニタリングを実現する、新しい資産別ソリューションの提供開始も発表した。

  • 「AssetWise Bridge Monitoring」ソリューションは、従来の橋梁点検を最新のデジタルワークフローへ変換する。ドローンを飛ばしてiTwin Captureを使用して橋梁の3Dデジタルツインを作成することで、検査を仮想的に実施し、コストと危険の伴う現地視察を回避するとともに、専門知識をリモートで活用し、AIを活用して欠陥を自動的に特定および分類することが可能。情報はiTwin Experienceを介してワークフロー全体の関係者が利用できるようになる。問題の修正に必要な検査データは、保守、設計、建設にシームレスに引き渡され、大幅なコスト削減を実現する。
  • 「AssetWise Dam Monitoring」ソリューションは、リスクを低減し、拡大する規制要件に対処するため、ダム運用者にデジタルサービスを提供するエンジニアリング会社向けに構築されている。このソリューションは、センサーデータへの統一されたアクセスを提供し、専門の技術者を必要とせずに展開できる。ユーザーはセンサーデータを任意のデジタルツインに組み込んで、リアルタイムデータと関連する測定基準のコンテキストビューを表示することができる。

Bentley Systems社のインフラストラクチャーIoT担当バイスプレジデントであるCory Baldwin氏は次のように述べている。「エンジニアリング会社が、プロジェクトのデリバリー段階で作成するインフラのデジタルツインインテグレーターとなり、オーナー向けにパフォーマンスのデジタルツインを精査できるようにしたいと考えています。これら機会を加速させるため、エンジニアリング会社はiTwin Capture、iTwin Experience、iTwin IoT、および弊社のAssetWiseモニタリングクラウドソリューションを迅速に開始し、自社ブランドの固有資産を分析できる仕組みを作り上げます。」

Bentley Infrastructure Cloudの可能性

Bentley社の最高製品責任者であるMichael Campbell氏は、次のように締めくくった。「弊社はエンジニアリング会社および資産所有者と密接に協力しており、彼らが革新を望んでいることを明確に理解しています。Bentley Infrastructure Cloudにより、ProjectWise、SYNCHRO、およびAssetWiseのユーザーは、デジタルツインへの世代交代を加速させながら、エンジニアリングコラボレーション、建設、および資産パフォーマンス管理のための既存ワークフローを危険にさらす必要はありません。そして何より、既存プロジェクトとアセットファイルが、データ中心の未来への踏み台となるのです。」

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