Autodesk社がCADソフトウェア「AutoCAD 2021」を発表
2020年 3月30日
Autodesk社 2020年3月25日
2020年3月25日 ―― Autodesk社は2020年3月25日、CADソフトウェアAutoCADシリーズの最新版となる「AutoCAD 2021」を発表した。AutoCAD 2021では、ユーザー業務の実施方法や生産性を改善するための自動化を実現するための新機能が多数導入されている。専用ツールセットを含むAutoCADのサブスクリプションにより、業務を自動化し、何時間、あるいは何日もの貴重な時間を節約することができる7種類の業界特化型ツールセット(ArchitectureやElectricalなど)を利用することが可能となる。同社による生産性に関する調査の詳細についてはhttps://autocadresources.autodesk.com/autocad-productivity-studiesに詳述されている。
AutoCADサブスクリプションには、最新のAutoCADのWebアプリおよびモバイルアプリが含まれ、移動中や現場にいるときであっても、およそあらゆるデバイスからAutoCADへアクセスし、最新のファイルを参照して設計や製図作業を行うことが可能となる。
AutoCAD 2021では、非常に多くの使い勝手に関する機能強化が実装されている。新規図面履歴機能はユーザーワークフローに対するゲームチェンジャーとなりうる機能で、図面の変更過程に関する知見をユーザーへ提供する。また、AutoCAD 2021では、図面に含まれる外部参照に対して一般的なDWG Compare(比較)機能を利用することが可能となっている。グラフィックスパフォーマンスはさらに強化されている。加えて、いつでも、どこからでもブロックコンテンツへ接続した状態を維持することができるようになっている。
AutoCAD 2021では、新たにGoogle Driveとの連携機能が導入されている。Autodesk IDを持つユーザーであれば誰でも、Google Driveに保存されたDWGファイルをAutoCAD Webアプリ内で直接開くことができるようになっている。また、AutoCAD保守契約中のユーザーであれば、Google Driveから開いたファイルを直接編集し、保存することも可能で、場所を選ばずに作業することが可能となっている。同様に、Autodesk社のクラウドを利用し、AutoCAD Webアプリまたはモバイルアプリを用いてDWGファイルとXref(外部参照)を表示し、編集、保存することも可能としている。
AutoCADプロダクトマネジメントディレクターのMarcus O’Brien氏は、「Autodeskと保守契約を締結しているユーザーであれば、AutoCAD開発チームがAutoCADを現代化するためにユーザーからのフィードバックを重視していることを体感できるでしょう。2021リリースでは、効率性と生産性を直ちに変革しうる機能拡張や新機能を提供します」と述べている。
図面履歴への自動インサイト
新規図面履歴機能は、図面の変更に関する知見をユーザーへ提供できるようになるため、ユーザーワークフローに対するゲームチェンジャーとなる。それまでに図面へ加えられた変更点を確認することが可能となり、現在の図面のコンテクストで以前のバージョンと直接比較し、即座に知見を得ることができるとしている。
保守契約済みユーザーであれば、OneDriveやDropbox、あるいはBoxに保存されたファイルへアクセスすることで、AutoCAD内で容易に以前のバージョンのそれらのファイルの図面と比較することができる。
外部参照比較機能による高速変更識別
AutoCAD 2021では、2つのバージョンの外部参照を比較し、現在の図面環境から離れることなく変更点を確認することができるようになっている。
AutoCAD 2021では、一般的なDWG比較機能を、図面に含まれる外部参照に対して利用することが可能となっている。参照先の図面に変更が加えられた場合、AutoCAD内に変更があったことを示す通知が自動的に表示される。通知をクリックすると、現在開いている図面のコンテクスト内で変更点を比較することができる。
ブロックパレットの機能強化
新たにユーザーブロックコンテンツの常時接続維持に対応している。デスクトップまたはAutoCAD Webアプリ内のライブラリタブから効率的にブロックを挿入することができる。
AutoCAD 2021のブロックパレット機能の改良により、図面内のブロックをクラウドストレージと同期して最新の状態に維持し、デスクトップまたはWebからもアクセスできるようになっている。
Other Drawings(他の図面)タブは、AutoCAD 2021では新たにLibraries(ライブラリ)タブに変更され、迅速なアクセスを可能とするために、最近使用された5種類のブロックライブラリが表示されるようになっている。現在開いている図面にブロックとして挿入するために、ユーザーがフォルダーや図面ファイル、あるいは図面ファイル内に保存されているブロック定義を指定することも可能となっている。
