Microsoft Azure、Azure Virtual Desktopへの移行で業務効率化と生産性向上を最大化させた新都市ライフホールディングス
成長企業を支えるクラウド基盤:新都市ライフホールディングス様のAzure移行事例
業務アプリケーションのクラウド運用とVDI(Virtual Desktop Infrastructure)の組み合わせは、企業システムの理想的な形でもある一方、リッチな構成のため費用がかさむのが難点。また、VDIはクライアントとなるPCのスペックやインフラによってレスポンスが左右されることも多く、環境構築には慎重さが必要だ。
今回は企業の成長に合わせて、最適なソリューションへの移行を成功させ、業務システム全体のレベルアップを実現した株式会社新都市ライフホールディングスの事例をご紹介しよう。
データセンターからクラウドへの移行を決断
株式会社新都市ライフホールディングス(以下、新都市ライフホールディングス)は、地域にとってかけがえのない商業施設の運営・管理をメインに活動している企業だ。
「商業デベロッパーとして、首都圏を中心に地域密着型の施設を手掛けています。現在、約90の施設の運用管理をさせていただいており、地域の皆様にとって生活の支えとなるような施設であり続けられるよう、持続性を持ったサービスの展開を目指しています」と語るのは、新都市ライフホールディングス 経営企画部 次長の柿沢誠一氏だ。
株式会社新都市ライフホールディングス 経営企画部 次長 柿沢誠一氏
新都市ライフホールディングスは、管理組合受託業務においてもサービスを提供しており、商業・住宅複合型区分所有建物を中心とした管理組合業務の受託においても多くのノウハウを所有、20件以上の管理組合業務の受託も行っている。まさに地域の暮らしの中枢を支える企業といえる。
そんな新都市ライフホールディングスの日常業務を支えているITシステムにある契機が訪れることとなった。「当社で利用しているサーバーはデータセンターのものをレンタルしていました。これまでは契約条件もよく運用しやすい環境だったのですが、会社が成長して社員が増えたこともあり、新たな業務システムを導入したいと考えた際にデータ容量が不足するようになったのです。ちょうどデータセンターの契約が切れるタイミングでしたので、新しいサービスへの切り替えも検討してみようということになりました」と、これまでの経緯を語る柿沢氏。
この時期、新都市ライフホールディングスは拠点を新宿アイランドタワーへ移転、それと同時に働き方改革も大きく進めるため、新たな仮想デスクトップの導入も検討していたのである。
「また、社員のクライアント環境にはVDIを使用していました。ベンダーが提供しているサービスでしたが、当時の端末のスペックが低かったこともあり、その時利用していたVDIは動きが鈍く、あまりよい環境ではなかったのです。ですから、クライアント環境の改善の意味も含めて、このタイミングでシステムの刷新を決断しました」と経営企画部 システム課 調査役の奈良岡健太氏は説明する。
これらの課題を解決すべく、新都市ライフホールディングスは新しいシステムの検討を始めることになった。
親和性の高いMicrosoft Azureを基盤としたシステムを構築
深い議論の末に導き出された案は「Microsoft Azure(以下、Azure)」および「Azure Virtual Desktop(以下、AVD)」への移行だった。
「当社で利用している製品にMicrosoft社製のものが多かったというのが大きな理由でした。Microsoft 365をはじめ、Windows Serverなど、あらゆる面でMicrosoft社製品を利用していましたので、最も親和性が高いのはやはり同じベンダーのAzure、AVDだろうという話になりました」と奈良岡氏。
ほかにも幾つかのソリューションを検討したが、結果的に新都市ライフホールディングスにはAzureとAVDの組み合わせが一番だろうという結論になったのである。
「Azure、AVDについて調べていると大塚商会様の情報へ行きつきました。当社としてはこれまで取り引きがなかったのですが、さまざまな製品を扱われており、豊富なノウハウもお持ちであることは十分知っていましたので、ご相談させていただくことにしました」と語る奈良岡氏。相談を受けた大塚商会も快く応じ、Azure、AVDの導入に関して全面的なバックアップ体制で引き受けることになった。
