Zuken社が電装設計CADソフトウェアの「E3.series 2026」を発表
2025年 9月16日
Zuken社 2025年9月10日
Zuken社は2025年9月9日、同社製電装設計CADソフトウェアの最新版となる「E3.series 2026」の新機能に関する詳細を発表した。E3.series 2026には、電気・流体設計のサポート、分野横断的なコラボレーションの強化、エンジニアリング効率の向上を図る新機能が搭載される。
今回の最新版のリリースは、特に複雑なバリエーション設計、大規模コンポーネントライブラリ、2D/3D複合ワークフローにおいて、反復作業の削減、データ精度の維持、プロジェクトスケジュールの効率化を実現することを目的としている。また、追加機能としては、ブラウザベースでのプロジェクトへのアクセスと統合オンラインドキュメントを提供するE3.CloudViewが導入される。これにより分散型のエンジニアリングチームにおける効率的な共同作業とアクセス性が向上する。E3.series 2026は2025年10月に提供開始を予定している。
設計ワークフローの効率化と操作性の向上
E3.series 2026の主な開発目標は、電気技術者向けの日常的な操作性向上と設計ワークフローの効率化であった。オプションとバリエーションの処理が向上し、大規模でデータ集約的な環境でのナビゲーションと編集が高速化されている。
マルチユーザープロジェクトでのコラボレーションも大幅に向上した。リアルタイムの視覚的インジケーター、ユーザーベースのプロジェクトフィルタリング、アクティブユーザーの可視化によって、チームの調整の効率化、バージョン競合の回避、設計における反復作業の加速化が実現できる。また、属性とテキストの検索・置換ツールが新たに強化され、複雑なプロジェクト全体で高精度な一括編集が可能になる。これを選択的なコンポーネント更新機能と組み合わせることで、設計への影響を最小限に抑えながら変更を効率的に実行できる。
回路図・ケーブル・フォームボード設計の重点的な改善
E3.schematic、E3.cable、E3.formboardで作業する設計者は、ワークフローの最適化と自動化の拡充のメリットを享受できる。新しくリリースされる最新版では接続テーブルのフィルタリングが可能となり、フォームボード作成に特有の要素を除外できるため、大規模設計でのパフォーマンスが向上する。また、ケーブル長がグラフィック寸法線上で直接編集できるようになり製造仕様の更新が簡素化されるほか、嵌合コネクタの自動命名では機能または位置に基づくルールに従って一貫性が確保されるため入力ミスが削減する。さらに、ドキュメント機能の強化により明瞭性が向上する。ほかにも、ジャンプリンクの視覚的な改善、分割ブロックの表示、配線バンドルの直径計算における精度の向上などにより成果物の品質が向上する。
パネルレイアウトとキャビネット製造の強化
2D/3Dキャビネットレイアウトソリューションである「E3.panel」は、配置の簡素化と製造性の向上を目的として大幅なアップデートが実施される。部品は傾斜した取付面に合わせて自動回転し、2Dビューには取付スロットが反映されるようになる。STEPモデル処理はより堅牢になり、ファイルインポートを途中でキャンセルまたはスキップする新しいオプションが追加される。
配線も新たに強化され、キャビネット形状を考慮した現実的な配線経路が生成できるようになる。区画間の切り欠きなどの物理的開口部が反映されるようになるほか、視覚ツールがダクト接続性を検証して、配線に関する問題が容易に検出できるようになり、迅速なトラブルシューティングを支援する。また、複数デバイスのサイズの同時変更、複雑なアセンブリの直感的な管理、回路図ロジックを損なわないパネル構造の更新も可能となり、迅速な反復設計と高い設計精度が実現する。
設計と製造にまたがるエンジニアリングの効率化
E3.series 2026では、自動化機能とレポート機能が強化され、分野横断的な統合が拡大する。E3.PLCBridgeは、オムロン、Rockwell、ABB、B&R、Phoenix Contactなど主要なPLCプラットフォーム向けのシンボリックリンクの自動生成をサポートし、設計と制御システムの連携を強化する。E3.ReportGeneratorはシールド、信号分類、バリアントロジックを含む設計データへのアクセスを拡大し、ExcelやWordへの直接エクスポートによるシームレスなレポート作成を実現する。
ECAD-MCAD同期ツールであるE3.3DTransformerとE3.3DRoutingBridgeも機能が向上し、電気設計と機械設計チームの連携が強化される。主なアップデートとしては、コネクタ位置の自動調整、メタデータ交換の拡充、高度な平坦化ロジックが挙げられ、これにより分野間のデータ転送精度と効率性を向上させる。さらに新しいE3.CloudViewにより、ブラウザ経由でE3.seriesプロジェクトにアクセス可能となり、分散チーム間でのリモート設計レビューとシームレスな共同作業が実現する。
現代の電気工学のためのプラットフォーム
Zuken社はE3.series 2026において、統合エンジニアリングプラットフォームのアップデートを導入し、これに伴って電気設計の支援、バリエーション管理、設計プロセスと下流の製造・PLC実装との連携を実現するツールが提供される。2026年版には生産性向上、分野横断的な協業、データ整合性の強化を目的とした機能が盛り込まれ、電気・流体設計におけるデジタル連続性の基盤が提供される。