Graphisoft社がBIMソリューションの「Archicad」、「BIMcloud」、「BIMx」、「DDScad」をアップデート

2023年10月10日

Graphisoft社 2023年10月5日

建築および複合領域設計向けのBIMソフトウェア・ソリューション開発で業界をリードするGraphisoft社は2023年10月5日、同社製BIMソリューションである「Archicad」、「BIMcloud」、「BIMx」、「DDScad」の大幅な機能アップデートを含む最新の製品ラインアップを発表した。今回の発表は、同社の主力製品であるArchicadの強化機能に関する技術プレビュープログラムを経て行われたものである。今回の最新バージョンでは、全く新しい設計オプションソリューションやプロフェッショナルなビジュアライゼーションツールが導入され、また、複雑なプロジェクトの管理機能や、複合領域設計をオープンにチームで行うためのコラボレーション機能の向上・強化が実現している。

Graphisoftの最新製品ラインアップでは、モデリング、ドキュメンテーション、ビジュアライゼーションのオプションが強化されている。プロジェクト管理とコラボレーションをより良く行うための先進的なツールが盛り込まれているため、既存のユーザーならびに新規ユーザーのいずれにとっても、今回のアップデートは大きな価値があるものとなっている。

Graphisoft社バイスプレジデントのMarton Kiss氏は、今回のリリースについて次のように述べている。「昨年、製品ロードマップを発表した際、当社は大胆な新しいビジョンを提示しましたが、それが実現の運びとなりました。2023リリースでは、大幅な機能の強化やアップデートが行われており、Graphisoftのエコシステム全体が大きく進化しているため、新規ユーザーにも既存ユーザーにも、ここ最近で最大の価値を提供しています」。

Archicad

Archicadは、強力な内蔵ツールと使いやすいインターフェイスにより、市場で最も効率的かつ直感的なBIMソフトウェアとなっている。すぐに使える設計ドキュメント、ワンクリックパブリッシング、フォトリアリスティックなレンダリング、クラス最高の解析機能を備えたArchicadを活用することで、建築家は優れた建築物の設計に集中することができる。

Archicadの新しい統合設計オプション管理機能は、スムーズなエンドツーエンドの設計ワークフローを実現し、建築家や複合領域にまたがるチームが設計オプションの効率的な評価を行い、クライアントに伝えることができるため、最良の設計案に至るまでの時間がこれまでよりも大幅に短縮される。

オーストラリアTZG Architects社の技術・BIM担当役員であるKevin Lee氏はArchicadについて、「新しい設計オプションツールの導入により、建築家が無限の可能性を実現し、クリエイティブな表現力を高めるための貴重な機能を得ることができます。このツールは、建築界が待ち焦がれていたギフトです」と述べている。

Archicadは、プロジェクトの管理性に継続的に焦点を当てており、今回のアップグレードでは、多くの要望があった機能が属性管理ワークフローに追加されている。これにより設計チームの効率が向上し、多くの属性をフォルダーごとに整理できるようになった。

一貫性の向上や、エレメント配置用の距離ガイドなどの新たな生産性ツールを備えているため、ほかの設計プラットフォームから乗り換えた建築家にとって、Archicadでの設計は楽しく直感的なものとなっている。

BIMcloud

BIMcloudを使用することで、設計プロジェクトの規模やオフィスの場所、インターネット接続速度に関係なく、プロジェクトのチームメンバー間でリアルタイムの安全なコラボレーションが可能になる。標準的なハードウェアとSaaS(Software as a Service)上のプライベートおよびパブリッククラウド構成により、小規模なオフィスでも、迅速・効率的かつ安全に共有プロジェクトにリアルタイムでアクセスできるようになる。

BIMcloudは、複合領域設計コラボレーションのための強固なプラットフォームにより、建築家やエンジニアから信頼されるツールとなっている。今回、最新のイノベーションとして、多要素認証が導入されており、全ての設計事務所の重要な関心事であるセキュリティに焦点が当てられている。

BIMx

デスクトップパソコン、iPad、iPhone、Android携帯・タブレット用のプレゼンテーション・コーディネーションアプリであるBIMxは、設計スタジオ、クライアントのオフィス、建設現場の間のギャップを埋めるツールである。

BIMxは、優れた3Dビューアーをはるかに超えた、生産的なワークプレイスおよびモバイルコラボレーション・ソリューションとなっている。今回、新たな機能として、問題報告機能が組み込まれており、建設現場やプロジェクト調整会議で発見された問題の解決に必要な時間が短縮される。

Archicad Collaborate

Archicad Collaborateは、Archicad、BIMx、BIMcloud SaaSを手頃な価格帯で組み合わせたサブスクリプションベースの製品である。クラウドサービスに追加料金を請求するほかのBIMソフトウェアプロバイダとは異なり、オンラインのGraphisoft Storeで、受賞歴のあるBIMcloud SaaSをArchicadのサブスクリプション価格の一部として提供しているため、活用にあたってのハードルが低くなっている。

「お客様は、購入、習得、そして使用が容易な強力なソリューションを求めています。Archicad Collaborateを利用することで、Archicad、BIMx、BIMcloudのSaaSを中小企業でも購入しやすい価格で手に入れることができます」とMarton Kiss氏は語る。

DDScad

DDScadは、インテリジェントな機械、電気、配管(MEP)設計ツール、統合された計算機能、全ての建築システムのための包括的なドキュメンテーションソリューションを備えており、優れた設計と最高の建築性能をつなぐものとなっている。ユーザーは、BIMプロジェクト関係者とシームレスにコラボレーションしながら、高品質なMEPプロジェクトを納期通りに予算内で設計し、提供することができる。

DDScadの合理化されたソリューションを活用して建築システムをスムーズかつ迅速にモデリングすることで、これまで以上の時間短縮が実現できるようになった。また、MEP設計の重要な部分を占めるメーカーデータへのアクセスが迅速に行えるようになった。さらに、OPEN BIM機能の強化を伴う新しい製品データ技術が導入されており、より自由で柔軟なMEPプロジェクトを設計できるようになった。

ドイツのIngenieurgesellschaft Schnittger Wilde社のUwe Bullwinkel氏はDDScadについて次のように述べている。「DDScadは、私たちの電気設計を大いにサポートしてくれています。バージョン19では、柔軟性がさらに向上しました。例えば、分電盤の並列給電が可能になりましたが、太陽光発電システムの計画などに必要でしたので、ちょうどいいタイミングでした。また、概要図が新しくなり、各電源システムを素早く見直せるようになりました。DDScadは、効率的なMEP設計のための最良の選択肢です」。

DDScadは現在、一部の国で月額および年間サブスクリプションとしてGraphisoft Storeで入手可能であり、近日中にさらに多くの国で導入される予定である。DDScadは永久ライセンスとしても利用できる。

複数領域にまたがるワークフローの改善

Archicadは、複合領域にまたがるチームで働く建築家とエンジニアのコラボレーションをさらに強化する。MEP Modelerの最新バージョンにより、内蔵のMEPモデリングワークフローが大幅に向上しており、また、構造解析モデル作成についてもアップデートされたため、大規模で複雑なプロジェクトでも構造設計の納期短縮が実現する。

More Information