株式会社新都市ライフホールディングス 経営企画部 システム課 調査役 奈良岡健太氏
大塚商会ではAzureをマルチベンダーという立場で提供してきた企業だ。あらゆる企業規模のシステム移行をサポートしてきた経験から、課題を抱えた企業へ向け最適なソリューションを提供している。Microsoftパートナーアワードも25年連続で受賞するなど、大塚商会の高い技術力は各方面からも支持されている。また、コストメリットの高い支払い方法やサービスの組み合わせなども提案できるほか、Azureの運用を丸ごと委託することも可能にするなど、導入を検討している企業にとって、もっとも採用効果の高いソリューションを届けられるのが特長だ。
2023年2月、導入を目指し、早速PoCを開始する新都市ライフホールディングスと大塚商会。
「各拠点との間は閉域網を入れたのですが、それに多くの時間が掛かりました。しかし、Azureへの移行に関しては非常にスムーズでした」と振り返る奈良岡氏。AVDの移行には以前使っていたVDIが管理している各社員のデスクトップ環境を反映する必要があるため、使用アプリの検証などにも時間が必要だったという。
しかし、逆にいうとこれらの周辺事情からくる事象をPoCの中で一つずつつぶしていくことで、より強固な地盤が仕上がっていったことも事実だといえる。
クラウド移行の成果と働き方の変化
2024年10月、新都市ライフホールディングスの全てのシステムおよびクライアントPCのAzureおよびAVDへの移行が完了した。
「業務支援システムに関してはそれぞれに高度な知見が必要となるため、担当業者間との調整に苦労しました。同時にシステム移行中はサービスを停止しなくてはならないので社内調整も必要でしたね。段階的に移行作業が完了した形でしたが、環境が変わった社員にとってはいきなり業務活動のレベルが変わった感じだったのではないでしょうか」と振り返る柿沢氏。
「AVDに関しては同時期にPCの入れ替えも実施したこともあり、非常にレスポンスが良くなったとたくさんの喜びの声をもらいました。移行作業は先にも触れたとおり、苦労した面もたくさんありましたが、社員の業務効率化、生産性向上が実現できたのでAVDへの移行は大正解だと思います」と奈良岡氏も言葉を続ける。
そのほか、今回の移行により、ファイルサーバーの容量上限がなくなったことや、複数世代のバックアップデータが管理できるようになったなど、良好な結果が体感できているという。
「特に管理者という立場からしますと、これまではデータセンターにサーバーがおいてありますので、再起動やシステムダウンからの復帰など、オペレーションをするうえでコントロールが非常に難しかったのですが、現在はAzureのポータル画面からはクリック操作だけでそれらの作業が実現できます。使い勝手が大きく改善された点は非常に助かっています」と奈良岡氏は語る。
「当社の社員は対応力が高い人材がそろっているのか、今回のAVDへ移行した際にもすぐに慣れてくれました。以前のVDIでは、情報共有する際、紙の資料の方が早かったからでしょうか、印刷物がいつも机を占領していました。しかし、今のオフィスに移転し、AVDになってからは印刷する必要がなくなったのか、一気にペーパーレス化も実現できています」と導入の成果をうれしそうに語る柿沢氏。今回のシステム刷新を受けて、新都市ライフホールディングスではDXの促進も両立できたかたちだ。
もちろん、働き方改革も進み、社内はフリーアドレスに変更され、テレワークも社員それぞれに判断を委ねる形で推進している。その結果、役職を問わず、無理のない働き方改革が実現できているという。
「フリーアドレス環境を作ったことが要因かも知れませんが、社員は自分が仕事をしやすい環境にするため工夫をするようになりました。AzureとAVDの組み合わせにより、テレワーク中でもセキュアな環境でWebミーティングも行えますから、システム移行によってよりよい仕事環境が整ったのではないかと考えています」と奈良岡氏も手応えを語る。
「今回のAzure、AVDの導入と移行作業の際には大塚商会様に大いにサポートしていただきました。移行中のさまざまな困りごとの相談にもレスポンス良く応えていただきとても満足しています。導入後の保守においても問題解決の迅速さや質のよい対応にはいつも感謝しています。今後も引き続き良好な関係を持たせていただきたいと考えています」と最後に柿沢氏は語ってくれた。今後も大塚商会は新都市ライフホールディングスをサポートしていく。