Siemens Digital Industries Software社がメカニカルシミュレーションツール「Simcenter Mechanical 2306」をリリース

2023年 7月 3日

Siemens Digital Industries Software社 2023年6月26日

Siemens Digital Industries Software社は2023年6月26日、同社製メカニカルシミュレーションツールの最新版となる「Simcenter Mechanical 2306」をリリースした。Simcenter Mechanical 2306では、全製品のアップデートが実施され、これまで以上に迅速にかつコラボレーション性が向上した結果の視覚化ができるようになった。最新リリースの機能強化は、以下の四つの重要な柱に引き続き焦点を当てながら、エンジニアリングのイノベーションを促進していくものである。

  • 迅速化
  • 複雑性のモデル化
  • 可能性の探求
  • 統合性

迅速化

社内外の要求が常にプロジェクトの納期と総コストを圧迫する中、シミュレーションの時間短縮が求められている。本リリースでは、モデリングとシミュレーションの高速化を実現するために以下の機能が強化された。

Electromagnetics(低周波数):パターンの活用による作業負荷の軽減

新たなパターン形成ツールで、コイルや磁石を設計する際の繰り返し作業を排除できる。特に、ヘアピンのようにスロットごとに複数のコイル定義が存在する場合は大幅な時間短縮につながる。

Structures:フラッター解析、静解析、動解析を一つのモデリングアプローチで実現

空力モデルと構造モデル、ならびに空力弾性解析のセットアップ全体向けに統合されたパラメトリックワークフローを提供する。まずは組み込まれたSimcenter 3D CADでパラメトリックジオメトリを作成し、構造メッシュと空力メッシュを作成する。次に、新しい選択レシピを使用してエレメントを選択し、両方のモデルを結合するスプラインを定義して、最後に解析をセットアップする。

Thermal Multiphysics:熱有限要素ソルバーの並列化

従来よりも高速に結果を取得し、高忠実度モデルを解くことができるようになった。320万要素、520万節点のモデルでテストしたところ、この最新リリースでは旧リリースと比較して最大18.66%の高速化が実現している。

Additive Manufacturing:粉末床溶融ソリューション用のエクスポート補正ジオメトリ

ロバストで使いやすい新しいメッシングと補正ワークフローにより、積層造形でプロセスシミュレーションと補正を利用できるようになった。

複雑性のモデル化

複雑な製品は、適切な物理特性、形状、動作環境を把握して正確にシミュレーションを行い、性能を予測する必要がある。 Simcenter 3Dの多分野にわたる統合により、実環境を正確にシミュレーションし、データをシームレスに転送し、マルチフィジックスワークフローを合理化することが可能になった。

Motion:ギアのピッチングの影響のモデル化

ギアの歯の噛み合わせの不一致は騒音や損傷の原因となる振動を発生させるため、NVH解析で評価を行う必要がある。この挙動をモデル化するために、個々の歯に固有のマイクロジオメトリを指定して、ピッチングやピッチ誤差のような特徴を含めることができるようになった。

Durability:部品がクリープ疲労で破損するタイミングを理解

クリープは通常、高温の構造で発生し、疲労損傷を超える損傷を引き起こす。標準パラメーターを使用することでクリープ損傷を計算し、個別または複合的な損傷結果として解析することができる。

可能性の探求

結果の比較とアイデアの試行は、新しいソリューションを発見し、可能性を探るために不可欠な要素であるが、このプロセスは、完成度の高いワークフローで簡単にパラメーターを調整できる機能や、短時間で多くのシミュレーションを実行し、結果を簡単に比較できる機能がそれを支援することができる。優れた解決策を見出すことを目指してSimcenterのアップデートが数多く実施されている。

Tire:タイヤのパラメーターをリアルタイムでテスト

プロトタイプのタイヤモデルは、パラメーター化されたモデルを使用して、プロのドライバーのフィードバックに合わせて更新することができる。その結果、「更新された」プロトタイプのタイヤモデルが作成され、タイヤサプライヤー(またはAOEMの内部エンドユーザー)に送られて、次のプロトタイプタイヤの反復の目標またはベンチマークとして用いられる。

Motion:複数ソリューションにわたるアニメーション化で比較を容易化

最大五つのソリューションを選択し、単一のビューポートでアニメーション化できるようになった。アニメーションは、XYグラフのようなドラッグ&ドロップ機能もサポート対象となり、プロットとアニメーションの動作が一貫したものになっている。

Motion:フレキシブルボディのモーダル周波数成分の変更

モーションフレキシブルボディのモーダル周波数コンテンツを変更する際の、CADの編集と有限要素モデルの再メッシュ処理に要する時間が短縮された。本リリースでは、ERFEMベースのモーションフレキシブルボディのモーダル周波数を迅速に編集できる。

NX Performance Predictor:開発サイクルにおける設計探索のシフトレフトを実現

NX Performance Predictorにより、構造応力と変位に関する製品の設計性能を検討するための高速シミュレーションを実行できる。Simcenter HEEDを活用すると、より迅速にソリューションを見つけられるようになる。

統合性

シミュレーションは開発プロセス全体の一部であり、孤立して行われるものではない。Simcenter 3Dの機能強化は、シミュレーションを開発プロセスに統合するのに役立つものとなっている。

Durability:新たなDurability Wizard

Durability Wizardで、強度ならびに耐久性のエキスパートの負担が軽減され、ほかの専門家もさらに広範なタスクをこなせるようになる。この新しいツールを活用することで、既存のFEソリューションの検索、荷重の定義、テンプレートの提供、材料特性の推定、ポスト処理の簡素化が実現する。

Teamcenterとの統合:シミュレーションデータと試験データを同一のデータベースに保存し、Teamcenterでワークフローを簡素化

Teamcenterのシミュレーションでは、シミュレーションデータとテストデータを同じTeamcenterデータベースに保存できるため、常に正しいデータで作業を行うことができる。

原子力産業の品質保証方針ASME NQA-1への準拠

原子力産業において安全性は重大な関心事であり、原子力分野で事業を展開するエンジニアリング企業は、使用する製品についてASME NQA-1規格の認証の取得を要求している。 Simcenter 3D Engineering DesktopとSimcenter Nastran 2306は、NQA-1-2015「原子力施設アプリケーションに関するコンピューターソフトウェアの品質保証要件」への準拠を検証するため、数多くの広範なテストを受けている。

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