Autodesk社が「AutoCAD 2023」を発表

2022年 4月11日

Autodesk社 2022年3月29日

Autodesk社は2022年3月29日、同社製汎用(はんよう)CADソフトウェアAutoCADシリーズの最新版「AutoCAD 2023」を発表した。AutoCAD 2023の新機能は、プロセスとコラボレーションのさらなる自動化を実現している。図面へのフィードバックの追加、プロセス改善のためのインサイト、Web からの LISP API の利用など、あらゆるニーズに対応している。

AutoCAD 2023は、ユーザーと変化する業務の性質を念頭に置いて設計された。新しいMarkup Import(マークアップインポート)とMarkup Assist(マークアップアシスト)機能により、図面にフィードバックを自動的に取り込むことができ、エラーのリスクを減らして作業時間の短縮につなげられる。数回のマウスクリックで、トレース上から書き込んだコメントおよびフィードバックを追加できる。My Insights(マイ・インサイト)では、ユーザーごとのAutoCAD使用方法をベースに、カスタマイズされた新機能やワークフローについて学ぶことが可能となっている。

Autodeskの機能統合により、作図タスクなどをより簡単かつ柔軟にカスタマイズして管理できるため、AutoCAD WebアプリケーションでもLISP APIが利用できるようになった。これによりどんな場所、どのコンピューターでもAutoCAD体験をカスタマイズして、繰り返し使うプロセスを自動化することができる。さらに、AutoCAD 2023のクラウドとして初となるシートセットマネージャーでは、Autodesk Docsからシートセットをより速く開くことができるようになった。Autodeskのクラウドプラットフォームを使用することで、チームメイトとの間で Autodesk Docsシートセットの送信および開封がより迅速かつ安全に行えるようになっている。

AutoCAD製品管理担当ディレクターのDania El Hassan氏は次のように述べている。「AutoCAD 2023でのマークアップインポートとマークアップアシスト、そしてマイ・インサイトのMacro Advisor(マクロアドバイザー)にはいずれも機械学習が搭載されており、ユーザーがAutoCADでの作業を効率的かつ生産的に続けられる仕様になっています。私たちが開発している自動化とインサイトは、最新技術を活用して、ユーザーに新しい設計成果を提供できるでしょう。」

AutoCAD 2023とAutoCADのWebアプリおよびモバイルアプリは、あらゆるCADベンダーから提供されている中で最も包括的な機能を備えている。AutoCADのデスクトップ版、Web、そしてモバイル版から、図面設計、作図、編集、共有、マークアップを柔軟に行うことができ、AutoCAD Webアプリでは、図面テンプレート、プロットスタイル、その他のサポートファイルをアップロードして、会社の作図基準に合ったDWGファイルの作成も可能となっている。

また電気、機械、建築、配管、プラント設計などに役立つ数千点の部品、シンボル、図を備えた7つの業種別ツールセットをAutoCADで活用できる。例えば建築ツールセットでは、壁、ドア、窓を実際の建築プロパティを用いて素早く図面に配置できる。ツールセットは2023年にアップデートされ、Autodeskプラットフォームへの接続とデータの取得、スプレッドシートからのデータインポートと編集、ファイルを素早くフィルタリングしてプロジェクトを検索および繰り返しなど、生産性を最大化しプロジェクトサイクルを短縮するためのさまざまな機能が実装されている。

Markup ImportとMarkup Assistでフィードバック実装の時間を短縮
マークアップインポートとマークアップアシストは、フィードバックを速やかに送信し、設計に反映させることができる機能。マークアップインポートを使えば、現場からのフィードバックを印刷物やPDFにして、AutoCADにトレースとして取り込むことができる。AutoCADはマークアップを検出して、オブジェクトへの変換を行う。その後マークアップアシストにより、ボタンをクリックするだけで、テキストやオブジェクトが図面へ自動的に追加される。マークアップインポートとマークアップアシストにより、コラボレーションと改訂作業がよりシンプルになった。

My Insights: Macro Advisor(マイ・インサイト:マクロアドバイザー)で生産性向上のためのヒントを獲得
機械学習アルゴリズムを用いて厳選された提案を行うアドバイザリーエンジン、マイ・インサイトは、作業スピード向上支援のため、最も頻繁に繰り返されるワークフローを自動化する推奨マクロという形で、ユーザーの作業中にインサイトを提供するようになった。スタートタブのダッシュボードでは、パーソナライズされたさまざまな使用下におけるインサイトを確認できるほか、マクロインサイトは、作業中の画面下部に通知として表示される。これらマクロの提案をクリックすると、新しいコマンドマクロパレットが表示されるため、そこで詳細の確認、提案されたマクロの保存、ニーズに合わせたマクロのカスタマイズが可能となっている。マイ・インサイト:マクロアドバイザーは、適切なタイミングと文脈で価値ある情報を提供してくれる機能である。

「LISP API for AutoCAD web」を使い、どこからでもワークフローをカスタマイズし、自動化する
外出先でも現場でも、AutoCAD WebアプリケーションのLISPを使って一連の作業を自動化するための独自カスタマイズを作成できる。デスクトップのAutoCADと同じようにLISPファイルを読み込み、管理してLISP コマンドを入力することで、時間を節約してより速く設計を完成させることができる。この機能は、AutoCADのサブスクリプションユーザーにのみ提供される。

機能拡張とパフォーマンスの向上AutoCAD 2023では、ユーザー体験を向上させるための機能もいくつか強化された。多くのユーザーがフローティングウィンドウに独自のコマンドラインを持たせることを望んでいたため、最新版では、コマンドラインをどのアクティブウィンドウでも利用できるようになった。

トレース機能が強化され、Webやモバイルアプリだけでなく、AutoCADデスクトップからもトレースレイヤーを作成することができるようになった。さらに、別ユーザーが作成したトレースにも追加できるようになり、コラボレーション能力がさらに向上した。設計変更のメモやマークアップを、既存の図面には手を加えず、AutoCAD上で直接図面に安全に追加することができる。

カウント機能も強化され、選択したエリア内を含め、オブジェクトのカウントをさらに自動化することができる。カウントツールバーに追加された機能により、カウントされたオブジェクトの選択、矢印キーによる前後のカウントオブジェクトへの移動、表やテキストへのカウントフィールドの直接挿入が可能となった。

AutoCAD 2023ではグラフィックスが更新され、シェーディング、エッジ付きシェーディング、ワイヤーフレームビジュアルスタイルを使用すると、3Dオブジェクトのレンダリングが従来と比較して最大10倍高速化されている。

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