UL Solutions社がデジタルモデリングとシミュレーションによる初の認証をSiemens社に付与
2024年 2月 5日
UL Solutions社 2024年1月30日
安全科学分野の認証企業であるUL Solutions社は2024年1月30日、試験対象製品のデジタルモデルを使用した初の認証を、テクノロジー企業であるSiemens社に付与したことを発表した。このことは今後、製品イノベーションと市場投入のスピードに広範な影響を及ぼす可能性がある。
UL Solutions社のデジタル・モデリング/シミュレーションサービスは、検証されたデジタルモデルを実物試験と並行して使用することで、効率的な製品設計と認証を構築するもので、このプロセスにより正確な洞察が得られ、製品プロトタイプの数を減らすことができる。
UL Solutions社の社長兼CEOであるJennifer Scanlon氏は、これについて、「この初の認証は、試験・検査・認証業界にとって、また、より安全な世界を目指すという使命を遂行する当社の世界中のお客様にとって、非常に画期的な出来事です。デジタルモデリングとシミュレーションは、製品開発と認証の未来を形作る大きな可能性を秘めています。これらのサービスにより、お客様は市場投入までの時間や製品ライフサイクルコストを短縮・削減できるとともに、イノベーションの原動力となる安全性、性能、品質に関する技術的洞察の精度を高めることができるようになります」と述べる。
UL Solutionsのモデリング/シミュレーションサービスは、独自の検証・妥当性確認プロセスにより、モデルの適合性に関する信頼性を確立するもので、サイズや複雑さ、設計のばらつきの多さなどにより試験が困難な部品や最終製品に対して特に効率な方法である。さらに、以前に検証されたモデルを新しい設計に使用することで、製品設計プロセスの早い段階で信頼性を高めることができる。
UL Solutions社の試験・検査・認証担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼プレジデントであるWeifang Zhou氏は、「モデリングとシミュレーションをベースとしたサービスは、モジュール設計や設計のバリエーションが多い製品プラットフォームに付加価値を提供します。具体的にこの付加価値としては、プロトタイプの削減や実際の試験工数の削減、開発プロセス後半での不適合による市場投入の遅延リスクの低減などが挙げられます」と述べている。
今回Siemens社に付与された認証について、UL Solutions社はSiemensの新しいSINAMICS G220可変周波数ドライブのデジタルツインを使用して、UL/IEC 61800-5-1(可変速電動駆動システムの規格 - 第5-1部:電気的、熱的及びエネルギーの安全条件)に関する要求事項の第2版の認証に必要な重要な温度上昇試験を実施した。デジタルツインはUL Solutions社により検証され、妥当性が確認されており、認証プロセス全体で、デジタルモデリングとシミュレーションが実物を使用した従来の試験とシームレスに統合された。
Siemens社の取締役であり、Siemens Digital Industries社のCEOであるCedrik Neike氏は、「Siemensのデジタルツイン技術は、技術革新の常識を塗り替えるものです。今回のUL Solutionsとの協業は、技術革新がとどまるところを知らない未来に向けた私たちの取り組みの証です。包括的なデジタルツインが製品開発の未来にもたらす無限の可能性を、産業界やイノベーターの皆様にも探求していただきたいと思います」と述べている。