Hexagon社がシステムレベルのシミュレーションソフトウェア「Elements」を発表

2022年12月12日

Hexagon社 2022年12月5日

Hexagon社は2022年12月5日、複雑な現代製品のシステム挙動を理解するのに役立つ新しいシミュレーションソフトウェアとなる「Elements」を発表した。Elementsは、統合された複数分野のシステム開発とエンドツーエンドのワークフローに対応しており、チームは新しい設計コンセプトの性能と実現可能性を迅速に評価し、より効率的な製品開発に役立てることができると同社は報告している。

ユーザーはElementsソフトウェアの使い方を簡単に習得可能となっている。ドラッグ・ドロップ機能を使用して、あらゆる物理タイプやロジックをモデル化し、電気、油圧、機械コンポーネントに関係なくブロックを直観的に接続してシステムを分析し、システムレベルのエンジニアリング問題を解決する。Elementsは、高速かつ柔軟でカスタマイズ可能なモデルを構築するためのオープンかつ広く利用されている標準言語であるModelicaをベースとしている。

Hexagon社の報告によると、Elementsは方程式とコードを高速計算のために最適化することによって、システムレベルのモデルを迅速かつ効率的に計算できるようにし、かつ忠実度を損なわず、エンジニアリング開発のスピードアップに貢献できるとしている。

設計段階が進み、コンポーネントやサブシステムが専用のシミュレーションソフトウェアで詳細化されると、FMI規格とHexagonのSmartFMU技術に準拠することにより、コンポーネントをより大きなシステムに統合することが可能になる。SmartFMUは、対応するHexagon製品の機能モックアップユニット(FMU)のロックを解除し、専門的なCAEソフトウェアとそのユーザーに戻ることなく、要素システムレベルのモデルで直接変更を加えることができるようになっている。

Elementsでは、SmartFMUがAdamsマルチボディダイナミクスソフトウェアおよびEasy5と接続が可能となっている。将来的にはCradle CFD熱流体シミュレーションや、Actran音響シミュレーション製品との連携も予定されている。

Hexagon社によると、標準的なFMIサポートと斬新(ざんしん)なSmartFMUプラグアンドプレイ機能は、以下の様なシステムの複雑化に伴う課題への対応を支援することができるとしている。

  • 自動車エンジニアが、eDrive設計、回生ブレーキ、空調制御、ADAS安全要件、バッテリー選択を考慮し、異なる運転条件下での車両のエネルギー使用を考慮することで、車両航続距離最適化の問題に対する最適な解決策提案をサポート。
  • マルチボディダイナミクスシミュレーションから得られる詳細な機械システムの振動と、相互作用を考慮した制御システムを設計することで、産業用ロボットの柔軟性と精度を向上。
  • 離着陸時の電力消費、安全マージン、熱管理システム制御を理解することで、新しいeVTOL航空機の設計における重いバッテリーシステムのサイズを最適化。
  • 高温下におけるリチウムイオン電池の性能向上と、加熱が電池の劣化に及ぼす影響のバランスをとる制御システムを設計し、より安全で持続可能な長寿命電池システムの構築。

ElementsはMaplesoft社との密接な協力のもと開発され、同社の数学エンジンをベースにシステム方程式を最適化し、Hexagonのユーザーに効率的なシミュレーションを提供している。

Hexagon社の設計・エンジニアリングソフトウェア担当ゼネラルマネージャーであるMahesh Kailasam氏は次のように述べている。「Elementsは、リソース集約的なエンジニアリングプロセスに設計をゆだねる前に、システムの挙動を迅速に探索し、シミュレーションによって問題に対するより良い解決法を見いだす方法をエンジニアに提供します。Maplesoft社の強力でオープンな技術基盤を活用し、Hexagon CAEエコシステムの幅広いポートフォリオとのシナジーを実現し、弊社のお客様に価値ある機能を提供できることを楽しみにしています。」

More Information