グラフィックパフォーマンスの改善
マルチコアプロセッサーを利用可能な環境において、パン操作やズーム操作、および回転操作がより円滑に、かつ高速で表示されるようになっている。2D画面でパン操作やズーム操作を行う場合、自動的により高速かつ滑らかに表示するための再生成作業が実行される。3D回転操作やパン操作、およびズーム操作においては、マルチコアプロセッサーの活用により、複雑な3Dモデルにおいて特にレスポンスが改善されている。
AutoCAD 2021で導入された新機能の詳細については、Helpセクション内のWhat's Newガイドに記載されている。
AutoCAD WebアプリとGoogle Drive連携機能
Google Driveに保存されているDWGファイルは何十億個も存在し、何百万ものDWGファイルが毎日送信され、利用されている。AutoCAD 2021では、Google Drive内で表示されているか、またはGmailで共有されているかを問わず、これらのサービスで保存されているDWGファイルをAutoCADモバイルアプリや、AutoCAD Webアプリ内で直接開くことが可能となる。加えて、AutoCAD Webアプリ内でGoogle Driveへ接続することが可能となり、どこでもユーザーのファイルへアクセスできるようになるとしている。この発表は、昨年発表されたBoxやDropbox、およびMicrosoft社との連携機能とあわせて、AutoCADと主要ストレージプロバイダーとの提携ラインアップを拡充するものとなっている。
Google DriveプロダクトマネジメントディレクターのAlexander Vogenthaler氏は、「Google Driveを活用し、クラウド内でコラボレーションするために、ビジネスは急ピッチで変化し続けています。そしてその結果として、AutoCAD Webアプリなどのツールが数多くの顧客に受け入れられています。弊社とAutodesk社との新たな連携への取り組みにワクワクしています。この取り組みにより、我々2社共通の顧客がAutoCAD WebアプリからGoogle Drive内に保存されたDWGファイルを開き、保存することが可能となり、デスクトップやWeb、あるいはモバイルからより容易にAutoCADの優れた機能へアクセスできるようになるでしょう」と述べている。
AutoCAD 2021の即日ダウンロード提供
Autodeskアカウントへログインし、最新リリースをダウンロードすることでAutoCAD 2021およびAutoCAD LT 2021の新機能を確認することができる。保守契約を締結していないユーザーの場合は、AutoCAD 2021またはAutoCAD LT 2021の30日間無償体験版によって確認することができる。
AutoCAD WebおよびAutoCAD Mobile用の無償拡張アクセスプログラム
Autodeskでは、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界へ与える影響を注視している。Autodeskは、顧客が直面しているリモート作業環境の新たな現実や、業務の混乱を最小化し、協力し、接続を維持することへのニーズをより強力に支援するため、2020年5月31日までの一時的な拡張アクセスプログラムを提供すると発表した。この拡張アクセスプログラムの対象となるのは、AutoCAD WebアプリおよびAutoCADモバイルアプリを含む、複数のフラッグシップクラウドコラボレーション製品であるとしており、以下へアクセスすることで、同プログラムを利用することができる。
また、Q&Aは以下をを利用できる。
近日公開:AutoCAD 2021 for MacおよびAutoCAD LT 2021 for Mac
Macユーザー向けの発表として、2020年4月3日時点でAutoCAD 2021 for MacおよびAutoCAD LT 2021 for Macが公開される予定であることが明らかにされた。Macバージョンにおいても、外部参照比較機能やPurge機能改良、およびフローティングコマンドラインなどのさまざまな新機能や機能強化が導入されるとしている。加えて、AutoCAD 2021 for Macでは新たに簡体字バージョンが初めて提供されるとしている。AutoCAD 2021 for Macリリースに関する詳細情報は、近日公開予定としている。
AutoCADストラテジアンドマーケティング部門バイスプレジデントのMimi Hoang氏は、「我々は、AutoCAD保守契約済みユーザーがより優れた設計を生み出せるよう支援できることを誇りにしています。AutoCAD 2021で導入される自動化機能がユーザーの生産性を向上させ、作業内容にかかわらず優れた価値を生み出せることにワクワクしています」と述べている。