MathWorks社とNXP Semiconductors社がバッテリーマネジメントシステム向けのモデルベース設計ツールボックスを発表
2024年11月18日
MathWorks社 2024年11月14日
数値計算ソフトウェアのリーディングカンパニーであるMathWorks社と、車載プロセッシングの世界的リーダーであるNXP Semiconductors社は、バッテリーマネジメントシステム(BMS)向けのモデルベース設計ツールボックス(MBDT)の提供開始を発表した。このツールボックスにより、エンジニアはMATLABおよびSimulinkでバッテリーマネジメントシステム用途のモデリング、開発、バリデーションを行えるようになるとともに、MATLABからNXPバッテリー・セルコントローラ用のCコード生成の自動化や、NXPのソフトウェアソリューションであるBMS SDKコンポーネントのサポートも実現する。
バッテリーマネジメントシステムはEVに不可欠なものであり、この高度な車両に動力を供給するバッテリーパックの最適な性能、耐久性、安全性を確保する上で重要なものである。バッテリーマネジメントシステムの設計プロセスにおいては、EV特有のバッテリーセルの種類やバッテリーパックの構成に合わせてアルゴリズムを微調整する上で、モデリングとシミュレーションに対する依存度がますます高まっている。モデルベース設計により、バッテリーマネジメントシステムのアルゴリズムの効率的な設計が可能になり、運転習慣、環境条件、故障発生などのさまざまなシナリオをシミュレーションでテストできる手段が提供される。また、バッテリーマネジメントシステム用のモデルベース設計ツールボックスにより、Simulinkモデルから直接NXPプロセッサでBMSアルゴリズムを実行し、容易にテストを行えるようになる。この機能により、バッテリーマネジメントシステムの開発プロセスが簡素化され、プロトタイピングとテストのフェーズが加速化される。
NXP Semiconductors社CTOのLars Reger氏は次のように述べている。「MathWorks社との協業により、次世代バッテリーマネジメントシステムソリューションの開発において自動車エンジニアを支援できることを嬉しく思います。モデルベース設計ツールボックスを使用してNXPプロセッサ上での直接テストを簡素化することで、設計の反復作業を迅速化して設計プロセスの初期段階で問題を特定し修正できるようになり、また、市場投入までの時間を短縮するなど、幅広いメリットをもたらします」。
バッテリーマネジメントシステム向けのモデルベース設計ツールボックスは、理論上の設計と実際の応用のギャップを埋めるソリューションとなる。エンジニアは、手動コーディングを一切行わずにSimulink BMSモデルをNXPプロセッサに直接実装でき、元のアルゴリズムの整合性と効率性を維持することができる。さらに、バッテリーマネジメントシステム向けのモデルベース設計ツールボックス製品は、統合された入出力(IO)接続機能も備えているため、バッテリーマネジメントシステム上で動的な実環境テストを実行でき、初期のハードウェアプロトタイプから即座にフィードバックを得て、さまざまな条件下でのシステム性能に関する洞察を得ることができる。このレベルのテストは、現実のシナリオにおけるバッテリーマネジメントシステムソリューションの信頼性と安全性を確保するために不可欠である。
MathWorks社の研究員であるJim Tung氏は、「エンジニアがSimulinkでBMSアルゴリズムを作成し、それをNXPプロセッサ上で直接実行できるようにすることで、私たちは開発プロセスを簡素化し、加速しています。EV市場の成長に伴い、より効率的で信頼性が高く、より安全なバッテリーシステムが求められており、モデルベース設計ツールボックスのように、エンジニアリングプロセスを合理化して強化するツールが重要になってきます。開発期間の短縮、テストの容易化の促進、市場投入の迅速化は、競争の激しいこの市場において差別化を図る要因となるでしょう」と語る。