Maplesoft社が機械設計者向けMapleSimライブラリ「MapleSim Web Handling Library」を発表

2021年12月28日

Maplesoft社 2021年12月23日

2021年12月23日 ―― Maplesoft社は2021年12月23日、MapleSim製品シリーズの新製品として、ロール・トゥ・ロール式製品ラインをモデル化し、機械解析への取り込みを導入することが可能となる新たなライブラリ製品「MapleSim Web Handling Library」の導入を発表した。MapleSim Web Handling Libraryは、開発期間の短縮と費用の削減、および性能上の問題の検証が可能な機械設計者向けシステムレベルモデリングおよび解析ツールであるMapleSimソフトウェアに対するアドオン製品となる。MapleSim Web Handling Libraryでは、紙やプラスチックフィルム、織物、あるいは箔の取り扱いを忠実に模倣するためのローラーやドラムブレーキ、およびその他のコンポーネントをMapleSimへ追加することで、同ツールのモデリング能力を拡張することができる。Maplesoft社によれば、同ライブラリの導入に加えて、MapleSimファミリー全体に対するアップデートがリリースされており、モデリングライブラリの拡張や新規生産性向上機能、およびコネクター選択肢の拡充を通じてユーザーエクスペリエンスを強化するとしている。このため、例えば制御技術者であれば、MapleSim Insightを用いたより多くの自動化ツールへMapleSimのデジタルモデルを接続し、バーチャルコミッショニング(仮想試運転)機能を用いた最適なコントローラー開発に対応できるようになるとしている。

機械メーカーの場合は、運転時のパフォーマンスの予測や機械の応答の最適化のために自動化設計の早期段階でのシステムレベルモデルを用いることが可能となる。この時、MapleSimは物理的なプロトタイプを製作する前に試験シナリオや解析シナリオを通じて実行可能な機械の高忠実度モデルを作成するために使用される。一連なりの紙や織物、プラスチックフィルム、あるいは箔などのウェブ(シート状の搬送物のこと)を扱うロールが組み込まれた量産ラインにおいて、ローラー位置の変更やテンション設定の変更を試行できることは、実質的には早期段階で最も効率的な選択肢を決定できるようになることを意味している。プロトタイプの製作後になると多大な費用を要する設計修正も、デジタルモデルであればわずかな時間と労力で実施することができる。MapleSimとMapleSim Web Handling Libraryを合わせて活用することで、ニップローラーやダンサーローラーの追加などの物理的な変更をあらかじめテストし、コントローラーのコードに対する影響を判断することができる。加えて、トルクや張力、およびウェブの動作を3次元的に視覚化することも可能となるため、下流工程における品質の低下や、場合によってはウェブの裂けや意図せぬ伸びの要因となる張力の変動を制限することもできるとしている。

Maplesoft社ビジネスディベロップメント部バイスプレジデントのChris Harduwar氏は、「今日の自動化企業は、モーターやアクチュエーター、あるいはその他のコンポーネントを変更することで、機械をより高速に駆動することや振動をより少なくする、あるいはより効率的に運転することができないかを判断するために、継続的に運用状況を検証しています。MapleSimモデルと追加の生産データを組み合わせることで、パラメーターやレイアウトの変更に対して物理的な製造ラインと同様の反応を返す忠実なデジタル表現を構築することができるようになります。紙や箔、あるいはフィルムのような対象を取り扱う場合にMapleSim Web Handling Libraryを活用することで、実際のハードウェアを変更する前にウェブ速度の改善点や制御コードの問題に対する解決策を見いだすことが可能となり、時間と費用を節減することができます」と述べている。
Maplesoft社では、ソフトウェアの提供に加えて、顧客企業の社内にモデリングの専門家が存在しない場合でも、機械パフォーマンスの診断と修正、および最適化を行うためのフルサービスソリューションを提供している。同サービスでは、Maplesoft社と顧客とが共同で費用を削減するためのデジタルモデルを作成した後、MapleSim Insight上でモデルを実行する。これにより、解析ベースの3D視覚化と機能の不具合修正や、一般的な自動化プラットフォームへの直接接続することが可能となる。

本リリースの一環として、MapleSim Insightの最新版では新たに産業用EtherNet/IPプロトコルを認識できるようになると共に、おおよそ全てのPLCプログラミング環境でMapleSimモデルをバーチャルコミッショニングワークフローで使用できるようにするための手段が提供されるとしている。この結果として、以前から対応していたB&R社やBeckoff社、あるいはRockwell Automation社製ソフトウェアに加えて、CODESYSのようなツールが接続プログラムのリストに追加されている。
これらに加えて、MapleSimとそのアドオンライブラリやツールボックス、およびコネクターアドオンに対しては、モデルの作成や解析時の時間を短縮するための機能や、異なる地形でのタイヤの振る舞いやロープとケーブルを用いたウィンチなどの特殊な分野における信頼性を高めるための機能も改善されている。

More Information