二人がかりだった測量が一人でも可能に。撮りこぼしによる再調査もなくなり、積算・設計の工数が大幅に削減

髙松テクノサービス株式会社

業種
建設業
事業内容
マンション、ビルなどの外壁改修工事・リノベーションほか
従業員数
187名(2020年12月現在)
サイト
https://www.takamatsutechno.jp/

導入事例の概要

髙松テクノサービス株式会社は、建物の外壁改修工事やリノベーションなどの施工に取り組む改修工事専門会社だ。8万件以上の施工実績と優れた技術を持つ同社は、図面のない建物の測量を合理化するため、3Dスキャナー Leica BLK360を導入(注1)。測量に必要な人員が2名から1名に省力化され、写真の撮りこぼしもなくなるなど、作業効率が格段にアップした。

  • (注1)現在、髙松テクノサービス大阪のみの対応となります(2020年12月時点)。

導入の狙い

  • 人手と時間がかかる測量作業を省力化する。
  • 現場写真の撮りこぼしによる再調査をなくす。

解決策

  • 一人でも使えて省力化に貢献する3Dスキャナーの導入。

導入製品

  • 3Dスキャナー「Leica BLK360」
  • 点群編集ソフト「Leica Cyclone FIELD 360」
  • 点群データ合成処理ソフト「Leica Cyclone REGISTER 360」

導入したメリット

  • 二人がかりで実施していた測量作業が一人でも可能に。
  • 半日を要していた測量の時間が大幅に短縮。

外壁改修工事やリノベーションのリーディングカンパニー

髙松テクノサービス株式会社(以下、髙松テクノサービス)は、建物の外壁改修工事やリノベーションなどを行う改修工事専門会社だ。創業100年以上の歴史を誇る総合建設大手、髙松建設を筆頭とする髙松コンストラクショングループの一員であり、1993年の設立以来、8万件以上の施工実績を持つ改修工事分野のリーディング企業である。手掛ける物件は、マンション、オフィスや宿泊施設、工場をはじめとする事業用建物、医療施設など多岐にわたり、建物を維持管理していくうえで小さなお役立ちから大規模な改修工事まで請け負っている。

保守・メンテナンスもサービスの大きな柱の一つだ。24時間365日のサポート体制(関西限定)でさまざまなお困りごとを解決しており、徹底した顧客目線の工事や懇切丁寧な対応は、顧客満足度92%という高い評価を獲得。建物の生涯価値を高め、数多くのお客様から信頼を得ている。

測量作業の省力化と時間短縮を図りたい

外壁改修工事やリノベーションを行う際には、建物の図面が必要だ。しかし、築年数の古い建物や、オーナーチェンジが行われた建物の中には図面が残っていないものが多く、現地で測量を行って図面を引き直す必要がある。正確な図面がなければ、設計はもちろん、改修する壁の面積などに応じた積算(見積り)もできないからだ。

髙松テクノサービスでは、この測量作業をレーザー測量機やメジャー計測器(コンベックス)などを使って行っていた。しかし、レーザー測量機の場合は光が照射されるポイントに人が立たないと計測ができず、コンベックスによる計測も、メジャーの端と端を固定しなければならないので、どうしても二人がかりとなる。「従業員数が限られている当社にとって、貴重な人材を余分に取られるのは痛手で、何とか一人で測量できる方法はないものかと考えていました」と積算部 主任の中川将充氏は語る。

大塚商会の提案を受けて3Dスキャナーを導入

また、従来の測量方法では時間がかかりすぎることも大きな課題であった。レーザー測量機やコンベックスでは、場所ごとに長さを測り、計測された数値は一つ一つ手書きでメモしなければならない。「建物の大きさや広さにもよりますが、測量だけで半日がかりになることも多かったです」と語るのは設計部 主任の山本茜氏である。

そのうえ、レーザー測量機では窓や出入り口など開口部の計測はできず、コンベックスで測るか写真を撮っておき、後からそれを基に寸法を出すしかない。その分時間がかかり、写真の撮り忘れなどがあると、もう一度現地に行って撮り直しをするといった二度手間もあった。

これらの課題を解決するため、髙松テクノサービスは大塚商会の提案を受けて、計測作業の省力化と時間短縮が図れる3Dスキャナー Leica BLK360の採用を決定。スキャニングしたデータを編集・加工処理できる点群編集ソフト Leica Cyclone FIELD 360、点群データ合成処理ソフト Leica Cyclone REGISTER 360と共に導入した。

