Autodesk社が3D CADソフトウェア「Autodesk Inventor 2022」を発表

2021年 4月12日

Autodesk社 2021年3月29日

2021年3月29日 ―― Autodesk社は2021年3月29日、同社製3D CADソフトウェアの最新版となる「Autodesk Inventor 2022」を発表した。
Autodesk Inventor 2022は、これまで以上に多くの時間を製品の設計とイノベーションの創出へ振り向けられるようにするための機能強化を主眼としている。Autodesk Inventor 2022により、複数の設計代替案や製造時作業工程の管理、および部品やアセンブリの単純化レベルの処理のための全く新しいワークフローが実現する。また、BIMプロジェクトへの参加や製造のための製品設計案の調整、あるいはジェネレーティブデザインなどに関する作業を実行するためのシームレスな道筋を用意することで、開発チームのメンバーが自身のなすべき作業に注力できるようになっている。

モデルステート

Autodesk Inventor 2022では、細部は異なるが大部分が共通であるような複数の設計代替案を単一のドキュメントに格納する、モデルステート機能が新たに導入されている。同機能により、寸法や特定のパラメーター、およびプロパティが異なる、あるいは構成コンポーネントや単純化レベルが異なる設計モデルを容易に管理し、製造時に活用できるようになるとしている。モデルステート機能では、異なる設計代替案を単一のドキュメントに格納することにより、設計代替案間での参照関係が毀損するリスクがないことを特徴としている。
同社が想定するモデルステート機能の用途は以下の通り。

  • 鋳造モデル(素形材)から完成部品までの機械加工
  • 複数の曲げ工程を必要とする板金部品のステージ分割
  • 溶接準備用の溶接やほかの機械加工作業
  • 寸法の異なる製品ファミリーや、構成フィーチャの異なる製品ファミリーの作成
  • 視覚的な確認用と製図用でそれぞれ異なる、切り替え可能なアセンブリポジションの作成
  • 設計モデルがアセンブリに組み込まれたときの各段階における完成度
  • 知的財産や詳細形状を除去するための複数の単純化レベル
  • BoM(部品表)のインスタンスプロパティ:インスタンスプロパティもまたAutodesk Inventor 2022の新機能で、コンポーネントのコピーをアセンブリへ含める際に、各実体に固有の情報の入力を可能とする。インスタンスプロパティ情報はアセンブリファイルへ保存されるため、当該コンポーネントを参照するほかのアセンブリに対して影響を与えることがない。

相互運用性の改善

Autodesk Inventor 2022では、ほかの設計システムとのシームレスな連携機能に関する継続的な強化の一環としてRevitおよびFusion 360用の新規ワークフローが導入されている。両システムとの相互運用性の改善により、BIMプロジェクトや積層造形と除去型製造、およびジェネレーティブデザイン技術を用いた検証などの作業に要する時間を削減することができるとしている。

  • Revit対応
    Autodesk Inventor 2022では、Inventor環境からネイティブRevit形式での直接保存に対応している。単純化コマンドを含め、エクスポート用コマンドはプロパティパネルにまとめて配置されている。加えて、エクスポートする必要がある設計ファイルの将来のバージョン用に設定を保存するためのプリセットが用意されている。
  • Fusion 360対応
    Autodesk Inventor 2022では、Fusion 360との相互運用性の改善を通じて、ジェネレーティブデザインや電子機器、製造用ツール、およびコンシューマー向け製品設計などのエンジニアリングワークフローが可能となっている。環境タブへ新たに追加されたコマンドにより、Desktop Connectorをバイパスし、部品ファイルを直接Fusion Teamへ送信できるようになっている。
  • 単純化
    Autodesk Inventor 2022では、設計データを社外の人間と共有する必要がある場合に、単純化プロセスを自動的に実行し、適切なファイルタイプで保存することができる新規単純化ツールが導入されている。

生産性とパフォーマンス

Autodesk Inventorは、過去数年にわたってInventor製品全体のパフォーマンス強化に注力して開発されている。複雑な部品や大規模アセンブリに対して作業する必要のあるユーザーに対して効率的なエクスペリエンスを提供するために、部品やアセンブリ、および製図の各機能は年々強化されている。

  • Inventor 2022におけるパフォーマンス改善
    Autodesk Inventor 2022においても引き続きパフォーマンスの強化が実施されている。新たに実施されたグラフィックステクノロジーの強化とハードウェアの活用度の向上は、日々の利用において大きな効果を発揮するとしている。例えば、アセンブリ環境で部品を編集中にスケッチを編集する場合のパフォーマンスが向上すると共に、その表示についても改善されている。また、ビジュアルスタイルでワイヤーフレームやシルエット辺を表示する際のGPU活用度が向上している。加えて、ドキュメントの読み込みと終了処理が高速化されており、従来よりも迅速に作業するプロジェクトを移行できるようになっている。
  • 生産性
    Autodesk Inventor 2022では、フィレットコマンドが新規3種類のプロパティパネルへ移設されている。これにより、設計意図に合わせるためにユーザーが設定する回数が削減され、生産性が向上するとしている。
  • ダークテーマ
    Autodesk Inventor 2022では、2021のテクニカルプレビュー版で導入されたダークテーマが、iLogic Ruleエディターを含むInventorユーザーインターフェイス全体で利用できるようになっている。

製図機能に関する機能強化

Autodesk Inventor 2022の製図機能では、モデルのライティングスタイルを変更することで、シェーディング付きビューの見た目を変更できるようになっている。加えて、3Dモデル内に作成された3次元注記やカメラビューを再利用するための新たな製図ビューオプションが追加されている。また、延長線付きの中心線や中心点が寸法表示を横切っている場合に分割されるようになっており、寸法値の可読性が改善されている。

インストールと展開

Autodesk Inventor 2022およびVault 2022では、新たなインストールおよびデプロイメント手順が導入されている。これに伴い、CAD管理者向けの新たなデプロイメントオプションが利用可能になると共に、InventorとVaultのインストールがいずれも単純化されている。

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