Siemens Digital Industries Software社とIBM社がサステナブルな製品の開発・運用の加速に向けて協業
2023年 4月24日
Siemens Digital Industries Software社 2023年4月18日
Siemens Digital Industries Software社とIBM社は2023年4月18日、両社が提供するシステムエンジニアリング、サービスライフサイクル管理、資産管理を統合したソフトウェアソリューションを共同で開発し、長期にわたるパートナーシップを拡大することを発表した。
競争圧力の高まり、労働市場の逼迫、環境コンプライアンスの強化により、企業は製品と資産のライフサイクル全体における総合的な管理アプローチを採用することが求められている。このような中で両社は、製品ライフサイクルを最適化し、プロセス間のトレーサビリティの向上、開発の初期段階でのコンセプトの試作とテスト、持続可能な製品設計の採用を容易にするソフトウェアソリューションを開発することにしており、企業がイノベーションの迅速化と市場投入時間の短縮を通じて品質向上とコスト削減を実現することを目指していく。
SysML v1をベースとした新しい統合エンジニアリングソフトウェア群は、機械設計、電子設計、電気工学設計、ソフトウェア設計と実装をつなぐデジタルスレッドを使用して、トレーサビリティと持続可能な製品開発をサポートすることが期待されており、初期設計から製造、運用、保守、アップデート、生産終了品の管理まで、製品のライフサイクルをカバーするものとなる。両社は当初、システムエンジニアリング用のIBM Engineering System Design Rhapsodyと、Siemensの製品ライフサイクル管理(PLM)用ソフトウェアTeamcenter、電気・電子(E / E)システム開発とソフトウェア実装用ソフトウェアCapitalなどから成るXceleratorとの接続に取り組むことになる。両社は、サービスエンジニアリング、資産管理、サービス実行の統合デジタルスレッドをサポートするために資産管理ソフトウェアであるIBM Maximo Application SuiteとSiemens Teamcenterをすでに接続している。
この統合は、持続可能な製品開発のためのトレーサビリティを可能にするために、プロセスと材料の効果的な再利用に焦点を当てており、企業は設計やエンジニアリングプロセスの早い段階で情報に基づいて意思決定を行い、コスト、パフォーマンス、持続可能性の向上を促進することが可能となる。例えば、過剰な電力消費や早期のメンテナンス・交換が必要となる性能に難がある部品や設計要素をより迅速に特定することができるほか、物理的な資産とソフトウェア資産を製品開発に結び付ける統合デジタルスレッドを介して製品のイノベーションを推進することができるようになる。
IBM社のソフトウェア製品管理・プロダクトグロース担当シニアバイスプレジデントであるKareem Yusuf氏は、今回の協業について次のように述べている。「製品イノベーションと差別化では電気、電子、ソフトウェア部品が多くを占めていますが、メーカーではこれらを管理するためのツールやプロセス、情報が現状サイロ化・断絶しているため、新製品の市場投入を予定通り行うことに苦労しています。このギャップに対処するため、IBMとSiemensは、設計、製造、運用、メンテナンスなど、製品のライフサイクル全体を通じてサステナビリティの実践を統合するデジタルスレッド環境について協業していきます。両社がつながることにより、イノベーションへの迅速な対応とコンプライアンスへの準備、そして全体的な製品品質の向上が可能になります」
SiemensとIBMは、顧客が次世代システムエンジニアリングに移行するための移行パスを備えたSysML v2ベースのソリューションの創造でも協力している。SysMLは、幅広いシステムやシステムオブシステムズの仕様、分析、設計、検証、妥当性確認をサポートする。サービスライフサイクル管理は、サービスエンジニアリングをサービスメンテナンスにつなげ、OEMとオペレーターの新しいコラボレーションプロセスを促進することで、製品のサービス化のビジネス価値を最大化できるよう支援する。
Siemens Digital Industries Software社の社長兼最高経営責任者であるTony Hemmelgarn氏は、次のように述べている。「SiemensとIBMは、運用ライフサイクル全体をカバーするシミュレーション主導のシステムおよびソフトウェアエンジニアリングソリューションを提供します。このソリューションは、製品開発コストの削減、継続的改善の促進、製品の運用ライフサイクルを通じた企業全体の運用効率化を支援し、お客様のイノベーションを促進します。我々は、オープンなエコシステムにおいて、標準ベースのソリューションでシステムモデルと関連データの拡張性と再利用を向上させることにより企業が真にシフトレフトできるよう支援するため、そして、お客様がより良い製品を開発できるように開発を進めていきます」
SKODA Groupの最高情報責任者であり、サービスライフサイクルおよび資産管理ソリューションを早期に導入したKamil Mrva氏は、次のように述べている。「当社はSiemensとIBMと非常に緊密に協力していますが、両社は当社がサステナビリティ目標を達成し、当社のお客様の製品の総所有コスト(TCO)を削減し、また、サービスにさらなる重点を置いたビジネス変革を行うための支援を行ってくれています」
Siemensは、IBMが新たに開始したPartner Plusプログラムのベネフィットに支えられ、Siemens Xceleratorのエコシステムの一部としてソリューションを提供する予定である。