Siemens Digital Industries Software社がICレイアウト最適化ソフトウェア「Calibre DesignEnhancer」を発表

2023年 7月18日

Siemens Digital Industries Software社 2023年7月10日

Siemens Digital Industries Software社は2023年7月10日、革新的なソフトウェアである「Calibre DesignEnhancer」を新たに発表した。同製品は、IC設計・検証プロセスの早い段階から、「Calibre correct-by-construction」手法の設計レイアウト変更を自動的に実装することにより、集積回路(IC)、配置配線(P&R)、フルカスタム設計の生産性を飛躍的に高め、設計品質の向上と市場投入までの時間の短縮化を実現する。

Calibre DesignEnhancerは、Siemens製IC物理検証用Calibre nmPlatform向けの「シフトレフト」シリーズの最新ツールで、これを活用することで設計を迅速かつ正確に最適化して、カスタム設計およびデジタル設計における電圧(IR)降下やエレクトロマイグレーション(EM)の問題を低減・排除し、物理検証態勢を強化することが可能になる。Calibre DesignEnhancerツールは、ICの設計段階と実行段階でレイアウトの自動最適化をサポートすることにより、設計の製造性と回路の信頼性を向上させながら、「DRCクリーン」な設計を迅速に提供する。

STMicroelectronics社のスマートパワー技術R&D設計イネーブルメント担当ディレクターであるPier Luigi Rolandi氏は次のように述べている。「Calibre DesignEnhancerソリューションは、仕様抵抗値やIR低下の問題を解決するなど、当社のIC設計プロセスを強化するための継続的な取り組みにおいて非常に有用であることが証明されています」

従来は、IC設計の物理検証を行う前に、サードパーティのP&Rツールに依存してDFM(製造性考慮設計)の最適化を図っていたが、Calibre DesignEnhancerを利用すると、物理検証用のレイアウトを準備しながら、ターンアラウンドタイムを大幅に短縮し、EM/IRの問題を低減することが可能となる。

Calibre DesignEnhancerツールは現在、以下の三つの使用モデルを提供している。

ビア修正は、レイアウトを自動的に解析し、最大100万個以上のcorrect-by-constructionなビアを挿入して、ビア抵抗がEM/IRや信頼性に与える影響を低減する。この修正は、レイアウトとサインオフ設計ルールの徹底的な理解に基づくため、ビア挿入により性能や面積の指標に影響が及ぶことはなく、電力目標を達成するのに役立つ。

パワー/グラウンドエンハンスメントは、レイアウトを自動的に解析し、Calibre nmDRC-cleanビアとインターコネクトをオープントラックに挿入することで、パワー/グラウンド構造の抵抗を低減し、パワーグリッドに関連するIRとEMの問題を低減できるパラレルランを作成する。Calibre DesignEnhancerを使用することで、IR低下の問題が最大90%低減する。

フィラーセル挿入は、物理検証の準備に必要なデカップリングコンデンサ(DCAP)とフィラーセルの挿入を最適化する。従来のP&Rフィラーセル挿入プロセスに取って代わり、上質な結果と最大10倍の実行速度を実現する。

Siemens Digital Industries Software社のCalibre Design Solutions物理検証製品マネジメント担当シニアディレクターのMichael White氏は次のように述べている。「今日の厳しいIC設計環境の最先端で作業するエンジニアリングチームは、エリアとプロジェクトスケジュールの制約の中で、レイアウトを最適化して製造性と性能を向上させる困難に直面しています。設計者は、Calibre DesignEnhancerを使用することにより、Calibreのポリゴン処理速度と精度を設計サイクルの早い段階で活用することができるようになります」

Calibre DesignEnhancerは、実績のあるテクノロジーとエンジン、そしてCalibreの認定されたルールデッキを使用しており、サインオフ検証の準備が整った正しい構成かつDRCクリーンな結果を生成する。入力ファイルとしてOASIS、GDS、LEF/DEFを読み込むことができ、レイアウト変更をOASIS、GDS、またはインクリメンタルなDEFファイルの任意の組み合わせで出力できるため、Calibre DesignEnhancerで行った変更を設計データベースに簡単にバックアノテーションして、設計作成ライフサイクルの早い段階で、一般的に使用されているツールを使用してパワー解析やタイミング解析を行うことができる。

Calibre DesignEnhancerツールは、業界標準のインターフェイスを使用して主要な設計環境およびインプリメンテーション環境と統合でき、最小限のトレーニングとセットアップで利用できるユーザーフレンドリーな環境を提供する。Calibre DesignEnhancerキットは、使用モデルやテクノロジーに応じて、130nmから2nmまでの設計を行う全ての主要ファウンドリで利用可能である。

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