VoxelMatters社が積層造形に関する包括的な市場レポートを発表
2025年 7月14日
VoxelMatters社 2025年7月9日
VoxelMatters社が、積層造形(AM)に関する市場レポートの最新版となる「AM Market 2025」のプレセールリリースを発表した。550ページを超える詳細な分析と今後10年間の堅実な予測を収録した同調査は、積層造形業界の現在の状況と将来の動向を包括的に把握できる内容となっている。VoxelMatters社の最新の調査結果によると、ハードウェア、材料、サービスを含む世界のAM業界は、2024年に約123億ドル(約1兆8,070億円)の売上高を計上した。この数値は今後年平均24.4%のペースで成長し、2034年までに1,080億ドル(約15兆8,669億円)に達すると同社は予測している。
同レポートは、VoxelMatters社が2013年にAM企業ディレクトリの設立とリリースを皮切りに開始した市場調査戦略の集大成である。AM業界全体に関する包括的な報告書を公表するのに先立ち、同社は2021年に市場データの分析を開始し、中核となる特定のAM材料セグメント(ポリマーと複合材料、金属とセラミックス)に焦点を当て、AM技術や材料の具体的なレベルまで深く分析した。その後、主要な市場セグメント(航空宇宙と消費者製品からスタート)におけるAM製品の売上高と内部部品生産を分析している。このレベルまで細分化した上でデータの比較(定期的な再比較を伴う)を実施したため、最新の市場レポートではAM業界全体を定量化する際に最高レベルの精度を達成することができている。
2024年の調査結果では、ダイナミックでありながら成熟さを増した業界の姿が浮き彫りになった。売上高で市場をリードしたのがハードウェアの55億ドル(約8,082億円)で、サービスの43億ドル(約6,318億円)、材料の24億ドル(約3,524億円)がこれに続いた。これは、AMシステムへの継続的な投資と、エンドユーザー向け部品生産の需要拡大に対応するサービスセグメントの急速な拡大を反映している。市場価値ではポリマーAMが依然として全体をリードする一方、金属AMはそれを上回る急速な増加を見せており、セラミックAMはいまだ初期段階にあるものの前年比で最も高い成長率を記録した。このような動向は、AMのエコシステム全体における各材料セグメントの多様で進化する道を浮き彫りにしている。
今回の報告書では、AM業界における売上高に焦点を当てているが、垂直統合型エンドユーザーによる内部部品生産を通じて生成される価値が相当な規模に達していることも認識している。この要素は定量化が困難だが、AMの広範なインパクトを理解する上で不可欠だ。そのため、この動向については、今回の報告書で提示されたデータを洞察で補完した、垂直市場に特化した報告書において分析が行われている。
「AM Market 2025」レポートでは、全ての主要な積層造形技術の詳細な内訳が提供されており、材料押出、タンク光硬化、パウダーベッド融合、バインダージェッティング、材料噴射法、指向性エネルギー堆積、結合材料プロセス、および圧密技術について深く掘り下げられている。各技術は、材料互換性、採用動向、スケーラビリティの観点から分析されており、初期段階のプロトタイピングから大規模・高スループット生産までにおいて、各プロセスが業界の変革にどのように貢献しているかを包括的に把握することができる。
また、同レポートでは、ハードウェアだけに留まらず、AMのバリューチェーンにおける重要な要素であるソフトウェア統合、後処理、積層造形のための設計(DfAM)についても検証されている。これらの機能は、特にAMを量産工程に統合する企業が増える中で、一貫した品質、コスト効率、生産スケールアップの実現に不可欠な役割を果たしている。
材料については、ポリマー、金属、セラミックスの分野で変化が進行中とされている。ポリマーAMは、プロトタイピングから最終製品製造まで幅広い用途に対応できる柔軟性から、最も大規模で広く採用されているセグメントとなっているが、市場は再編の時期を迎えており、BASF、Braskem、Covestroなどの企業はポジションの見直しを進めている。一方、ArkemaやSyensqoなどは高性能材料への投資を強化している。
金属AMは、航空宇宙、エネルギー、医療分野における強い需要を背景に急速に成熟している。粉末床溶融結合が主要な技術である一方、ワイヤアーク造形、バインダージェッティング、コールドスプレーなどの代替技術が注目されている。ATI、Sandvik、Carpenter Additiveなどの材料サプライヤーは高付加価値パウダーへの投資を継続しているものの、一部は利益率とスケーラビリティの課題からサービス事業から撤退している。
セラミックAMは、総売上高では依然として最小のセグメントであるが、2024年に最も急速な成長を遂げている。このセグメントは、航空宇宙、半導体、高度な工具産業など、熱や化学物質に対する卓越した耐性が求められる用途において、強力なソリューションとして浮上している。市場はハードウェアのイノベーションに大きく牽引されており、特にステレオリソグラフィーとバインダージェットシステムが注目されている。Lithoz、3DCERAM、Schunkなどの企業が、画期的な技術と材料で先導役を果たしている。
VoxelMatters社の「AM Market 2025」レポートの最大の特徴は、包括的で比較可能なアプローチである。ポリマー、金属、セラミックのAMに関して過去に深掘りした調査を基盤に、各材料カテゴリーが製造エコシステム全体にどのように貢献しているかを統合的に分析している。同レポートでは、技術、サービス、材料を並列比較し、関係者が機会がどこにあるかを詳細に理解できるよう支援している。
また、同社のデータセットは、268,000件を超える検証済みのデータポイントに基づき構築されたもので、205に及ぶ詳細なチャートと表も含まれている。同社は、ハードウェアメーカー409社、材料サプライヤー356社、サービスプロバイダー776社の合計1,541社を特定し分析しており、本レポートで取り上げた企業は、業界リーダーから有望なイノベーターまで、グローバルなAM市場の断面を表している。
今回の調査は単なるベンチマークツールではなく、AM分野への参入を検討する企業や、生産にAM技術を採用するOEM企業にとっての戦略的ガイドとなっている。投資家にとっては、どのセグメントが変革の波に直面しているか、デジタル製造の次なるブレイクスルーがどこで生まれるかについて、明確な洞察を提供している。
VoxelMatters社は、「AM Market 2025」レポートを通じて、積層造形業界において最も包括的、正確、かつ実践可能な市場情報を提供するというコミットメントを再確認している。同社の調査結果の全容や、今回のレポートにアクセスするには、VoxelMatters Researchのウェブサイトを参照されたい。