Autodesk社が「AutoCAD 2024」を発表

2023年 4月 3日

Autodesk社 2023年3月28日

Autodesk社は2023年3月28日、同社製汎用CADソフトウェアAutoCADシリーズの最新版「AutoCAD 2024」を発表した。AutoCAD 2024は、ワークフローを加速させ、創造の可能性を引き出すよう設計されたイノベーションによって、ユーザーのビジョンをシームレスに共有できるように構築されている。今回は新たにAutoCAD Webも登場し、誰もが複雑な設計から現場でのマークアップ作成までできる便利なものとなっている。

AutoCAD 2024では多くの新機能と機械学習技術が導入され、いつでも、どこでも図面作成や設計作業ができるようになるため、さらなる洞察が引き出され、設計ワークフローの自動化を促進することができる。

AutoCADは、API、数千ものサードパーティアプリケーション、ならびに75万以上のシンボルやパーツ、詳細コンポーネントで構成される七つのツールセットなどをカスタマイズすることによって、ビジネスニーズや特定の業界に合わせて調整することが可能であり、AutoCAD 2024は業界トップの設計エクスペリエンスを実現する。

AutoCAD製品管理ディレクターであるDania El Hassan氏は、AutoCAD 2024について次のように述べている。「AutoCAD 2024は、生産性の限界を押し広げ、ワークフローをスピードアップするために新たに機械学習機能を導入しており、共通のタスクの作業時間を短縮するとともに、作業や創造の新しい方法を提供します。スマートブロックの配置や置換のような新機能や、マークアップアシストの最新アップデートなどにより、お客様に継続的にイノベーションをお届けできることを誇りに思っています」

AutoCAD 2024の新機能は以下のとおりである。

アクティビティインサイト

アクティビティインサイトは、コラボレーションにより行われるAutoCADのワークフローにおける情報ギャップを解消し、プロジェクトのライフサイクル全体を通じて、常に不可欠なデータに接続できるようにする。アクティビティインサイトによって、関連ファイルの変更が常に把握でき、プロジェクトのライフサイクル全体を通じてDWGファイル内の複数ユーザーのアクティビティの詳細にアクセスが可能である。ローカル、LAN、クラウドサーバーに保存されたファイルについては設定がほぼ不要となっている。

Merrick社シニアデザインテクノロジースペシャリストのMichael Shurgalla氏は、アクティビティインサイトについて次のように述べている。「AutoCAD 2024のアクティビティインサイトが導入されるまでは、公開ファイルを探し出して、その公開時期などの情報を確認する必要がありました。ときには30分もかかることもありましたが、今ではすぐに確認できるようになりました。ほかのタスクでも、さまざまな場面で1~2分の時間短縮ができます。その小さな積み重ねが大きな時間の節約になるのです」

スマートブロック置換

機械学習をベースとした提案、最近使用したブロック、手動での代替ブロックの選択により、必要なブロックを素早く見つけ、1つまたは複数のブロックを置き換える機能。この強力な自動化機能により、手作業でブロックを探してインスタンスごとに置き換えを行っていた時間を節約し、生産性を大幅に向上させることができる。

スマートブロック配置

DWGファイル内で同じブロックを挿入した位置に基づいて次のブロックの位置を推測し、図面内にブロックを自動配置するため、クリック回数が減少し、そのプロセスに要する時間を節約することができる。

マークアップ読み込みとマークアップアシストの機能強化

機械学習機能の拡張と基本的なエクスペリエンスの改善によって、クロスプラットフォームのマークアップワークフローが速くなり、デスクトップ、ウェブ、モバイルデバイス間で図面を安全かつ確実に共有し注記を付けることが可能となっている。マークアップ読み込み機能は、PDFや印刷された紙媒体からフィードバックを取り込み、自動的に図面へ変更をかけることができる。マークアップアシストは機能が強化され、既存の図面テキストを更新し、対処したマークアップを自動的にフェード表示することができるようになった。AutoCADでは機械学習によってマークアップテキスト内の特定の指示を検出し、「移動」、「コピー」、「削除」などのコマンドのショートカットが可能になる。

Electronic Contracting Company(ECC)社ドラフティングコーディネーターであるBrett Graverholt氏は、マークアップアシストについて次のように述べている。「AutoCAD2024のマークアップ読み込みとマークアップアシストにより、図面の編集や変更を行う際に10~15分ほど時間を短縮できるようになりました」

パフォーマンス向上

AutoCAD 2024は、AutoCAD 2023と比較してレイアウトタブの切り替えが最大9倍速くなるなど、2Dグラフィックのパフォーマンス向上と安定性、忠実性、性能強化を実現している。また、AutoCAD 2024のインストールもAutoCAD 2023と比べて最大2倍高速化している。

AutoCAD LT

AutoCAD LT 2024は、クラス最高の2D設計エクスペリエンスを提供する。AutoCADと同様にスマートブロック配置機能を搭載しており、さらにAutoLISPを初めて搭載し、ワークフローの合理化、CAD基準の適用、AutoCADプログラム用に構築されている何千もの自動化機能の活用が可能となっている。

AutoCAD Web

先日リリースされたAutoCAD Webにより、ユーザーは必要なCAD設計をオンラインで作成したり、現場でWebブラウザーやモバイルアプリから図面を表示、編集、マークアップすることができる。

AutoCAD 2024およびAutoCAD LT 2024のサブスクリプションには、Web版およびモバイル版のAutoCADへのアクセスが含まれており、外出先でも新たなコラボレーションの仲間や関係者とアイデアを効果的に伝えることができるようになっている。

AutoCADのサブスクライバーはウェブやモバイル機能も利用でき、AutoLISPを活用して一連のコマンドをWeb上で自動化できるようカスタマイズしたり、ローカルドライブやLANに保存した自分のDWGファイルにアクセスするためのローカルファイルアクセスを有効にする。また、Web上のコマンドリボンの位置をデスクトップと同じ位置に変更したり、モバイルでリンクを開いたり、さらに、PDFへの一括プロットやMTEXTオブジェクトの表示・編集が可能となっている。

AutoCAD for Mac 2024とAutoCAD LT for Mac 2024について

Mシリーズチップに対応したAutoCAD for Mac 2024とAutoCAD LT for Mac 2024も発売され、さまざまな新機能や機能強化が導入されている。

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