360°スキャニングが可能なカメラを内蔵したLeica BLK360の本体。点群データのほか、写真画像の撮影も可能

安価で高精度なLeica BLK360を選定

3Dスキャナーとは、撮影した画像データをX、Y、Z座標に基づいて配列された「点の集合体(点群)」として表示する装置である。撮り終えた画像データをPCなどの画面に表示し、専用ソフトを使って任意の点と点との長さを測れば、正確な測量が行える。

Leica BLK360は、カメラを内蔵した本体を中心として、360°の画像撮影が可能だ。撮影された範囲であれば全てPC上で測量できるので、現地で場所ごとの長さを測る必要がなくなる。さらに、本体を置いて画像を撮るだけなので、たった一人でも作業が可能だ。「省力化が図れるという点で、願ってもない装置だと思いました」と中川氏は振り返る。

数ある3Dスキャナーの中からLeica BLK360を選んだのは、安価で精度が高いことに加え、コンパクトで持ち運びしやすいことが決め手になったという。

設計部の石川采奈氏は「三脚を組んで、その上に本体を載せるのですが、とても小さく組み立てがしやすいので、女性でも問題なく扱えます」と語る。

操作が非常にシンプルであることも、Leica BLK360の大きな特長だ。山本氏は「レーザー測量機のような面倒な設定がなく、ボタンを押すだけなのでとても簡単です。水平が多少狂っても自動補正してくれるので、三脚を立てる苦労もほとんどありません」と語る。

撮り終えた画像データは、その場でタブレット端末にインストールしたLeica Cyclone FIELD 360を使って確認できるので、問題があればすぐに撮り直しができる。使いやすさや、作業効率のよさに、とても満足しているようだ。

Leica BLK360は組み立てがしやすく、軽量でコンパクトなため、女性でもかばんに入れて持ち運びできる

積算部 主任 中川将充氏

「Leica BLK360は本体を置いて画像を撮るだけなので、たった一人でも作業ができます。省力化が図れるという点で、願ってもない装置だと思いました」

測量の人員が2名から1名に省力化

「スキャニングは1カ所あたりたった数分で完了するので、必要な範囲の測量に要する時間も大幅に短縮されました。以前は測量から作図までで半日がかりになることもありましたが、より早く現場調査を完了させて、見積りを作るための次の作業にかかれるスピードも速まりました」と中川氏は語る。開口部の正確な寸法もスキャニングデータだけで出せるようになったので、積算の精度も上がったという。

また、石川氏は「Leica BLK360は点群データだけでなく写真画像も撮影できているので、現場状況の記録にも使えます。開口部の状況や、現場にどんな器具が設置されているのかといったことを画像として残せるのです。以前は、これらの状況を通常のデジタルカメラで部分ごとに撮影していたのですが、撮影範囲が360°に及ぶLeica BLK360のおかげで、一度で撮れるようになりました」と語る。撮りこぼしがなくなったことで、何度も現場に再調査に出向く必要がなくなり、業務効率は格段にアップした。

設計部 主任 山本茜氏

「面倒な設定がなく、ボタンを押すだけなので、操作はとても簡単です。水平が多少狂っても自動補正してくれるので、三脚を立てる苦労もほとんどありません」

設計部 石川采奈氏

「以前は開口部の状況などを通常のデジタルカメラで部分ごとに撮影していたのですが、撮影範囲が360°に及ぶLeica BLK360のおかげで、一度で撮れるようになりました」

今後はメンテナンスへの活用も検討

スキャニングしたデータはPC上でLeica Cyclone REGISTER 360を使って編集するが、複数のデータを組み合わせて使えるのも便利な点だ。山本氏は「外壁工事の場合、建物の四つ角からスキャニングしたものを組み合わせると360°の3Dデータが簡単に作れます。また、追加工事の依頼を受けても、あらかじめスキャニング済みの3Dデータがあればすぐに対応できますし、範囲外の場所でもすぐに撮影して、既存のデータに連結できるのが便利です」という。

3Dスキャナーの導入は顧客へのアピールにもなり、同社のサービスに対する評判の向上につながっている。中川氏は「今後は積算や設計だけでなく、メンテナンスの作業効率の向上にもLeica BLK360を活用していきたいと考えています。大塚商会さんには、今後もさらなる活用法についてのアドバイスをお願いしたいですね」と語った。

スキャニングしたデータは、Leica Cyclone FIELD 360により、現地でタブレット端末から確認することができる

複数の箇所でスキャニングしたデータをLeica Cyclone REGISTER 360で合成・編集することが可能